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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

経済政策総点検 骨太方針と成長戦略 ① 財界要求丸のみ 金権腐敗を体現

2024-07-19 07:41:37 | 予算・税金・消費税・社会保障など
経済政策総点検 骨太方針と成長戦略 ① 財界要求丸のみ 金権腐敗を体現

岸田文雄政権が6月21日に閣議決定した「経済財政運営と改革の基本方針2024」(骨太方針)と「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画2024年改訂版」(成長戦略)は、政府の経済政策と予算編成の基本的な方向性をまとめた文書です。その全体を点検します。

骨太方針と成長戦略を貫く特徴は、自民党の金権腐敗政治を体現していることです。
骨太方針は内閣府の経済財政諮問会議で、成長戦略は内閣官房の新しい資本主義実現会議で議論されてきました。どちらの会議でも、岸田文雄首相が議長を務め、財界団体の代表者(十倉雅和経団連会長と新浪剛史経済同友会代表幹事)が構成員になっています。
財界代表者らは毎回の会議に要求書を提出し、大企業の利益を第一にする政策を求めました。それらの要求がそっくりそのまま骨太方針と成長戦略に取り入れられています。大企業からの献金にどっぷりつかった自民党が、大企業に巨大な見返りを与えるための政策集となっています。十倉氏と新浪氏は骨太方針が閣議決定された6月21日に談話を公表し、「日本経済を成長型の新たなステージへ移行させるための政策が数多く盛り込まれている」(十倉氏)などと賛美しました。
日本経済の現状は深刻です。賃金低迷と物価高騰により、実質賃金は26カ月連続で前年同月より減っています(グラフ1)。日銀の「生活意識に関するアンケート調査」(24年6月)では、景況感が「良くなった」との回答は7・7%にとどまり、「悪くなった」が57・5%を占めます。(グラフ2)






ところが骨太方針は「デフレから完全に脱却し、成長型の経済を実現させる千載一遇の歴史的チャンスを迎えている」と述べます。
財界代表の意見をおうむ返しにし、国民生活を苦しめている物価高騰を歓迎するのです。異常円安と強欲インフレ(便乗値上げ)で大もうけしている多国籍大企業の立場を反映しています。

社会保障カット
財界代表が求めた経済・財政政策の中心は①社会保障を標的にした「歳出改革」②特定の大企業を支援する「投資促進策」③「人材確保」のための「労働移動円滑化」―でした。これらが丸ごと岸田政権の基本方針とされています。
骨太方針は国・地方の基礎的財政収支(プライマリーバランス)を25年度に「黒字化」する目標を明記。国内総生産(GDP)比で政府債務残高を引き下げるため、25年度から27年度に集中的な「歳出改革」を行うなど、国の予算の削減・抑制を強調しています。「財政健全化」を口実に社会保障費を削減の標的とし、大企業の税・社会保険料負担の軽減を図るものです。5年で43兆円の大軍拡のツケを国民に回すという意味合いもあります。
社会保障については、23年12月に閣議決定した「改革工程」(全世代型社会保障構築を目指す改革の道筋)を「着実に推進する」と表明。医療と介護の給付を減らし、患者や要介護者の負担を増やす方針を示しました。年金については毎年のように減額する現行制度を温存します。
「全世代型社会保障」とごまかして全世代に負担増を押し付け、経済に大打撃を与える政策です。国民の実質所得低下から人口減少を招いた「コストカット経済」の大失敗を繰り返そうとしています。



