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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

大手メディアでなく「赤旗」がスクープ連発はなぜ?

2011-07-23 20:30:12 | 赤旗記事特集
大手メディアでなく「赤旗」がスクープ連発はなぜ?

FMラジオ番組 小木曽編集局長語る

 「九州電力の『やらせメール』問題。さらに、佐賀県玄海町の町長の弟さんが社長をつとめる建設会社が九電から約54億円もの工事を受注していた事実…。これらのスクープを次々とモノにしたのは、いわゆる大手メディアと呼ばれる新聞社やテレビ局でもなく、日本共産党の機関紙『赤旗』だった!」
 こんな紹介で、19日夜、FMラジオJ―WAVEのニュース番組「JAM THE WORLD」に、小木曽陽司・赤旗編集局長が登場。テーマはずばり「『しんぶん赤旗』とは?」。
ナビゲーター(進行役)の津田大介さん(ジャーナリスト)とリポーター高橋杏美さんとのあいだで、かわされたトークは―。





「赤旗」の役割 なぜ日刊紙必要か
 中学時代に「しんぶん赤旗」を読んで、それが「物書き」になるきっかけになったという津田さん。「そういった『赤旗』がいま経営難になっているというのは非常に気になる。いろんなスクープをモノにしているんだけれども、そういうこと自体が知られていない。どういうメディアかお話をうかがえれば」

 高橋 単純に経営が厳しいならば他の政党のように、(機関紙は)週1回とか、隔週とか、月1回とかの発行にしたらいいのかなとも思うんですが。
 小木曽 週1回という点でいうと、うちには「赤旗」日曜版という独立した週刊新聞があります。100万部を超える部数を持っています。
 ただ日刊紙についていいますと、単純な経営問題ではないんです。今度の「やらせメール」のようにタイムリーで、パンチの効いたスクープが威力を発揮できるのは日刊紙だからです。世界と日本は日々激しく動いているんですけれど、やはり社会を変えようという立場からそれを伝える「赤旗」日刊紙はどうしても必要だと思っているのです。
 率直に言って今のマスメディアの状況の多くは「真実を伝える」、「権力を監視する」、というジャーナリズムの本来の使命を果たしているか少し疑問なところがあるんです。
 そのもとでタブーなく真実を伝える「赤旗」日刊紙の役割は、共産党にとってはもちろんですが、日本社会にとっても必要じゃないかと思ってるんです。



やらせメール 「赤旗」に情報なぜ
 話題は、九電の「やらせメール」問題に。津田さんは「これは日本の原子力行政のこれからに影響しかねない影響力をもつスクープだったと思う」とのべ、いきさつを詳しく聞きました。

 津田 (他紙は)電力会社に遠慮して報じなかったのか、それとも完全に「赤旗」のスクープだったのか、どちらなんでしょうか?
 小木曽 いくつかの新聞は情報は事前に入手して、九州電力にも確認を取っていたらしいんです。もちろん(九電側は)否定しましたけれど。しかし実際に記事にしてスクープしたのは「赤旗」だけでした。7月2日付の1面トップで「国主催の説明会 九電が“やらせ”メール」という大見出しで報じた。玄海原発の再稼働をめぐる説明会の正当性が問われる問題でした。ところがこれだけの大問題を他紙が追ってこなかったんですね。これはちょっとびっくりしました。

 大手メディアがとりあげたのは、共産党の笠井亮議員の国会での追及を受け、九電の社長が謝罪した6日のことでした。
 津田 この事実をつかんだのはいつだったんでしょうか?
 小木曽 国による(佐賀県民への)説明会の直前に関係会社の内部資料と、関係者の証言を得ました。綿密な取材を重ねて、6月30日には九電の広報担当者に確認をしました。九電は「いっさいしておりません」という回答だったのですが、われわれは事実関係に確信を持っていましたので、報道に踏み切ったというのが経過です。

 高橋 なぜ「赤旗」にそうした情報が集まってきたんですか?
 小木曽 直接には福岡の共産党事務所に情報が寄せられたんです。
情報を寄せられた方は、職場のなかで「九電はここまでやるのか」と話題になって、こんな行為は自分の会社のためにならないと意を決した。知人に相談したところ、共産党の事務所を紹介してくれたということです。いつでも権力と対峙(たいじ)して不正を追及してきた共産党への信頼があったからこそ、こういう内部告発があったのだと思っています。


