きんちゃんのぷらっとドライブ&写真撮影

「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

デュアルユース(軍民共用)の危険④ 軍産複合体が影響力

2022-12-17 07:09:05 | 平和・憲法・歴史問題について
デュアルユース(軍民共用)の危険④ 軍産複合体が影響力
民生技術を兵器に転用すれば軍事技術になります。世界の軍事技術の最先端を担うのが米国の軍需企業です。米国は世界の軍需企業トップ5社を有する世界一の軍事大国です。 
(表)


世界の軍需企業上位5社は米国企業(2021年)
順位社名武器売上高総売上高に占める
武器売上高の割合
ロッキード・マーチン約603億ドル90%
レイセオン・テクノロジーズ約418億ドル65%
ボーイング約334億ドル54%
ノースロップ・グラマン約298億ドル84%
ジェネラル・ダイナミクス約263億ドル69%
(ストックホルム国際平和研究所の資料から作成)


軍需企業は、軍事的な組織と兵器産業が一体化した「軍産複合体」の中核に位置してきました。
「軍産複合体が意図してか否かにかかわらず、不当な影響力を得ることを警戒しなければならない」
1961年、米国のアイゼンハワー大統領は退任の辞で初めてその存在に触れ、自由と民主主義を脅かすと警鐘を鳴らしました。

献金
それから61年。軍需企業は自らに有利な契約をたぐり寄せるため強力なロビー活動を展開しています。献金が選挙や政策に及ぼす影響を監視する米国の団体「オープン・シークレット」は2021年、過去20年間で軍需企業が政治家へのロビー活動に25億ドルを費やしたと公表。世界最大の軍需企業ロッキード・マーチンは21年の1年間に1440万ドルを充てました。
企業とともに政策に影響を与えるのが頭脳集団であるシンクタンクです。07年に設立された「新アメリカ安全保障センター」(CNAS)もそのひとつ。共同設立者のカート・キャンベル氏は現在、米国家安全保障会議(NSC)のインド太平洋調整官を務めます。
軍産複合体にシンクタンクを加えた「軍産シンクタンク複合体」の危険性を研究する米経済政策研究所(CEPR)のブレット・ハインツ氏は10月、平和団体が主催するオンラインシンポジウムで報告しました。
CNASへの主な寄付者には軍需企業5社のほか国防総省など複数の政府機関が名を連ねています。



ドイツのベルリンで開かれた航空ショーに展示されたロッキード・マーチン社のF35戦闘機=2018年4月25日(ロイター)

誘導
ハインツ氏はCNASのようなシンクタンクの特徴として、寄付企業に好都合な報告書を書き、企業の利益になるよう政府に働きかける役割があると分析。企業が利益を上げればシンクタンクへの寄付金がさらに膨れ上がるという仕組みです。
シンクタンクと政府は、人材が両者を出入りする、いわゆる「回転ドア」を通じて深い結びつきを維持しています。
10月、バイデン大統領は外交・安全保障政策の指針となる国家安全保障戦略を公表しました。最新鋭技術で勢いを増す中国を念頭に、サイバー、宇宙、人工知能(AI)などへの投資を強化する姿勢を強調。「戦場の状況変化に対応できる革新的で創造的な能力をつけることが必要だ」としています。さらに、軍事技術の優位性を守るため同盟国との協力体制の強化をうたいました。
日本では4月、自民党が国家安全保障戦略の「見直し」を目指して「新たな国家安全保障戦略等の策定に向けた提言」を発表。「民生先端技術を防衛分野に取り込む」と強調しました。策定には自衛隊幹部も関与しており、提言全体に大きな影響を与えました。
さらに岸田文雄政権は、特定重要技術の調査研究を行うシンクタンクの創設を目指しています。昨年12月に開かれた「経済安全保障法制に関する有識者会議」の資料にはシンクタンクの例として米国の「ランド研究所」が挙げられています。ランド研究所は米軍の支援のもと1946年に設立されました。軍事政策に大きな影響力をもつ政府系軍事シンクタンクのひとつです。
軍事革新のためにシンクタンクを使って軍事に転用可能な科学・技術を探し出し、その技術を使って軍需企業が製品化する―。米国をモデルに、日本で軍産複合体がつくられようとしています。
(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2022年12月16日付掲載


民生技術を兵器に転用すれば軍事技術になります。世界の軍事技術の最先端を担うのが米国の軍需企業です。米国は世界の軍需企業トップ5社を有する世界一の軍事大国。
10月、バイデン大統領は外交・安全保障政策の指針となる国家安全保障戦略を公表。最新鋭技術で勢いを増す中国を念頭に、サイバー、宇宙、人工知能(AI)などへの投資を強化する姿勢を強調。「戦場の状況変化に対応できる革新的で創造的な能力をつけることが必要だ」と。
まさに、軍事対軍事の悪循環です。
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デュアルユース(軍民両用)の危険③ 学術界全体を動員

