ロシア漁業ニュースヘッドライン

北海道機船漁業協同組合連合会
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一般社団法人北洋開発協会

ロシア漁業ニュースヘッドライン 2021年03月  http://kisenren.com

2021-03-10 14:14:07 | 日記

                  2021年03月10日

ユーザー  各位

 

拝啓 時下ますますご隆昌のこととお慶び申し上げます。日頃は格別のお引き立てを賜り厚く御礼申し上げます。

 さて、年間漁獲量が180万トンに及ぶ、ロシアのスケトウダラ漁業は、洋上でH&G(ドレス)を生産、中国へ輸出し、同国がフィレ加工してヨーロッパ市場へ再輸出することを主流として成立してきました。2021年も年明け1月1日から、ロシア漁業にとって最も重要な春季オホーツク海抱卵スケトウダラ操業”Aシーズン”が開始され、中盤を迎えていますが、当該操業製品の主要供給陸揚げ港となる中国の大連と青島が新型コロナウイルス(以下CV19)拡散防止対策で、閉鎖状態となっており、ロシア漁業は重大な危機に直面しています。この問題について、元漁業庁副長官で現ロシア水産物加工流通協会常務理事アレクサンドル・ファミンは、現在のH&G卸売価格の65ルーブル水準もそれほど長くは続かず、更に下落する可能性があるとの観測を示し、状況は絶望的だと言及、漁業者は漁獲物を売る必要があるが、冷蔵庫はすでに満杯で、スケトウダラを保管する場所も限定的であり、結局、価格をさらに下げざるを得ないと語り、これから、他種漁業も開始され、価格が維持または上昇する客観的な理由は現在のところないと加えました。

 今月号においては、引き続き、ロシア漁業のCV19クライシスへのマネジメントに関する情報を集約し、TopNews としてご報告申し上げます。

 なお、2021年2月4日、副首相アブラムチェンコが、自身を委員長とする漁業分野発展のための政府委員会を開催し、新たな政府支援策が論議される重要な会議となりました。これら漁業政策の関連情報も集約して、あわせてお知らせ申し上げます。

                                                  敬具

(国際漁業対策事業部;原口聖二)

 

TopNews シェスタコフ ”2030年までの漁業発展戦略”実行状況を報告

・ロシア副首相 ロシア漁業は新たな抜本的支援策を必要としている(漁業分野発展政府委員会関連外7件)

・ロシア漁業政策の優先課題(長官シェスタコフ タス通信インタァヴュー関連外3件)

・CV19クライシス スケトウダラ漁業 いくつかの疑問(CV19拡散防止対策関連外24件)

・非TAC魚種 漁業停止の強制力を確保する(ロシア漁業政策および漁業協定関連等外15件)

・深海カニ漁獲割当オークション 第5回目結果(カニ漁獲割当配分問題関連外2件)

・シェスタコフ タス通信インタァヴューで投資クオータの拡大を表明(投資クオータ関連外6件)

・オ海抱卵スケトウダラ操業 科学OBリポート(春季オホーツク海スケトウダラ操業“Aシーズン”関連3件)

・スケトウダラ・マダラ・ニシン操業概況(ロシア漁業者スケトウダラ・マダラ・ニシン操業関連12件)

・ロシア漁業者による今漁期漁獲量が68万1,100トンとなる(ロシア漁業者底魚等操業関連4件)

・北海道隣接サハリン州コマイ操業概況(北海道隣接サハリン州コマイ操業関連7件)

・ヴニロが科学評議会で2021年太平洋サケマス漁獲勧告を発表(太平洋サケマス操業関連外6件)

・ロシア PSMA批准に伴い国内法改正を準備(ロシアFOC/IUU取締情報関連外2件)

・”ドブロフロート” “アストロブノイ”係争中の造船所が破産申立(その他ロシア漁業関連情報等外27件)

・韓国済州島流刺網漁船 イカTAC管理撤回要求 抗議集会(韓国漁業関連外2件)

・釜山港湾労働者 1万人PCR検査(韓国スケトウダラ市場価格モニター関連)

・英国の二枚貝漁業 EUへの製品供給停止状態(英国EU離脱Brexit関連)

計133オリジナル報告

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CV19 中国制限で沿海地方陸上スケトウダラ高次加工場2交代制に

2021-03-10 02:39:56 | 日記

 

2021年03月09日

北海道機船漁業協同組合連合会 原口聖二

[CV19 中国制限で沿海地方陸上スケトウダラ高次加工場2交代制に]

スケトウダラ漁業最大手ルスカヤ・ルイボァプロムシェレンナヤ・カンパニヤ「ロシア漁業会社」(Русская рыбопромышленная компания)が”投資クオータ”を利用して建設した陸上スケトウダラ高次加工場”ルスキー・ミンタイ”「ロシアのスケトウダラ」(Русский минтай)は、新型コロナウイルス(CV19)拡散防止対策で中国が冷凍水産物の輸入を制限していること等から、処理能力を高めるため、2交代制シフトを開始した。

生産されたフィレは現在、極東地方の小売チェーン"サンベリ”(Самбери)で販売されており、このほか、沿海地方の他の小売チェーンにも参入し、ヨーロッパ市場へも製品を供給する予定となっている。

これまで、ロシア産スケトウダラは低次加工の原料ベースで中国に輸出されてきており、「ロシア漁業会社」は、中国の港の制限による現状の打開策という観点ばかりでなく、原料ベースでの輸出依存から脱却し、高次加工製品の輸出を拡大させることが、国家プロジェクト”国際協力と輸出”の優先事項に位置付けられていることを指摘した。

”ルスキー・ミンタイ”は税制上の優遇措置等がとられる先行発展特区に指定されている”ナデジンスカヤ”地区に建設され、2020年7月、稼働を開始、水産加工場として沿海地方最大クラスに位置づけられる。

工場建設費は約15億ルーブルで、1日あたり155トンのフィレ・ミンス等のスケトウダラ高次加工製品、20トンのフィッシュミールとオイルの生産が可能となっている。

2021年2月、ロシア漁業庁長官シェスタコフも”ルスキー・ミンタイ”を視察、水産加工の過程から発生する残滓を利用しフィッシュミールとオイルを生産することから、極東でのスケトウダラの廃棄物のない加工業の創設が、経済的および社会的観点から、現代にあった重要なプロジェクトだと指摘し、当該資源が極東漁業の基礎であり、かつ、ロシアの水産物輸出戦略の基礎だと言及した。

また、ロシアの水産業界のもう一方の戦略的課題である、国内市場向けの高次加工、高品質製品の生産量増加に貢献すると加えた。

”ルスキー・ミンタイ”の加工原料は、極東海域の洋上冷凍H&G(ドレス)で、漁獲から陸上への輸送、陸揚げは、自社「ロシア漁業会社」の船団によって行われる。

”ルスキー・ミンタイ”の加工ラインには、フィレ・カット機にBaader社の"Baader 588" (動画)https://www.baader.com/images/cm/videos/videowall/588_WEB.mp4 が組み込まれている。

"Baader 588" は中小型魚を処理するために設計されていて、装置は最新の安全基準を満たし、動作速度最大36尾/分で高品質のフィレ加工を行う。

なお、プロジェクト融資契約はズベルバンク(Сбербанк「ロシア貯蓄銀行」)との間で行われている。

 

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