東電会見 鋭い質問どのように
 津田 「赤旗」というと最近印象的だったのが、原発事故が起こった当初、(東京電力の)記者会見の中継をネットで見ていて、鋭い質問をしていたのがフリーのジャーナリストや、海外メディアの特派員、もしくは「赤旗」の記者だった。東電側にとって厳しい質問をバシバシしていたと思うんですが、ああいった質問は、編集局長が方向性を指示されているんですか?
 小木曽 あの質問に関していうと、原発担当の記者たちがいろいろ議論して会見にのぞんで質問したと聞きました。話題になったのが、3月26日の記者会見です。赤旗記者が、電源が失われた場合どうするのかを、国会で共産党の議員が質問していたのに、なぜ想定しなかったのかと質問をしたんです。東電の側からきちんとした答えがなくて、記者が何度も聞き返す。今度はフリーのジャーナリストも一緒になって答えてくださいと声をかける。いつもとちがった緊迫した記者会見になり、ネットで「赤旗GJ(グッド・ジョブ)」と話題になったようですね。

 津田 「赤旗」とか共産党というのは、孤高の存在というか、あまりフリーの人との連携もしない印象があるんですけど、いまそういう新しい連携みたいな可能性もみえてきたんですかね。
 小木曽 直接連携とっているわけではないのですが、やはり真実を追究するという点では一緒ですから、おのずとそういうことになるのではないでしょうか。



経営危機 どう打開するのか
 後半は、「赤旗」日刊紙の“経営難”について、津田さんや高橋さんが、「赤旗」の最高部数は? 広告収入は? など率直に質問。小木曽氏は、発行部数では1970年代末から80年代はじめに日刊紙で60万部を維持していたこと、収入の大半を機関紙の売り上げが占め、部数減により日刊紙の経営が困難になっていることなどを丁寧に説明しました。

 津田 (「赤旗」はこの間)大手メディアでは伝えられていないスクープの記事なんかも、出していたと思うんですが、そういったものの(部数増への)効果はなかったんですか。
 小木曽 その時々に、紙面の価値を高めたり、政治を動かしたりするんですが、スクープを1回やったら、これだけの部数が増えるなどという、単純なものではないんですね。党の機関紙ですから、党員が増えてしっかりしないと、なかなか増えないというのはあるのですよ。

 ただ私は、共産党はそれを乗り越える力をもっていると確信しています。いま日刊紙発行の危機を党員のみなさんや読者のみなさんに率直に訴えているんですけれど、この危機をなんとしても乗り切らないといけないと応えてくれる動きがずっと広がっています。


国民の探求に応える紙面を
 津田氏は、インターネットや、デジタルなどで、ほかのメディアとの連携をふくめた展開を提唱。小木曽氏は、「研究しますので、ぜひお知恵を」と応じました。津田氏から、今後、読者獲得のためにはどんなことを考えているのかと問われ、次のようにのべました。
 小木曽 やはり一番思うのは、今度の大震災・原発災害を契機にして、いま多くの国民がなにが真実だったのか、真実をみきわめたいという気持ち、日本は一体どういう国なんだということを知りたいという探求を始めていると思うのです。「赤旗」はそういうことに正面から応えられるような紙面を届けたいと思っています。


「しんぶん赤旗」日刊紙  2011年7月21日付掲載


民間のラジオ番組が赤旗の編集局長にインタビューする特集するってすごい世の中になりましたねえ!

小木曽さんが言っているように、激動する世の中、タイムリーに運動と世論、スクープなどを伝えて行く為には「日刊紙」は不可欠です。

それにしても、共産党なら大丈夫と内部告発をしてきたって事は嬉しいことですね。こんなことは、今回の原発問題に限らず、過去に幾度となく経験していることです。

ただし、スクープを一回やったからと言ってそれで単純に新聞が増えるってもんじゃないとリアルに見ています。
党員が増えてしっかししていないとなかなか増えないと・・・。