2022-12-16 07:09:45 | 平和・憲法・歴史問題について
デュアルユース(軍民両用)の危険③ 学術界全体を動員
岸田文雄政権の与党自民党は、軍事と一線を画してきた学術界・経済界の姿勢を攻撃し、政府に科学・技術の軍事動員を迫っています。

提言
自民党国防議員連盟(会長=衛藤征士郎・元防衛庁長官)が今年6月、政府に提出した「産官学自一体となった防衛生産力・技術力の抜本的強化についての提言」は冒頭、「技術が戦場を支配する」とあからさまに宣言。「兵器の高度化」のための科学・技術の軍事動員を強調しました。
「動員戦略」の障害を取り除くため、まず日本学術会議を攻撃します。「日本学術会議による累次にわたる『軍事目的のための科学研究を行わない』旨の声明が示すとおり、学術界からは徹底して『軍事』は忌避されてきた」。提言はこう強調し、平和を願う研究者の思いを踏みつけにします。
科学・技術の軍事動員のために政府が前面に出ることを提言は要求します。政府に「研究開発の司令塔となる組織」の新設を求めました。さらに内閣府の「総合科学技術・イノベーション会議」(CSTI、議長=首相)に防衛相を常任メンバーとして参加させることを求めました。
CSTIへの防衛相の常時参加は、国の科学・技術政策を軍事的に変貌させ、学術界全体を軍事動員させる大きなテコとなります。
CSTIには首相をトップに関係閣僚、日本学術会議会長、経済界出身の有識者らが「議員」として参加。5年に1度「科学技術基本計画」(第1期1996年~)を策定し、各省庁への科学・技術関係予算の分配権限を持つ「司令塔」の役割を担ってきました。
第2次安倍晋三政権は2014年、産業界の意向を強く反映したイノベーション創出促進を図る会議体へと改変。さらに「第5期基本計画」(16年)で科学・技術の方向性を「安全保障」に資するものとする内容を盛り込み、第6期計画(21年)では科学・技術を「総合的な安全保障の基盤」と位置づけ、その「強化」のために国内外の研究動向の把握や特定重要技術の流出防止などを掲げています。



総合科学技術・イノベーション会議(CSTI)で発言する岸田文雄首相=6月2日、首相官邸(首相官邸ホームページから)

一体
CSTIの主導で、内閣府が大学等研究機関の膨大な科学・技術の研究データベースを保有しています。日本科学者会議科学・技術政策委員会の野村康秀氏は、防衛相の常任議員入りによって「防衛省職員が、内閣府の事務局に派遣され常駐することになり、国内の科学・技術のデータベースや動向を直接把握できるようになる」と危険性を指摘。自衛隊と米軍の一体化が深まる下で「米国の軍事技術の関心をタイムラグ(時間のずれ)なく反映できるようになる」とその狙いを強調します。
前出の自民党提言は、「司令塔」づくりで米国防総省の高等研究計画局(DARPA=ダーパ)をモデルにするよう求めました。経団連も今年4月の「防衛計画の大綱に向けた提言」で、ダーパを参考にした組織の立ち上げを提起しています。
ダーパは、国防総省内で軍事研究の資金配分を担う機関で、米軍の軍事技術の優位性を維持することを目的にしています。主な任務は科学者と軍事研究との仲立ちであり、大学などの基礎研究部門を注視して軍事に転用可能な研究に研究費を拠出しています。約30億ドル(約4110億円)規模の年間予算で、ステルス技術や無人航空機など革新的な軍事技術の開発の手引きをしています。
軍学共同反対連絡会の浜田盛久氏(海洋研究開発機構研究員)は、「日本版ダーパの新設は軍産学複合体の形成につながる」と指摘。「米国のような軍事国家に進むのか、それとも戦争動員された歴史を反省して軍事と決別した日本の学術の在り方を発展させるのか、岐路に立っている」
(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2022年12月15日付掲載


「動員戦略」の障害を取り除くため、まず日本学術会議を攻撃。「日本学術会議による累次にわたる『軍事目的のための科学研究を行わない』旨の声明が示すとおり、学術界からは徹底して『軍事』は忌避されてきた」。提言はこう強調し、平和を願う研究者の思いを踏みつけに。
軍学共同反対連絡会の浜田盛久氏(海洋研究開発機構研究員)は、「日本版ダーパの新設は軍産学複合体の形成につながる」と指摘。「米国のような軍事国家に進むのか、それとも戦争動員された歴史を反省して軍事と決別した日本の学術の在り方を発展させるのか、岐路に立っている」
学問を軍事に利用させないという決意と世論が大事。
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デュアルユース(軍民両用)の危険② 国立研究法人が中核