経済財政諮問会議・新しい資本主義実現会議合同会議で発言する岸田文雄首相=6月21日、首相官邸ホームページから

雇用を不安定化
他方で、骨太方針も成長戦略も「経済あっての財政」を強調し、大企業優遇政策を列挙します。国民向け歳出には大ナタをふるいながら、特定の大企業には「官民連携」「経済安保」などの名目で政府財政からの支援を惜しみなく注ぎます。人工知能(AI)や半導体の分野で研究開発や国内拠点整備などに「政策支援を集中投入する」としました。
戦争する国づくりと日米軍需産業支援に向けた大軍拡にも熱心です。「防衛力強化」のための歳出については「多年度にわたり計画的に拡充する」と例外扱いする方針を明記。新たな軍拡増税で国民に負担を押し付ける方針まで示しています。
気候危機対策のGX(グリーントランスフォーメーション=脱炭素化)も、財界が切望する原発推進の口実として扱います。「脱炭素電源」として原発を「最大限活用する」と明記し、再稼働を狙うほか、「次世代革新炉の開発・建設」や老朽原発の「建て替えの具体化」を進めるとしました。
骨太方針と成長戦略は賃上げの重要性を強調しますが、そのための施策と偽って、財界の宿願である雇用の流動化を推し進める構えです。それが「三位一体の労働市場改革」(①労働者の学び直し促進②職務給の導入③労働移動の円滑化)です。大企業が雇用維持の・責任を放棄し、必要なときに必要なだけ「人材」を確保するための政策です。多くの労働者に賃下げと雇用の不安定化をもたらします。
(清水渡、杉本恒如)(つづく)(10回連載です)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2024年7月18日付掲載


骨太方針は内閣府の経済財政諮問会議で、成長戦略は内閣官房の新しい資本主義実現会議で議論。どちらの会議でも、岸田文雄首相が議長を務め、財界団体の代表者(十倉雅和経団連会長と新浪剛史経済同友会代表幹事)が構成員に。
日本経済の現状は深刻。賃金低迷と物価高騰により、実質賃金は26カ月連続で前年同月より減っています(グラフ1)。日銀の「生活意識に関するアンケート調査」(24年6月)では、景況感が「良くなった」との回答は7・7%にとどまり、「悪くなった」が57・5%を占めます。(グラフ2)
財界代表が求めた経済・財政政策の中心は①社会保障を標的にした「歳出改革」②特定の大企業を支援する「投資促進策」③「人材確保」のための「労働移動円滑化」―でした。これらが丸ごと岸田政権の基本方針と。
骨太方針と成長戦略は賃上げの重要性を強調しますが、そのための施策と偽って、財界の宿願である雇用の流動化を推し進める構え。それが「三位一体の労働市場改革」(①労働者の学び直し促進②職務給の導入③労働移動の円滑化)。


目で見る経済 国税収入最高も消費税突出

2024-07-18 07:21:56 | 予算・税金・消費税・社会保障など
目で見る経済 国税収入最高も消費税突出

財務省が発表した2023年度の決算概要によると、国の一般会計税収は72・1兆円と過去最高額となりました。
決算で国税収入が過去最高を記録するのは20年度以降、4年連続です。「基幹3税」のうち所得税は22年度を下回ったものの法人税、消費税は上回りました。しかし、税収の内訳を長期的に見ると消費税収の増加が鮮明です。
歴史的に税収をみると、18年度に当時の過去最高を記録しました。それ以前でもっとも税収が高かったのは1990年度の60・1兆円です。90年度と2023年度の税収内訳を比較すると、法人税は2・5兆円、所得税は3・9兆円も減っています。一方、消費税は1990年度の4・6兆円から2023年度の23・1兆円へと5倍に増えました。国の一般会計税収全体に占める消費税の割合も1990年度の7・7%から2023年度の32%へと4倍以上に高まっています。国税収入が消費税頼みになっていることが鮮明です。
1989年4月に導入された消費税は当初、3%の税率でした。それが97年4月に5%、2014年4月に8%、19年10月に10%へと段階的に引き上げられてきました。引き上げのたびに消費が冷え込み、景気を落ち込ませたものの税収が着実に伸びていったのです。






物価高騰も要因
さらに23年度の消費税収が政府の見積もりを超えて増えた要因の一つに物価高騰もあります。23年度の消費者物価指数(総合)は前年に比べて3%も上昇しました。国民生活を苦しめる物価高騰が消費税収を増やしたのです。
一方、所得税の最高税率は1990年当時、50%でした。その後、99年度に37%まで引き下げられ、2007年度に40%、15年度以降は45%となっています。おもに高額所得者の税負担が軽くなりました。
また、株式譲渡益や株式配当にかかる税金は給与所得や事業所得にかかる税金より税率が低く設定されており、国と地方を合わせて20%にすぎません。汗水垂らして働いて得られる勤労所得には国と地方を合わせて最高55%の税がかかるのに、ぬれ手で粟(あわ)の不労所得にはその半分以下しかかかっていません。金融資産を多く持つ富裕層ほど有利な税制なのです。
法人税率は1990年度当時37・5%でした。実は89年度までは40%だった法人税率が消費税導入を機に引き下げられたのです。その後も法人税率は段階的に引き下げられ、2018年度以降は23・2%となっています。