しかし、共産党はそれを乗り越える力を持っていると。そうです、それは綱領の力です。

「ペンは剣より強し」と言われたものです。今の時期、「しんぶん赤旗」の読者を増やすことが求められていますし、その条件はあるのではないでしょうか。


自然エネルギー 世界の挑戦⑤ イタリア

2011-07-20 20:58:04 | 原子力発電・放射能汚染・自然エネルギー
自然エネルギー 世界の挑戦⑤ イタリア

 チェルノブイリ原発事故をきっかけに原子力発電所を全廃したイタリアで、再生可能エネルギーを活用する市町村が急増しています。政府は、再生可能エネルギーの積極活用を定めた欧州連合(EU)指令に基づき、利用を奨励。再生可能エネルギーだけで必要電力を超える量を供給できる市町村も生まれています。(島田峰隆)

電力自給の街、急増
964自治体、消費電力越す


再生可能エネ発電~94%の市町村が採用
 イタリア最大の環境団体レガンビエンテ(環境連盟)は今年3月、年次報告「再生可能エネルギーの市町村2011」を発表しました。全国に8092ある市町村から集めたアンケートと、再生可能エネルギーの開発・普及に携わる企業や行政機関の研究結果をもとにまとめました。
 それによると、2011年現在、太陽光・熱、風力、地熱など再生可能工ネルギーによる発電施設を一つでも持つ市町村は、7661に上り、2006年比で約22倍に増えました(表)。これは、全市町村の約94%にあたります。


再生可能エネルギーを利用している市町村数
太陽光太陽熱風力水力バイオマス地熱合計
2006741081184032356
200728726813676731262
20082103390157114306283190
200950252996248698604735591
2010631140642977997881816993
20117273438437494611362907661



 報告は、「イタリアでは、すでに多くの市町村が、地元にある資源を活用して自らのエネルギー需要を満たす方向へ向かっている」と指摘。こうした事実は、「再生可能エネルギーは国の将来にとって副次的なものだと主張し続ける人々への最良の答えになっている」と述べています。

報告が紹介している調査結果によると―。
【太陽光・熱】2006年以降に爆発的に普及しました。イタリアは全国的に太陽光に恵まれており、太陽光発電の施設は全国の市町村にくまなく設置されています。太陽光による総発電量は約322万キロワットに達しています。一方、太陽熱発電の施設は人口5000人以下の小規模な市町村で普及しており、多くは中北部にあります。
【風力】本格的な風力発電施設が多く見られるのは、中南部の市町村です。ここ数年で、小型の風力発電施設が中北部も含めて全国的に広がり始めています。
【水力】各地で、もともとある水路や池、湖などを活用して発電施設をつくっています。全国の市町村にある水力発電施設の総発電量は、約160万世帯の需要を賄える規模になるといいます。
【地熱】現在は、中北部を中心に普及しています。イタリアは地震国で南部にも火山があるため、南部にも発電施設を設置できる条件が十分あるといいます。
【バイオマス(生物由来の資源)】中北部の山岳地帯や海岸地帯にある市町村に普及しています。


【レガンビエンテ】
 イタリア最大の環境団体。1970年代に欧州に広がった反核運動や環境保護運動を受けて、1980年に結成されました。全国に11万人以上の会員がいます。国連環境計画(UNEP)の国内委員会やEUの欧州環境機関の構成団体です。





水力、太陽光、風力・・・~全国停電無縁の街も
 報告によると、再生可能エネルギーだけで、消費量を上回る規模の電力を発電できている市町村が、今では964あります。
 これらの市町村は、北部のスイスやオーストリアとの国境地帯に多く見られます。報告は、「最良の例」として20都市の取り組みを紹介しています。
 北部プラート・アッロ・ステルビオ(人口約3400人)では、バイオマス、水力、太陽光、風力で約1万キロワットを発電しています。イタリアでは2003年9月、ほぼ全域で5時間以上停電が続いたことがありましたが、電力を自給できている同市では、停電の影響を全く受けなかったことを報告は評価しています。
 同じく北部のズルデルノ(人口約1900人)では、960平方メートルの太陽光パネルを設置しています。さらに市内の多くの家や企業事務所の屋根に太陽光パネルを設置。周辺の市町村や地元の電気会社と共同で風力発電装置をつくり、1200キロワットの電力を供給しています。
 北西部のモルジェ(人口約2000人)では、水力発電でl100キロワット、市内の建物の屋根に設置した太陽光パネルで112キロワットを発電しています。学校や診療所、市場などにバイオマスを活用した暖房施設を普及しています。