2022-12-15 07:11:59 | 平和・憲法・歴史問題について
デュアルユース(軍民両用)の危険② 国立研究法人が中核
岸田文雄政権は「戦争国家」づくりの一環として、科学・技術の軍事動員の議論を本格化させています。政府の「国力としての防衛力を総合的に考える有識者会議」が取りまとめた報告書(11月22日)は、最先端の科学・技術のデュアルユース(軍民両用)化を明言しました。

協力
報告書は「政府と大学、民間が一体となって、防衛力の強化にもつながる研究開発を進めるための仕組みづくりに早急に取り組むべき」だと求めました。さらに、経済産業省所管の新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)や文部科学省所管の科学技術振興機構(JST)などの「国立研究開発法人」を活用すべきだとして具体的に体制づくりを示しました。
報告書の提案は、有識者会議で橋本和仁(JST理事長)と上山隆大(総合科学技術・イノベーション会議常勤議員)の両委員が提示した内容が基になっています。
橋本・上山両氏は11月9日の有識者会議第2回会合で、「防衛力強化」を最大の目的とする科学・技術分野と軍事組織との協力の枠組みを提案しました。
政府はすでに、防衛省が将来的な軍事転用を見込んで技術開発の援助を行う「安全保障技術研究推進制度」を進めています。両氏はそれに加え、5千億円規模の「経済安全保障重要技術育成プログラム」(経産省所管)を活用し、▽政府が行う各種技術開発・実証支援▽国立研究開発法人が行う先端研究▽研究者の発想に基づく研究―が軍事的要望に応えられるよう体制の整備を求めました。




ハブ
具体的には、「国立研究開発法人」を「ハブ」(中核)にして防衛装備庁と大学の研究者、民間企業が参画する研究の場を設定。同法人の役割は「防衛省からの委託による研究」を「拡充」し、軍事的要望に即応した「防衛力強化等の重点政策ニーズの観点からの技術育成(目的研究)」を担うこととしました。
同時に、各国立研究開発法人で進む研究プロジェクトで、将来を見越した「防衛力の足腰を支える幅広い技術のシーズ(種)育成」を行いデュアルユースの推進を掲げました。
一方、「目的研究」を行う民間企業に対しては、税制優遇や資金調達援助など「スタートアップ」の策をとることを求めました。
防衛省・防衛装備庁については、従来の基礎・応用の「研究の拡充」を行いながら「目的研究」を実施するとしています。
軍学共同反対連絡会共同代表の池内了(さとる)名古屋大学名誉教授(宇宙物理学)は、「国立研究開発法人ならば法人プロジェクトとして巨額の資金を投じて進めることができ、政府もコントロールしやすい」と指摘。大学が人材の供給源となり、プロジェクトの組織化をハブであるNEDOやJSTなどの研究開発法人が担うというのです。「現に募集中の経済安全保障重要技術育成プログラムの公募では、この2法人が募集主体となっている」
橋本・上山両氏の提案に対し、浜田靖一防衛相は「しっかりと関与したい」と応答し、推進の考えを示しました。永岡桂子文科相は国立研究開発法人を活用するとして「研究者が参画しやすい環境を整備することが重要だ」と発言。政府のデュアルユース推進体制づくりが急ピッチで進んでいます。(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2022年12月14日付掲載


軍学共同反対連絡会共同代表の池内了(さとる)名古屋大学名誉教授(宇宙物理学)は、「国立研究開発法人ならば法人プロジェクトとして巨額の資金を投じて進めることができ、政府もコントロールしやすい」と指摘。大学が人材の供給源となり、プロジェクトの組織化をハブであるNEDOやJSTなどの研究開発法人が担う。
あからさまに、官と学と民が共同で軍事技術の開発を行うってことです。
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デュアルユース(軍民両用)の危険① 「復興」に潜り込む軍事

2022-12-14 07:07:05 | 平和・憲法・歴史問題について
デュアルユース(軍民両用)の危険① 「復興」に潜り込む軍事
岸田文雄政権による大軍拡路線は、科学・技術を軍事へ動員する仕組みづくりに拍車をかけています。軍事と民生双方に活用できる「デュアルユース」の危険性を追います。

