生物による水質診断 週末の河川汚染?
7回目は、公的機関による水質検査の落とし穴です。
平日の昼闇、公的機関が測定した河川の水質は悪くないのに、川底にすむ虫を調べると、汚水に出現する種類ぱかりという事例を、ずっと以前に聞きました。原因は、川沿の工場が監視の目が薄い夜間に濃い排水を流していたため。また、ある渓流の底石に付着している微小な藻類に、河口部の海水混じりの水域に出現する種類が多く見られ、調査すると、上流にある廃棄物処分地から高濃度の塩分が流れ込んでいたという事例もあります。
河川の生物による水質診断は、生態系保全などの主張は相手にされなかった「コンクリート護岸万能時代」に、生態学者が現場で地道に検証し、ボランティアが河川環境を守る視点で続けていました。淀川では、研究者や住民の努力により、絶滅が懸念されていたイタセンパラとアユモドキの二種類の魚が確認され、天然記念物に指定されました。
現在、河川の生物調査は環境省や国土交通省、各地方自治体が協力して実施する国民的な行事となっています。
次のステップは、治水、水利用など河川の総合的な管理や自然回復の課題への、研究者や地域住民の参画ではないでしょうか。具体的には、ダム建設の是非、急な増水・渇水を緩和するための水田回復・遊水地の指定・森林育成など。淀川水系流域委員会の活動はその先鞭(せんべん)をうけたものと期待していました。委員会の結論を行政に生かし、制度を発展させてほしいと思います。
(近畿水問題合同研究会会員 中村寿子)
(つづく)
7回目は、公的機関による水質検査の落とし穴です。
平日の昼闇、公的機関が測定した河川の水質は悪くないのに、川底にすむ虫を調べると、汚水に出現する種類ぱかりという事例を、ずっと以前に聞きました。原因は、川沿の工場が監視の目が薄い夜間に濃い排水を流していたため。また、ある渓流の底石に付着している微小な藻類に、河口部の海水混じりの水域に出現する種類が多く見られ、調査すると、上流にある廃棄物処分地から高濃度の塩分が流れ込んでいたという事例もあります。
河川の生物による水質診断は、生態系保全などの主張は相手にされなかった「コンクリート護岸万能時代」に、生態学者が現場で地道に検証し、ボランティアが河川環境を守る視点で続けていました。淀川では、研究者や住民の努力により、絶滅が懸念されていたイタセンパラとアユモドキの二種類の魚が確認され、天然記念物に指定されました。
現在、河川の生物調査は環境省や国土交通省、各地方自治体が協力して実施する国民的な行事となっています。
次のステップは、治水、水利用など河川の総合的な管理や自然回復の課題への、研究者や地域住民の参画ではないでしょうか。具体的には、ダム建設の是非、急な増水・渇水を緩和するための水田回復・遊水地の指定・森林育成など。淀川水系流域委員会の活動はその先鞭(せんべん)をうけたものと期待していました。委員会の結論を行政に生かし、制度を発展させてほしいと思います。
(近畿水問題合同研究会会員 中村寿子)
(つづく)