普及のワケは~電力買い取り義務化
 イタリアで再生可能エネルギーを急速に普及する力になったのが、欧州成連合(EU)指令に基づく国内の奨励策です。
 EUは2007年に決めた新エネルギー・気候変動統合政策のなかで、2020年までに全エネルギーに占める再生可能エネルギーの割合を20%に引き上げるという目標を設定しました。
 2009年には再生可能エネルギーに関するEU指令を施行。同指令は、イタリアの再生可能エネルギーの導入目標として、17%までの引き上げを決めています。
 イタリア政府は、EUの動きに呼応して、2005年ごろから再生可能エネルギーの奨励策を次々と導入してきました。
 特に、太陽光・熱エネルギーによる電力の固定価格買い取り制度(電力買い取り補償制度、FIT)を導入したことが、太陽光・熱発電の普及につながりました。
FITは、再生可能エネルギーで発生させた電力を一定期闇、売電側に有利な価格で買い取ることを電力会社に義務付ける制度。再生可能エネルギーを普及している多くの国で導入されています。
 このほか、イタリアには、再生可能エネルギーの投資を支援する仕組みとして、風力、太陽熱、バイオマスでは投資額の30%、太陽光では最大で60%を還付する制度もあります。太陽熱エネルギーの投資に関しては、付加価値税の減税など、税制の優遇措置もあります。


原発復活を拒否~国民の意思が決めた
 イタリアでは今年(2011年)6月、原発復活の是非を問う国民投票を実施。投票率は国民投票の成立要件となる50%を超える54.79%に達し、投票した人の94%の人が復活に反対を表明しました。原発反対の運動を進めてきたレガンビエンテは、投票結果について「原発時代の終幕」という記事を発表しました。
 記事は、25年前のチェルノブイリ原発事故の後に行われた国民投票で原発全廃が決まったことを想起しながら、「国民は、危険で、費用がかかり、古くさくなったエネルギーの形に改めて反対を表明した」と指摘。「原発の時代は終わった。今では(エネルギー確保の)別の手段がある。それは再生可能で効率の良いエネルギーの活用であり、エネルギー節約という方法だ。(国民投票で)市民の大多数がこう主張したのだ」と述べました。
 政府は2013年から4カ所で原発を新設する計画を発表していました。しかしベルルスコー二首相は、「国民投票の結果、イタリアは原発にさようならをし、再生可能エネルギー(の活用)に取り組まなければならない」と語り、原発復活計画を断念することを明らかにしました。

「しんぶん赤旗」日刊紙 2011年7月15日付掲載


小さい自治体単位で再生可能エネルギーだけで電力を賄うところが増えていっているって頼もしいですね。
チリも積もれば山となるですね。
再生可能エネルギーには手間暇がかかりますし、場所もとると思います。だから、地方の小さい自治体で余分に発電して都市部にまわしてやれば国全体で再生可能エネルギーで賄えるって方向になるのではないでしょうか。
国を挙げての支援が求められます。

化石燃料から卒業していくためにも、再生可能エネルギーでの発電の「固定買い取り制度」はぜひとも必要なものです。
日本でもさらに充実させていって欲しいと思います。

京都・旧久美浜町 つくらせなくってよかった~推進派の元議員ら

2011-07-17 15:11:19 | 原子力発電・放射能汚染・自然エネルギー
京都・旧久美浜町 つくらせなくってよかった~推進派の元議員ら

 30年以上にわたる住民の反対運動が関西舅の原発建設を断念(2006年3月)に追い込んだ京都府の旧久美浜町(現・京丹後市)。福島第1原発の事故後、原発推進派だった元保守系町議や自民党元役員から安堵(あんど)と関電への不信の声が聞こえてきます。(京都府・難波克典)

関電の世論操作とたたかう
 旧久美浜町では、原発建設に執念を燃やす関電が「安全神話」を植え付けるための学習会開催、宣伝・広報活動、原発推進の町政づくりのための選挙介入を行ってきました。久美浜原発計画は1975年5月、関電が事前環境調査を町に申し入れたのが発端です。以来、3800人の集会、有権者の7割を超える請願署名(1990年、推進派町議によって不採択)など、建設反対運動は原発推進派との激しいせめぎ合いを続けました。