応能負担税制に
国税庁の資料によると、1990年度の法人所得金額は53・4兆円で法人税収は18・4兆円でした。2022年度は法人所得金額は84・4兆円と過去最高を記録したのに、法人税収は14・9兆円にとどまっています。企業が利益をあげても法人税率が下がっているために法人税収は増えなくなっているのです。同時に、研究開発減税や連結納税、配当益金不算入などもっぱら大企業に恩恵を与える制度によって大企業ほど税負担が少なくなっています。
こうした高額所得者と大企業を優遇する税制をただし、応能負担の税制を実現することで国民生活を充実させる政策の財源にすることができます。
(清水渡)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2024年7月17日付掲載


歴史的に税収をみると、18年度に当時の過去最高を記録。それ以前でもっとも税収が高かったのは1990年度の60・1兆円。90年度と2023年度の税収内訳を比較すると、法人税は2・5兆円、所得税は3・9兆円も減っています。一方、消費税は1990年度の4・6兆円から2023年度の23・1兆円へと5倍に増えました。国の一般会計税収全体に占める消費税の割合も1990年度の7・7%から2023年度の32%へと4倍以上に高まっています。国税収入が消費税頼みになっていることが鮮明。
企業が利益をあげても法人税率が下がっているために法人税収は増えなくなっているのです。
こうした高額所得者と大企業を優遇する税制をただし、応能負担の税制を実現することで国民生活を充実させる政策の財源にすることができます。

独占パワー⑤ 民主主義パワー強く

2024-07-17 07:18:01 | 経済・産業・中小企業対策など
独占パワー⑤ 民主主義パワー強く

政治経済研究所 合田寛主任研究員

経済のグローバル化と新自由主義の下で巨大企業はその規模をますます大きくし、影響する範囲をますます広げてきました。
とくにマイクロソフト、アップルに加え、半導体ブームで株価を急上昇させたエヌビディアの時価総額はそれぞれ約3兆ドル(約480兆円)規模に達し、フランスの国内総生産(GDP)2・9兆ドルより大きくなっています。これら3企業にアマゾンとメタを加えた世界五大企業の時価総額は、アフリカ、ラテンアメリカ、カリブ海諸国のGDP合計額を上回ります。
企業は国家の規模を超える大きさにまで膨らんでいるのです。今日のグローバル資本主義は歴史上かつてない巨大独占の時代を迎えていると言っても言い過ぎではありません。

富の集中の危険
巨大独占企業は、国内では消費者利益を損ない、労働者を抑圧するとともに、公共部門の民営化を推進します。他方、国外ではグローバルなサプライチェーン(供給網)を形成して途上国・新興国の自然と労働者を支配し、搾取します。そうして得た膨大な利益を最高経営責任者(CEO)や主要株主に分配しています。あくなき開発は気候変動の危機をつくり出しています。極端な格差の拡大は社会の分断と憎悪を生み出し、紛争と戦争を招く原因となっています。
巨大企業は潤沢な資金で政治献金を行い、ロビー活動を強め、国家の政策に影響を与えます。有力シンクタンク、メディア、出版物のスポンサーとなり、社会全体に広く影響力を及ぼしています。
富と権力の集中は、いまや民主的なコントロールが及ばないほどに大きくなっています。
富の極端な集中によって衰えつつある中産階級は、不満を解消するために、ますます急進的な解決策を支持するようになっています。排外的な右翼勢力の急伸はその一方の表れであり、経済の独裁が政治の独裁を生み出す危険をはらんでいます。



アップルの反トラスト法(独占禁止法)違反に関して記者会見で発言する欧州委員会のマルグレーテ・ベステアー委員=2021年4月30日(ロイター)