福島県の太平洋沿岸部に位置する「浜通り地域」は東日本大震災による津波と原発事故で大きな被害を受けました。この地で国と県が「復興の切り札」とする国家プロジェクトが進んでいます。「福島イノベーション・コースト構想」です。新たな技術や産業を創出することで、浜通り地域の失われた産業基盤を回復するとうたいます。構想に基づき整備されたのが「福島ロボットテストフィールド」です。
事業費156億円を投じ、2020年3月、南相馬市と浪江町に全面開所しました。南相馬市には東京ドーム10個分の敷地にドローン(無人機)の飛行実験場や、救命ロボット用の模擬災害現場など「陸・海・空」20余の施設を整備しています。





福島ロボットテストフィールド=福島県南相馬市

転用
ロボット産業の育成を目指す「福島イノベーション・コースト構想」に防衛省は関係閣僚会議のメンバーとして参画。17年7月28日に開かれた第1回会議で若宮健嗣(けんじ)防衛副大臣(当時)は、「民間企業が、ロボットにかかわる新たな製品または新技術の開発を行う際に、防衛装備庁の試験研究施設をご利用いただくことにより、構想の推進に協力したい」と発言しました。民間企業の技術開発に防衛省の施設を活用させることで、民生技術を軍事転用したいとの意図を暗に示しています。
科学史・技術史を研究してきた東北大学の井原聰名誉教授は、「陸自のフィールドを民間に提供することで民間と技術交流の機会が増え、民事が軍事に寛容になる」と、その危険性を指摘します。「軍事技術は秘匿されるので、精緻になるが先細りになり、先進技術はうまれにくい。軍隊内の開発には限界があり、民をあてにしなければならないのです」
さらに若宮氏は第1回会議で、将来的な「福島ロボットテストフィールド」の活用についても言及。「防衛省におきましてもロボット関連技術の研究開発を進めているところ」「将来的にも、福島ロボットテストフィールドを利用する可能性についても検討してまいりたい」と強調しました。
『ルポ母子避難』などの著書があるフリーライターの吉田千亜氏は、復興を隠れみのにした軍事利用に警鐘を鳴らします。
吉田氏が情報開示請求で入手した資料によると、防衛省の外局である防側装備庁は21年、「福島ロボットテストフィールド」で、作業車両の遠隔操縦実験と、高機動パワードスーツ(強化服)実験の二つの事業を行っていました。装備庁は、あくまで災害対応と説明しています。
車両実験では、原発事故などの災害を想定した訓練を実施。この訓練は、化学・生物・放射線・核(頭文字をとってCBRN=シーバーン)による汚染環境下でも、遠隔操作で車両を動かそうというものです。複数車両の情報を統合し作業エリアの静臨表示や3次元(3D)地図を作成しました。
情報開示資料には、ここで得られた情報や経験は、「将来の陸上自衛隊が運用する陸上無人車両の遠隔操縦性の向上に貢献することが期待できる」と記されています。井原氏は「まぎれもなく兵器の実機試験と試行運用です」と指摘します。



福島ロボットテストフィールド内にある実験施設=福島県南相馬市

戦闘
高機動パワードスーツの性能試験もあくまで「災害派遣」の試験として実施されました。しかし、情報開示資料には、高機動パワードスーツの使い道として「島しょ防衛」が「災害派遣」と同等の扱いで列挙されています。
パワードスーツは軍民両用技術です。重い荷物を持ち上げる際にかかる身体への負担を軽減する目的で開発が進んできました。国内では介護や農業などを中心に製品化が進む一方、米国では軍用としての技術開発も行われています。
一連の研究を終え、装備庁は「戦闘行動時に必要な高い移動速度で行動可能なパワードスーツは本研究で初めて実現した」と評価。「諸外国と比較して技術的優位性が高い」と結論付けました。
実験にかかった経費は全体で約5千万円。「福島ロボットテストフィールド」の借り上げ費用として420万円を払っています。
震災後の福島を取材してきた吉田氏は、「復興名目でやっているのだとしたら非常に問題だ」と指摘。「福島ロボットテストフィールド」の利用規約に「平和利用に限る」との文言を加えるなど、復興に資する使い方に限定すべきだと提起します。(つづく)(5回連載です)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2022年12月13日付掲載


17年7月28日に開かれた第1回会議で若宮健嗣(けんじ)防衛副大臣(当時)は、「民間企業が、ロボットにかかわる新たな製品または新技術の開発を行う際に、防衛装備庁の試験研究施設をご利用いただくことにより、構想の推進に協力したい」と発言。民間企業の技術開発に防衛省の施設を活用させることで、民生技術を軍事転用したいとの意図を暗に。
高機動パワードスーツの性能試験もあくまで「災害派遣」の試験として実施。しかし、情報開示資料には、高機動パワードスーツの使い道として「島しょ防衛」が「災害派遣」と同等の扱いで列挙。
重い荷物を持ち上げる際にかかる身体への負担を軽減する目的で開発。国内では介護や農業などを中心に製品化が進む一方、米国では軍用としての技術開発も。
まさに、軍民両用技術です。
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農業つぶすインボイス 免税の小規模農家に多くの不利益