原発見学ツアー
 「本当に大丈夫かというと、関電は『技術はどんどん進歩する。今の安全性に加え、時間がたてばたつほど安全になる』という答えをする。信じるしかなかった」と元保守系町議は振り返ります。
 丹後ちりめんなど絹織物業、農業が壊滅する状況のもとで、「『原発も仕方ないか』との思いにつけ込まれ、ふぬけにされた。そのワシらも岡下さんの町長選では、関電の用意周到ぶりには驚かされた」とも言います。
 町長選とは、原発建設反対を訴える革新無所属候補・岡下宗男氏=のちに日本共産党町議=が大善戦した1997年の選挙です。町長選を前に、事前調査受け入れ促進を求める意見書の強行可決(1994年)など推進派の動きが活発化。町は、有名タレントや学者を呼んで原発学習会(1995、96年は計8回)や原発見学ツアーを実施しました。
 この背後で「安全神話」を振りまく世論操作を強めたのが関電です。学習会では「放射能は細胞を活性化するから、むしろ体にいい」「原発ができたことで技術系労働者が来て、教育レベルが上がった」と問題発言が続出。講師は、関電副社長が会長の関西原子力懇談会(関原懇)が手配していました。推進派団体機関紙への資料・材料提供も関原懇が行っていました。
 本紙(「しんぶん赤旗」日刊紙)に岡下氏への期待の声を寄せた計画地の反対派住民を関電本社立地環境本部・立地グループの課長が再三訪れ、「目立ったことはしない方がいい」と脅しました。この課長は、計画地に果樹園を作って、町内の「アジト」から頻繁に訪れ、住民と接触を図ることを仕事としていたのです。これらの実態を本紙(「しんぶん赤旗」日刊紙)と「京都民報」が告発。原発問題が大争点となり、岡下氏は得票率42%を獲得し、344票差まで迫りました。




撤回を申し入れ
 2001年の町長選では、日本共産党町議団長だった堤善信氏が得票率47%を得て大善戦し、原発建設を許さないまま2004年4月に久美浜のほか5町が合併して京丹後市が誕生しました。市は2006年2月、「旧久美浜町以外の住民に久美浜原発立地の理解を求めていくことは少なからず困難」などを理由に、関電に計画撤回を申し入れました。
 関電は同年3月、「市のご理解が得られないことが明確になった」(関電ホームページ)と断念表明しました。
 原発建設反対の町民は「金は一時、土地は万年」と大看板を立て、たたかいました。
「その通りだった。福島の事故で、被災者ほったらかしで保身にきゅうきゅうとする東京電力の対応をみているとぞっとする」と元自民党町役員。力を込めてさらに言います。
 「つくらせなくてよかった。原発の危険性、電力会社の体質を見抜いて反対し続け、断念に追い込んだ共産党や反対派の人々の見識、勇気に敬意を表する。丹後は海、山、川と自然エネルギーの宝庫。これからは脱原発へ党派を超えて進むときだ」

「しんぶん赤旗」日刊紙 2011年7月14日付掲載


関電の用意周到な世論誘導や多数派工作には驚かされます。
しかし、今回の福島原発事故で当時の推進派の人たちも目覚めたのです。福島ではいつ帰れるとはわからない被害が続いているんですから。
それにしても、反対派町民が掲げた「金は一時、土地は万年」とは真理をついていますね。

原発からの撤退の運動、世論の輪は、元推進派の人をも巻き込んで広がる可能性を持っています。頑張りましょう!


自然エネルギー 世界の挑戦② スペイン・ナバラ州(続編)

2011-07-16 17:24:24 | 原子力発電・放射能汚染・自然エネルギー
自然エネルギー 世界の挑戦② スペイン・ナバラ州(続編)

以前紹介した、スペイン・ナバラ州の取り組み。一部がもれていましたので続報します。

州の住民がオーナー
 スペイン・ナバラ州のミゲル・センス・セスマ知事に、再生可能エネルギー普及の秘訣(ひけつ)を聞くと、法的枠組みの確立や公的部門の関与のほかに、「世論の支持」「人々の事業への参加」を挙げました。
 再生可能エネルギー普及の事業の一つが、州都パンプローナから南へ自動車で1時間のミラグロ村にあります。名前は「ウエルタソーラー」、スペイン語で「太陽の農園」です。
 2007年末に開園したこの「農園」には、太陽光パネルを備えた太陽光追尾装置(トラッカー)が約900基あります。パネルで太陽光を電気に変え、約5000世帯の電力需要を賄います。