幅広い力を結集
他方で、いまの社会に失望した多くの若者たちが、社会の仕組みを根本から変えたいという要求を表明するようになっています。
独占パワーを抑制し、経済民主主義をはかるためには、第一に、反独占政策を強め、公正な取引や健全な市場競争を実現しなければなりません。
第二に、巨大企業や富裕者に対する課税を強化し、財政の役割を強め、極端な不平等をなくすことです。
第三に、政府や労働者の代表が大企業の経営やガバナンス(統治)に関与し、独占パワーの弊害を取り除くことです。そのためには労働者代表の経営参加や巨大企業株式の公共的所有など、資本主義をのり越える、新しい社会主義への挑戦が課題となります。
グローバルに展開する巨大企業の独占パワーとたたかうためには、グローバルな人々の連帯と協力が欠かせません。労働者のパワー、市民社会のパワーを幅広く結集し、民主主義のパワーを強めれば、独占パワーを追い詰め、圧倒することは不可能ではありません。(おわり)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2024年7月14日付掲載


巨大独占企業は、国内では消費者利益を損ない、労働者を抑圧するとともに、公共部門の民営化を推進します。他方、国外ではグローバルなサプライチェーン(供給網)を形成して途上国・新興国の自然と労働者を支配し、搾取します。そうして得た膨大な利益を最高経営責任者(CEO)や主要株主に分配。
富と権力の集中は、いまや民主的なコントロールが及ばないほどに大きく。
独占パワーを抑制し、経済民主主義をはかるためには、第一に、反独占政策を強め、公正な取引や健全な市場競争の実現を。
第二に、巨大企業や富裕者に対する課税を強化し、財政の役割を強め、極端な不平等をなくすこと。
第三に、政府や労働者の代表が大企業の経営やガバナンス(統治)に関与し、独占パワーの弊害を取り除くこと。

独占パワー④ 低下する労働分配率

2024-07-16 07:08:41 | 経済・産業・中小企業対策など
独占パワー④ 低下する労働分配率

政治経済研究所 合田寛主任研究員

大企業の独占パワーの増大は、生み出された富を労働者・消費者・中小企業からかすめとり、企業のオーナーへ分配する力として働いています。

CEO報酬急増
巨大企業の最高経営責任者(CEO)への報酬や株主への配当が急増しています。米国350社の大企業を対象とした調査によれば、賃金に対するCEO報酬の比率は、21倍(1965年)から344倍(2022年)へと大幅に増えています。
これは経営者のスキルや生産性の反映ではなく、自らの報酬を決める経営者のパワーの増大を示すものです。また、「会社は株主のもの」と考える株主資本主義の下で、株主目線の経営を求める大株主の意向を反映して、経営者への株式報酬が増やされた結果です。日本の大企業でも、経営者への株式報酬や株主配当が顕著に増加し、米国式の株主資本主義が強まっています。
他方、独占パワーを強めた大企業は、労働者に対して賃金を抑制し、労働分配率を引き下げてきました。
独占パワーが強まればマークアップが高まる一方、労働分配率が低下することは多くの実証研究によって確かめられています。国際通貨基金(IMF)のスタッフ、アグスチン・ベラスケス氏の研究(23年)は、アメリカ製造業の労働分配率低下の76%はマーケット・パワーの増大で説明できるとしています。大企業のマーケット・パワーの増大は、利潤への配分を高める一方、労働者への配分を低下させ、労働分配率を低下させたと分析しています。
物価が上がれば賃上げ政策が必要であったにもかかわらず、賃金が抑制されてきたために、実質賃金は大幅に引き下げられてきたのです。



アップルのCEOティム・クック氏(ロイター)

実質賃金の低下
国際労働機関(ILO)の「世界賃金報告2022―23」は、52カ国を対象とした調査結果として、賃金の伸びと労働生産性の伸びのギャップは一方的に拡大し、22年には21世紀の初め以来、最も大きくなったことを指摘しています。
低い実質賃金は、とくに女性や非正規労働者、移民労働者など、差別された労働者を苦しめ、その生活を圧迫しており、貧困を生み出す原因となっています。
実質賃金の低下はとりわけ日本で深刻です。ニッセイ基礎研究所の最近のリボート(「日米欧の実質賃金推移とその特徴」24年5月30日)は、日本、米国、欧州の1999年から2023年までの実質賃金の上昇率とその内訳の比較をしています。
それによると、1人当たりの実質賃金の上昇率は米国で34・0%、英国で42・0%、ユーロ圏平均でも10・0%であるのに対して、日本はマイナス2・0%と、極端に低い結果となっています。1人当たりの生産性が上昇しているにもかかわらず、実質賃金が下落しているのは世界の主要国の中で日本だけです。
米国、ユーロ圏など、労働分配率が下がっている国でも実質賃金は上がっているのに対して、日本では労働分配率も実質賃金も下がっています。労働分配率の長期的な低下が実質賃金の引き下げにつながっていることを示しています。
(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2024年7月13日付掲載