2022-12-13 07:10:15 | 経済・産業・中小企業対策など
農業つぶすインボイス 免税の小規模農家に多くの不利益
そもそも消費税は農業を破壊する税制です。
農家は米や野菜を出荷する場合、販売価格を自分で決めることができません(産直市など例外も)。農協出荷や卸売市場に直接持ち込んでも、取引価格は「セリ」で決まり、経済的に強い立場にある買い手により左右されます。もともと農業は、天候や災害、病気・害虫の発生などで豊凶が変動します。
その結果、工業製品とは違い、生産に投入した経費が回収できず赤字になることもしばしばです。特に生産者米価(60キロ当たり)は、生産費1万5046円(2020年)を大きく下回る1万1千円前後です。



コンバインで稲刈り=岩手県遠野市

農家のほぼ9割が売り上げ1千万円以下の消費税の免税事業者です。22年の農業構造動態調査では農業経営体数が100万を下回り、生産基盤の崩壊が深刻です。コロナ禍とウクライナ危機で農業生産に必要な種子・肥料・農薬・生産資材が高騰し、多くの農家が経営危機に陥っています。
しかも、免税農家は、納税免除の代わりに、経費の仕入れにかかる消費税を負担しながら仕入れ税額控除ができず、「益税」どころか大幅な「損税」になっています。
インボイス制度が導入されると、これまでは農産物を仕入れた事業者が「帳簿方式」で仕入れ税額を控除できていたのに、今度はインボイスがなければ控除できなくなります。インボイスが発行できない免税農家は価格引き下げを求められ、取引そのものを断られることも心配されます。そのため、売り上げが小さくても課税事業者になってインボイスの登録をするよう迫られています。
本来、税金は支払う能力のあるものから集めるのが原則です。しかし、米や野菜などの売り上げがある限り、農業経営が赤字で所得税も納められない農家でも、消費税だけは納税しなければなりません。インボイス制度の導入は日本農業を支える小規模・家族農業の農家に「農業をやめろ」というのと同じです。

農業は農家だけでなく生産を支える多くの職種があって成り立っています。農村では畜産のヘルパーや畦(あぜ)などの草刈りを手伝ってくれるシルバー人材センター、個人獣医、授精師、削蹄(さくてい)師、地域の農機具店や肥料販売店、地域の農地を守るための集落営農組織、堆肥散布など作業委託料やコントラクター(農作業請負業者)など農業に関連するすべての取引にインボイスが必要になります。
多くの農家の経営を守って活動している農民連の産直センターも、出荷する免税農家への対応で苦しい判断を迫られており、経営基盤を根こそぎ破壊されかねません。地域の産直市でも、免税農家と課税農家で販売価格に差がつき、品質ではない理由で農家間に新たな差別が生み出されます。
小規模事業者の納税義務免除は消費税法9条に定められた権利です。インボイス導入を口実に奪うことは許されません。
長谷川敏郎(はせがわ・としろう 農民運動全国連合会会長)

「しんぶん赤旗」日曜版 2022年12月11日付掲載


農家のほぼ9割が売り上げ1千万円以下の消費税の免税事業者。22年の農業構造動態調査では農業経営体数が100万を下回り、生産基盤の崩壊が深刻。コロナ禍とウクライナ危機で農業生産に必要な種子・肥料・農薬・生産資材が高騰し、多くの農家が経営危機に。
しかも、免税農家は、納税免除の代わりに、経費の仕入れにかかる消費税を負担しながら仕入れ税額控除ができず、「益税」どころか大幅な「損税」に。
インボイス制度が導入されると、これまでは農産物を仕入れた事業者が「帳簿方式」で仕入れ税額を控除できていたのに、今度はインボイスがなければ控除できなくなる。インボイスが発行できない免税農家は価格引き下げを求められ、取引そのものを断られることも心配。そのため、売り上げが小さくても課税事業者になってインボイスの登録をするよう迫られる。
本来、税金は支払う能力のあるものから集めるのが原則。しかし、米や野菜などの売り上げがある限り、農業経営が赤字で所得税も納められない農家でも、消費税だけは納税しなければなりません。インボイス制度の導入は日本農業を支える小規模・家族農業の農家に「農業をやめろ」というのと同じ。
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