 州の住民がトラッカーを1人1基、場合によっては数基購入しています。こうして誕生したオーナーはこの「農園」で約750人。州政府広報のオルティゴサ氏によると、他施設も合わせた州全体でオーナーは約8000人います。
 知事は「再生可能エネルギーの推進は、温室効果ガス排出を減らさねばならないという人々の確信に基づいています」と指摘します。州ではさらに、子どもたちの教育にも取り組んでいます。風力発電機のプロペラを作る工場のハビエル・タラピエラ工場長は、「10代の子どもたちの訪問を受けました。彼らは自分たちの将来について考えたと思います」と話します。オルティゴサ氏は「子どもたちが親に風力発電について話す。そうして『家の電気がどこからくるか』を家族が自覚するようになります」と言います。
 再生可能エネルギー企業アクシオナの広報担当者のゴメス氏は「再生可能エネルギー推進のキーワードは社会的責任です。これは右派、左派問わず政党も支持しています」と言います。現在、電力消費の8割を再生可能エネルギーで賄うナバラ州は、2020年にはそれを110%にまで引き上げる計画です。


 その一方で、「自然の価値と電力生産のバランスが必要です。自然の景観も守らなくてはならない」と指摘するのはエステバン・モラス氏。これまで知事とともにナバラの再生可能エネルギー普及をけん引してきました。「風力発電機を最初に設置してから16年たちました。技術の進歩で発電機の能力も向上し、新たな土地の確保なしに発電能力を3倍にできます」と話します。
(ナバラ州パンプローナ=小玉純一)(つづく)


「しんぶん赤旗」日刊紙 2011年6月30日付掲載

「太陽の農園」っていいですねえ!

自然エネルギー 世界の挑戦④ アイスランド

2011-07-14 21:20:09 | 原子力発電・放射能汚染・自然エネルギー
自然エネルギー 世界の挑戦④ アイスランド

去年も今年も火山の噴火があったアイスランド。マグマからの地熱を発電や暖房に活用しています。原子力発電所はもちろん、火力発電所も非常用設備を除いてありません。水力を含め、再生可能エネルギーだけで電力を賄う同国を訪ねました。
(レイキャビク=小玉純一 写真も)


【アイスランド】
 北西の大西洋上にある島国。面積は約10万平方キロ(韓国とほぼ同じ)、人口約32万9000人。2010年の国内総生産は126億ドル、国民1人あたり所得は約4万ドル。主要産業は水産業、水産加工業。軍備は持たないものの、北大西洋条約機構(NATO)加盟国。



地熱・水力で100%発電

 首都レイキャビクから南西50キロにあるケフラビク国際空港。その近くの「ブルーラグーン」は、世界最大級の露天風呂として知られます。その「源泉」は、隣接するスバルスエインギ地熱発電所で使い終わった温水です。



10年で拡大
 同国政府のエネルギー局資料によると、2008年の発電量に占める地熱発電の割合は24.5%。残りは水力。国土面積の1割強を占める氷河の豊かな水を利用しています。
水力も地熱も再生可能エネルギーですから、ほぼ100%再生可能エネルギーで電力が賄われていることになります。
 エネルギー局のグズニ・ヨハネソン局長に電力状況を聞くと、グラフを示して説明してくれました。「電力は長い間、水力だけでやってきました。最近10年間、地熱発電が大きく伸びました」「工業の需要が増え、今では電力消費の80%が工業用です」。大量の電力を必要とするアルミニウムの精錬は同国の主要産業の一つです。
 局長は「石油価格が上がっています。アイスランドの電力価格は(安価で)競争力があり、工業にとって魅力となっています」と指摘。「アイスランドでは漁業と観光業も重要な産業。そのうえに工業も伸ばして経済的繁栄をめざします」「環境や景観の保護も考慮しながら、水力と地熱の新しい発電所も検討しています」と述べました。




