2021年03月20日
北海道機船漁業協同組合連合会 原口聖二
[ロシア上院議員 北部沿岸漁業規則改正 洋上一次加工製品のリテールへの供給義務付け提案]
ロシアの一部上院議員のグループは北部沿岸漁業規則改正法案の第2読会にあたり、認められる洋上一次加工製品について、リテール・チェーンへの供給を義務付けするよう提案している。
タス通信が伝えた。
2021年2月16日、北部沿岸漁業において懸案事項となっていた当該漁業規則改正の法案が下院第1読会で承認されており、現在、同院第2読会の準備中となっている。
改正法案は、沿岸漁業において、洋上での一次処理を認め、冷凍処理のみ禁止することとしている。
2019年1月1日、沿岸漁業向け漁獲割当を利用する場合の規則が発効、当該規則では、漁獲された水棲生物資源は生鮮の状態で、ロシアの沿岸に陸揚げすること等を義務付けしており、洋上での加工、直接輸出は認められなくなった。
2020年秋には、ロシア北部漁船50隻の内40隻が、沿岸漁業規則の矛盾により漁業を停止、原料不足により連動して、一時、陸上の3施設の水産加工場の稼働が止まる事態が発生した。
2020年11月、ロシア北部漁業者の操業に支障をきたしている問題を解決すべく、沿岸漁業規則を変更する漁業関連法案が上院に提出されたが、漁獲物の内臓除去、血抜き処理をすることが許可されることを規定、修正部分は2022年7月1日に発効することとなったものの、規則改正案に頭部除去の規定が漏れていることが分かった。
更に、法案では2022年7月1日まで、頭部の除去を認めると同時に、この場合、それを沿岸に持ち帰ることを規定するもので、完全に問題が解決されるものではないことが指摘されていた。
これを受け、北部海域沿岸漁業の問題を解決するための新たな修正法案が、上下院議員から下院に提出された。
これは、連邦漁業法第20条において、沿岸漁業を行う場合、水棲生物資源の漁獲物から一次処理を行うことを許可する旨を補足する法案となっている。
ただし、法案は第2読会までに修正される可能性がある。
当該下院第1読会の前日2月15日、上院での会議において、ロシア農業省漁業局長イヴゲニー・カッツは、この法案について、交錯している矛盾を排除し、用語の明確化が必要だと指摘している。
また、ロシアFSB国境警備庁は、沿岸漁業向け漁獲割当利用者のリスト承認、そして小売までの製品供給に関する義務規定を法案に追加するよう求めている。
北部漁業者業界団体は、当該海域での操業実態において、鮮度保持の観点から、洋上での一次加工なしに、漁獲物製品を生鮮の状態で沿岸に供給することは不可能だと指摘、当該漁業の対象魚種のタラ類等は、速やかに内臓を除去し血抜きをしなければ寄生虫による危険性が高まることが理由だと主張してきた。