2021年03月18日
北海道機船漁業協同組合連合会 原口聖二
[韓国済州タチウオ漁船日本EEZ違法操業 拿捕されるまで 漁獲物堂々と上場]
韓日漁業交渉の中断が5年目となり、済州漁民の苦境が深刻化している。
特に日本の排他的経済水域(EEZ)では、日本当局に違法操業で拿捕される等、その防止対策が求められている。
漢拏日報が伝えた。
韓国海洋水産部南海漁業管理団によると、2016年に韓日漁業交渉が中断された後、済州漁船が日本EEZでタチウオを漁獲し拿捕された事例は、2017年1隻、2018年3隻、2020年1隻などで毎年発生している。
今年2021年1月にも、西帰浦(済州特別自治道南部に位置する韓国最南端の都市)根拠漁船が日本EEZで違法にタチウオを漁獲、日本の海上保安庁に拿捕され、担保金6,000万ウォンを払い解放された事件が起きた。
このような状況は、2016年7月、韓日漁業交渉が決裂し、タチウオ操業を行うことができなくなり発生している。
以前、日本EEZ操業に済州延縄漁船は140隻許可を受けていた。
しかし、日本政府は、韓日漁業交渉で140隻を70隻まで削減することを要求するなど、妥協点を見つけられなかった。
さらに最近では、新型コロナウイルス拡散防止対策、韓日感情の悪化などで交渉のテーブルさえ用意されていない。
問題は、日本EEZでの違法操業により漁獲したタチウオが済州地域漁協のセリに上場され価格形成に影響を及ぼしていることだ。
今年は海況によりタチウオ漁場は、国内よりも日本のEEZ海域に多く形成された。
一日あたりのタチウオの漁獲量を比較しても、日本EEZ海域での数量が、韓国国内漁場で獲られた量の2倍-3倍以上に達している。
済州地域タチウオは水協のセリで市場に流通されるが、違法操業によるものも確認する方法がないため、堂々と上場されていることが分かった。
日本EEZで大量に漁獲されたタチウオがセリに上場され魚価形成に影響を及ぼしており、合法的に国内漁場でタチウオ操業に出漁している漁船が被害を受けているのが実情となっている。
このような状況が繰り返されないよう韓日漁業交渉を早急に進めるなど、対策が必要だ。
西帰浦水産協同組合の関係者は、韓日漁業交渉の中断が5年目となり、済州漁民の苦境が深刻化しているとし、一部の船長が、収入を上げるために危険を冒して、日本EEZに向かっていることを知っていると言及、水協では、タチウオ漁船の船主と船長などに違法漁業をやめるよう頼んでいると語り、違法漁獲物は上場、販売されてはならないと加えた。
(関連情報)
2021年03月16日 みなと新聞 【福岡】
[九州・山口 拿捕 東海で韓国船1件 20年調査]
水産庁漁業取締本部福岡支部(九州漁業調整事務所)による2020年の九州・山口県沖での外国漁船の拿捕(だほ)は1件(前年1件)、立ち入り検査は1件(同2件)、違法設置とみられる漁具押収は6件(同10件)だった。
同支部は20年1月、東シナ海で韓国延縄漁船に対し、無許可操業などの疑いで立ち入り検査を行い、同船を拿捕した。1~4月には、主に五島列島(長崎県)西沖で、タチウオなどの漁獲に使う延縄漁具を押収。全て韓国漁船が設置したものとみられている。
同支部は同年、約3万7000隻の外国漁船を視認。違反操業の防止を目的とする指導・警告は約1500回だった。「例年冬から春先にかけてタチウオ狙いの違法操業が増加傾向となる」と同支部担当者。21年1~3月中旬には、拿捕や立ち入り検査、漁具押収を行ったとの報告は受けていないとしている。