「政治問題」
 アイスランドには現在、地熱発電所が7カ所あります。レイキャビクから自動車で約30分のヘトリスヘイディ発電所は、2006年10月に運転を開始した最新の地熱発電所です。
 建物に入ると観光客が展示コーナーに見入っています。アイスランドの地熱を地勢から解説していました。タービンの模型も展示されていました。銘板には「三菱重工業」とアルファベットで刻まれています。
 展示責任者のヘルキ・ぺータソン氏が言います。「地熱発電も原子力発電も、蒸気の力でタービンを回すことは同じです。違うのは蒸気を生みだすエネルギーです」
 同氏は続けて、日本の地熱利用について、こんなエピソードを紹介してくれました。
 「日本のメーカーの人に聞いたことがあるんです。『なぜ日本で同じものを使わないのですか』と。すると『それは政治の問題です』という答えが返ってきました」(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2011年7月10日付掲載



資源生かす技術開発

 「この町で育てられたものです。きれいでしょう」―花屋の店内でグロディス・エイドランスドッティルさんがいいます。店は温室になっていて、やや湿気があります。

「氷河の国」
 アイスランドの首都レイキャビクから東45キロのところにあるクベラゲルディ。高温の地熱地帯にあり、湧き出る温水を使って、野菜や花の温室栽培が盛んです。バナナの試験栽培場もあります。
 人口は2300人。「花屋が8軒もあり競い合っていますよ」とグロディスさん。
アイスランドの名が示すように地表の10%が氷河に覆われたこの国では、地熱を利用した暖房が普及しています。




 エネルギー局によると、給湯タンクにためた温水を首都圏の住民20万人に提供しており、地熱による地域暖房システムとしては世界最大。温水の源は天然温水と地熱で80度に熱した地下水です。
 「タンクの温水が地下のパイプを通って各家屋に届けられ、暖房や給湯に使われます。水道は別のパイプで家々につながっています。パイプが地下にあるので、冬でも凍ることはありません」
 レイキャビクで小さな宿を経営するヨン・シーグルズソン氏はこう話します。蛇口から出る水やお湯は、少し硫黄のにおいがしました。




政策を転換
 レイキャビクは首都としては世界最北に位置し、2月の平均最低気温はマイナス2度。従来、暖房には乾燥した泥炭、輸入した石炭、石油を使ってきました。
地熱暖房は、レイキャビクの農民が1908年に家に温泉を引いたことが始まりだといいます。
 1973年のオイルショック当時、同国では、人口の半数の暖房を石油で、4割を地熱で賄っていました。政府は石油の高騰で政策を見直し、地熱利用を促進。今日では暖房での石油利用は1%のみで、9割が地熱となっています。
 発電や暖房、温室などへの地熱の利用拡大により、2009年の1次エネルギー源に占める地熱の割合は66%になりました。水力が18%。残りは輸入する石油で、主に自動車や船舶の燃料用です。
 エネルギー局のヨハネソン局長は「石油に依存しないことをめざしています。それには自動車、船舶、航空機のエネルギー問題の解決が必要です」といいます。
同氏は「金融危機で計画が遅れましたが、新しい技術開発にも挑んでいます。水素を利用してエネルギーを生み出す水素サイクルや、ジメチルエーテルといった合成燃料、燃料電池、バイオ燃料などです」と取り組みを紹介してくれました。
(レイキャビク=小玉純一 写真も)(この項おわり)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2011年7月12日付掲載



地熱発電を進めるアイスランドが日本の技術者に「同じ火山国の日本がなぜ地熱発電を進めないのか?」と素朴な疑問を投げかけた時、日本の技術者が「それは政治の問題です」と応えたといいます。
日本で自然エネルギーの導入が遅れている本質をついていると思いますし、そう応えた日本の技術者は本当に偉いと思います。

アイスランドが自然エネルギーに大きく舵を切ったのが1973年のオイルショック。同じオイルショックを体験した日本が切った舵は原発推進でした。
原因は同じでも、政府によってこうも大きく変わるんですね。

原子力って言っても、結局は輸入(大半はアメリカ)に頼らざるをえないんですがね・・・。


日本にも人形峠というウラン鉱山(岡山県と鳥取県の県境)がありましたが、すでに閉山されています。放射能管理区域になっています。
一度行ったことがありますが、何にもないところです。