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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

半導体バブル 熊本に見る① 水源に工場 住民から不安

2022-10-16 06:55:19 | 経済・産業・中小企業対策など
半導体バブル 熊本に見る① 水源に工場 住民から不安


半導体受託製造(ファウンドリー)世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)が工場を新設する熊本県で、半導体をめぐる企業投資、大規模開発が過熱しています。一方、豊かな地下水の保全や農業、子育てなど多様な問題で不安や批判の声が出されます。現地にみました。(日隈広志)



「まるで熊本の風景でないかのようだ」。県担当者はTSMC新工場の建築現場に林立する大型クレーンを見ながら述べました。
新工場の建設地は阿蘇山のすそ野に農地が広がる菊陽町原水。真下には、阿蘇山を源流とする「地下水プール」域があり、人口約74万人の熊本市民の水道水源のすべてをまかなっています。



TSMC新工場の建設現場=10月5日、熊本県菊陽町

企業投資加速
同工場は東京ドーム4・7個分の21・3ヘクタールを埋め立て、突貫工事で、2024年4月の出荷開始を目指しています。
同工場の主力は、主に自動車や家電に搭載する「22、28ナノメートル」のロジック半導体。「半導体需要は今後も続くとみている」と県担当者は期待を寄せます。
「熊本を半導体の国内中核拠点にする」(富士フイルム)など、TSMC進出に沸く半導体関連企業は新増設・増強計画を相次ぎ発表。その数は今年1~9月で県内外企業19件となり、昨年ペースを上回っています。県内の基準地価(7月1日)は、林地を除く全調査地点で上昇し、菊陽町での31・6%、大津町での19・6%など工業地で大幅に上昇しました。
県や熊本市は、鉄道で熊本空港と肥後大津駅(大津町。ほかに菊陽町三里木駅、原水駅構想も)を結ぶJR豊肥本線の延伸を構想。高速道路や港湾施設の整備計画を進め、企業投資を加速させています。

首相お墨付き
TSMC新工場の近辺で農業を営む男性(78)は「雇用が増えるのはいい」とする一方、「食料自給率が世界的に問題になっているのに、農業が軽視されていないか」と、官民一体の“TSMCバブル”に疑問を呈します。「菊陽町一帯は一級の農地。元に戻そうと思えば10年、20年かかる。農業の将来は見据えているのか」
また男性は、TSMC進出が岸田文雄政権の掲げる「経済安全保障」政策の一環になっていることに危倶を呈します。「台湾の半導体をめぐって米国と中国の軍事的な緊張が高まったばかり。熊本がその最前線になるのではないか」
岸田首相は3日の所信表明演説でTSMC進出について「地域に10年間で4兆円を超える経済効果と、7千人を超える雇用を生むと試算されている」と述べ、約5千億円の助成を正当化しました。ところが同数字は肥後銀行などを中心とする「九州フィナンシャルグループ」が発表したもので、国が責任をもった試算ではありません。経済産業省は「国として『妥当だ』と評価したものではない。国独自の試算はない」としており、国による検証もなく首相がTSMC誘致計画をばら色に描いているのです。
前出の男性は言います。
「周りの住民もみんな歓迎ムード一色だ。しかし行政が冷静さを欠いて住民の生活を守れるのか」(つづく)(3回連載です)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2022年10月13日付掲載


「まるで熊本の風景でないかのようだ」。県担当者はTSMC新工場の建築現場に林立する大型クレーンを見ながら述べました。
新工場の建設地は阿蘇山のすそ野に農地が広がる菊陽町原水。真下には、阿蘇山を源流とする「地下水プール」域があり、人口約74万人の熊本市民の水道水源のすべてをまかなっています。
同工場の主力は、主に自動車や家電に搭載する「22、28ナノメートル」のロジック半導体。「半導体需要は今後も続くとみている」と県担当者は期待を。
でも、兵庫県でも大企業呼び込み型の開発は、需要がなくなればすぐに撤退。
熊本県の場合は、地下水の利用で農業に影響が出る可能性。撤退したとしても、すぐには元に戻らない。

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