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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

「雇用によらない働き方」を問う② 世界は個人請負を保護

2021-11-13 07:29:53 | 働く権利・賃金・雇用問題について
「雇用によらない働き方」を問う② 世界は個人請負を保護
龍谷大学名誉教授 脇田滋さんに聞く

日本とは対照的に、国際労働機関(ILO)や欧州各国は、非正規雇用はじめ個人請負形式の労働者に対する保護に早くから積極的に乗り出しています。

ILO勧告採択
ILOは2006年、「雇用関係勧告」(198号)を採択し、個人請負形式による使用者の法的責任回避に対抗するため、労働法上の保護を受ける労働者の範囲を広げることを提起しました。
雇用による労働者かどうかは、契約名称や形式にかかわらず業務の遂行と報酬の事実をもとに判断することを求めています。判断する指標として、他人の指示と統制で労働が行われるなど14項目をあげています。こうした労働者性に該当する場合は、「法的推定」や「みなし制度」も導入できるとしています。
ドイツでは「労働者と類似した人」という概念を導入して労働法上の多くの保護を拡大し、イギリス、カナダでも同様の規制をしています。フランスは16年、世界的に広がっている「プラットフォーム労働者」(ネットを介してサービス提供=労働が取引される仕組み)に、ストライキ権を含む労働法上の権利を認めました。
イタリアではボローニャ市が18年、プラットフォーム数社に呼びかけてデジタル労働者憲章を定め、固定給や最低賃金以上の支給、時間外・休日手当の支給などを定めました。
韓国でも「特殊雇用」と呼ばれる個人請負労働者の保護を求めるたたかいが長年にわたって行われ、ILOの勧告も受けて国家人権委員会が団結権の保障を17年に政府と国会に勧告しました。
アメリカでは、実態が労働者である人を個人事業主扱いする企業の対応を「誤分類(ごぶんるい)(misclassification)」とする考え方があります。とくに、連邦政府やいくつかの州が、税金・社会保険料負担を逃れる違法行為として規制してきました。
カリフォルニア州の最高裁判所は2018年、独立請負契約者とされたダイナメクス社の配達従業員を労働者と推定し、会社が三つのテスト(ABCテスト)によって、労働者でなく独立事業者であることを立証しなければならないという原則を示しました。三つの原則とは、①会社による支配や指揮命令から自由である②会社の業務過程とは別に仕事を完成する③取引や職業・業務において独立している―ことです。



デジタル労働者憲章を紹介するボローニャ市のホームページ=2018年5月31日

立証責任を転換
この判決は州法に取り入れられて2020年から施行され、多くの職種で請負形式の労働者が最低賃金や労働時間、社会保障などの保護を受けることになりました。「誤分類」を許さないという考え方が、判例や州法にまで高められたのです。
スペインでは21年5月、二輪車配達員を原則、労働者として「推定」する「ライダー法」が制定されています。
これまでは、労働者であるかどうかは労働者に立証責任が課せられていました。それを逆転させて使用者が立証しなければ「法的推定」によって労働者と判定することは画期的であり、日本でもこの立証責任転換をぜひ取り入れるべきです。(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2021年11月11日付掲載


雇用による労働者かどうかは、契約名称や形式にかかわらず業務の遂行と報酬の事実をもとに判断することを求めています。判断する指標として、他人の指示と統制で労働が行われるなど14項目をあげています。こうした労働者性に該当する場合は、「法的推定」や「みなし制度」も導入できる。
これまでは、労働者であるかどうかは労働者に立証責任が課せられていました。それを逆転させて使用者が立証しなければ「法的推定」によって労働者と判定する。
これで行きましょう。

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