2021年03月31日
北海道機船漁業協同組合連合会内 一般社団法人北洋開発協会 原口聖二
[ロシア定置網等漁場のオークションに関する改正法案 下院副議長がカムチャツカ漁業者と対話へ]
ロシア漁業庁長官シェスタコフが、定置網等漁場のオークションに関する改正法案について、業界からの反発が強い、下院副議長イリーナ・ヤロヴァヤに対し、双方による業界との直接対話を提案、この同意を得た。
対話は通信を利用し、2021年4月1日行われ、カムチャツカ太平洋サケマス漁業協会、その他同地方の漁業会社の代表者が参加する。
2020年12月、ロシア下院に提出された、定置網等漁場の電子オークション上場に関する漁業法の改正法案が、2021年3月23日、同院第2読会を通過した。
第2読会へ提出された法案は、既存の漁業インフラへ投資している漁業会社の有効契約を更新する権利を否定するものであり、関係漁業者は、見直しについて上院議長ワレンチナ・マトヴィエンコ、下院議長ヴィアチェスラフ・ボロディンほかに要請行動を行っていた経緯がある。
オリジナルの規則案では、従前からの使用契約がある漁場について、オークションから除外されることが示されていたが、新たな規則案では、それが削除されており、既存の使用者もこれに参加する必要が求められると受け取られる内容となっている。
この不確実性から業界は、懸念について、当該漁業の経緯と陸上加工処理能力を評価して漁場を配分するシステムを平準化すべきで、それがなければ、地域での雇用関係、経済への貢献は破壊されると主張している。
ヤロヴァヤは、カムチャツカ地方のような地域では、漁業分野が伝統的に雇用、地域経済を決定づける位置づけにあり、法令に不確実性があってはならないことが明白だと語り、第3読会の設定は漁業者との合意が形成されるまで停止すると主張している。
(関連過去情報)
2016年04月28日 北海道機船漁業協同組合連合会内 一般社団法人北洋開発協会 原口聖二
[カムチャツカ選出下院議員が政経パーティーで流し網代替に懸念を表明]
今年2016年9月に予定されている下院選挙をひかえ、統一ロシアのカムチャツカ地方選出ロシア下院議員、安全保障汚職防止委員会委員長イリーナ・ヤロヴァヤ(Ирина Яровая)が政経パーティーを行い、参加した水産業界の代表者が流し網漁業禁止を達成したその政治活動に謝辞を述べた。
レーニン漁業コルホーズ代表セルゲイ・タラソフは、流し網漁業の禁止について、カムチャツカ半島へのサケマスの来遊と雇用、そして税収を増やし、漁業者の生活水準を向上させると指摘、カムチャツカ地方ばかりでなく、極東全体がヤロヴァヤに感謝していると発言した。
また、野蛮な流し網、悪との戦いは、日本のロビー活動もあり困難を極めたがヤロヴァヤに直訴し、彼女の努力と支援のおかげで問題が解決されたと言及した。
これに対してヤロヴァヤは、流し網業界がまだ利権をあきらめておらず、これから漁業者を守るため注意を払い続けることが必要だと語り、別な漁法、名目での排他的経済水域でのサケマス漁業の再開に懸念を表明した。
ヤロヴァヤは2016年1月1日からの流し網禁止法案起草者に名を連ねていた。
2016年02月29日 北海道機船漁業協同組合連合会内 一般社団法人北洋開発協会 原口聖二
[上院議員はロシアEEZ内でのサケマス漁業の完全な停止を求める]
ロシア上院第387回議会において、マガダン州選出議員で立法委員アナトリー・シロコフ(Анатолий Широков)は、2016年1月1日からロシア排他的経済水域における流し網漁業が禁止となったが、別な漁法、名目でのサケマス漁業の再開に懸念を表明し、2018年以降の同水域での商業操業の完全な停止を主張した。
これを受け、同院第1副議長ニコライ・フョードロフ(Николай Федоров:前農業大臣)と同院業政策環境委員長ゲンナジー・ゴルブノフ(Геннадий Горбунов)は、この問題措置に関してロシア漁業庁に対し1ケ月以内に状況報告するよう求めた。
ロシア排他的経済水域における流し網漁業禁止に伴い、遡河性魚種の漁獲のため許可される代替漁法リストが極東漁業規則に盛り込まれることになり、今年2016年2月に公表された農業省の同規則改正案には、トロール網、巻網、そして表層カゴ網が選定されている。
しかし、ロシア流し網業界は、科学研究機関に依頼し、合理的で安全な代替漁法を検証、結果、この改正案がでる前に、表層定置網にいきついたが、何らかの意思でこれがリストされておらず現在問題となっている。
6月1日から太平洋サケマスの漁期が始まることから、残された時間も少なく、サハリン州政府はこの問題について、ロシア極東連邦管区大統領全権代表トルトネフ、農業大臣トカチョフらへの要請行動を計画している。