2021年03月09日
リポート 北海道機船漁業協同組合連合会 原口聖二
[ロシア動植物衛生監督局長 中国の水産物輸入制限は長期的戦略]
ロシア動植物衛生監督局長ダンクベルトは、ロシア漁業が中国に対して大幅に譲歩し、水産物の供給回復を期待するべきではないと提言した。
ロシアの水産物輸出の70%が中国に向けられていたが、新型コロナウイルス(以下CV19)拡散防止対策により昨年2020年末から、ほぼ停止状態となった。
CV19は、ロシア人漁船員と水産物製品から繰り返し検出された。
”ロシスカヤ・ガゼータ”紙のインタァヴューでダンクベルトは、ロシア漁船・運搬船の乗組員にCV19感染者がいるのは事実で、水産物製品供給が制限されたのは、中国人の健康への懸念だと語り、自身(ダンクベルト)もそれについて疑いの余地はないと加えた。
しかし、一方でダンクベルトは、ロシアの水産物の輸入を制限する理由はそれだけではないとしている。
ダンクベルトは、中国との交信書類を分析していくと、もはやCV19に特化した規制だけでなく、あらゆる製品の輸入を制限することを可能にする長期的戦略プログラムの一部と捉えるべきものだと語り、多くの点で、輸出者側に一方的に問題があるようにオブリゲーションを負わせる形をとっていると加えた。
これまで、中国市場はロシア漁業の水産加工場だった。
中国は原材料を輸入し、そこで加工、製品を第3国ばかりでなく、ロシアへも輸出してきた。
ロシアでは何年もの間、独自の水産加工処理システムが乏しいままで、市場は多様化しておらず、寡占化が発生している。
ダンクベルトは、いくつかの流通チャネルがあるはずで、それを開拓しなければ、寡占化が生産価格を下げ、さらには産業からの撤退を招くことになると警告した。