米国350社の大企業を対象とした調査によれば、賃金に対するCEO報酬の比率は、21倍(1965年)から344倍(2022年)へと大幅に増えています。
「会社は株主のもの」と考える株主資本主義の下で、株主目線の経営を求める大株主の意向を反映して、経営者への株式報酬が増やされた結果。
国際労働機関(ILO)の「世界賃金報告2022―23」は、52カ国を対象とした調査結果として、賃金の伸びと労働生産性の伸びのギャップは一方的に拡大し、22年には21世紀の初め以来、最も大きくなったことを指摘。


独占パワー③ 米上院公聴会での証言

2024-07-15 07:16:52 | 経済・産業・中小企業対策など
独占パワー③ 米上院公聴会での証言

政治経済研究所 合田寛主任研究員

物価高騰とインフレの原因を突き止めるために、アメリカ上院の委員会では5月2日、物価問題に関する公聴会が開かれました。
公聴会の冒頭、シェロッド・ブラウン委員長(民主党)は「物価高騰と企業利益の増加が同時進行している。これは偶然の一致なのだろうか」と問いかけています。企業が利益を増やすために、コストを大幅に上回る価格を付けているのではないかという問いです。

新しい企業戦略
公聴会では3人の研究者に証言を求めました。その一人、アリ・ブスタマンテ氏(ニューオーリンズ大学教授)は、物価引き上げをめぐる企業の新しい戦略について、次のような証言をおこなっています。
現在、進行しているインフレは企業の価格決定力に関係した暴利追求によって引き起こされている。競争的な市場では企業のマークアップ(原価に加えられる利潤)は低いが、企業がマーケット・パワーを強めるにつれてマークアップを高め、高い価格を付けることができるようになる。最近のマークアップの高まりは少数の大企業によって先導された―。
そのうえで、大企業が高いマークアップを設定し、維持するためにとっている戦略として、次の五つを挙げています。
① 標準的マークアップ引き上げ 売り手が利益を増やすために、コストに対するマークアップの割合を引き上げること。
② 「シュリンクフレーション」 シュリンクというのは「減る、少なくなる」という意味。価格は従来通り維持するが、商品の量やサイズを減らすことによって、実際上の値上げを図ること。
③ 「ダイナミック・プライシング」 膨大な消費者のデータをもとにして、人工知能(AI)を使って価格を調整すること。レストランのメニュー・ボードや商品棚の価格ラベルを電子化し、最大の利益が得られるように、日ごとに、あるいは時間ごとにリアルタイムで価格を変更する。
④ 「おとり価格」戦略 消費者に高価な商品を選ばせる目的で、比較対象として、見劣りする商品を紹介すること。
⑤ 抱き合わせ販売 個別に買うよりも節約できると説明して、他の商品と一緒に販売すること。



アマゾンのCEOジェフ・ベゾス氏(ロイター)

透明性の確保を
ブスタマンテ氏は、大企業が暴利目的の価格設定によって得る利益は、配当や自社株買い(株価上昇)を通じて経営者と株主の資産を増やす一方で、消費者、労働者、中小企業にとっては有害なものだと証言しました。
最後に、政府の取るべき手段として、反トラスト法を強化するとともに、公正さと透明性を確保するための価格設定ガイドラインを策定することを提案しています。
(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2024年7月11日付掲載


アメリカ上院の委員会では5月2日、物価問題に関する公聴会。公聴会の冒頭、シェロッド・ブラウン委員長(民主党)は「物価高騰と企業利益の増加が同時進行している。これは偶然の一致なのだろうか」と問いかけています。企業が利益を増やすために、コストを大幅に上回る価格を付けているのではないかという問い。
公聴会では3人の研究者に証言を求めました。その一人、アリ・ブスタマンテ氏(ニューオーリンズ大学教授)は、物価引き上げをめぐる企業の新しい戦略について、次のような証言。
大企業が高いマークアップを設定し、維持するためにとっている戦略として、次の五つを。① 標準的マークアップ引き上げ② 「シュリンクフレーション」③ 「ダイナミック・プライシング」④ 「おとり価格」戦略⑤ 抱き合わせ販売