ロシア漁業ニュースヘッドライン

北海道機船漁業協同組合連合会
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一般社団法人北洋開発協会

第4回ロシア国際漁業フォーラム本会議”パンデミックの影響:水産分野の新たな課題”が開催される

2021-09-10 03:16:48 | 日記

 

2021年09月10日

北海道機船漁業協同組合連合会 原口聖二

[第4回ロシア国際漁業フォーラム本会議”パンデミックの影響:水産分野の新たな課題”が開催される]

2021年9月9日、サンクトペテルブルグにおいて、前日8日から実施されている第4回ロシア国際漁業フォーラムの本会議が開催され、ロシア農業大臣パトルシェフ、ロシア漁業庁長官シェスタコフ、海外の代表者、業界の代表者らが参加し、”パンデミックの影響:水産分野の新たな課題”をテーマに話し合いが行われた。

登壇した農業大臣パトルシェフは、食糧安全保障を確保する必要性が、ロシア国内問題ばかりでなく、世界政治の課題だと指摘、ロシア漁業がその中にあって、新型コロナウイルス(CV19)拡散防止対策を厳守して悪影響を回避し、昨年2020年、500万トンの漁業生産を行い、養殖漁業も32万8,000トンまで増加させたことは高く評価されると語った。

今年2021年も漁業生産は500万トンを維持し、養殖漁業は36万トンになると見積もられている。

現在、漁業・水産分野は、高次加工製品の生産、供給を増加させるために行動していると述べ、水棲生物資源の漁獲割当配分のインセンティブにより民間投資を誘致するための大規模プロジェクトを実施しており、当該目的にそって、この2年間で洋上加工漁船と20施設の水産加工場が操業を開始していると加えた。

また、パトルシェフは、中国のCV19対策による水産物の輸入制限問題について言及し、国内とヨーロッパ市場の拡大と新たな輸入市場国の開拓に取り組む必要があるとした上で、引き続き中国との対話は継続すると述べた。

さらに、政府の産業支援策として、遠方漁場出漁漁船への燃料費補助、高付加価値製品の生産を促進するための税法改正、極東地方から中央部への国内輸送への助成を準備していることを伝えた。

ロシア漁業庁長官シェスタコフは、世界中がCV19に直面している中、ロシアが多くの課題に対応できているのは、投資開発と、業界が変化の時代に入っている故との見解を冒頭示した。

サプライチェーンの急速な変化に対応して製品の新しい供給ルートを確保しCV19の影響を緩和しているのは、“投資クオータ”プロジェクトで建設された水産加工場への原材料供給とそこでの高次加工製品の生産によるものと指摘、中国への輸出の減少により、スケトウダラの生産量は14%減少したが、これも、これから開始されるBシーズンで取り戻せる可能性があると語った上で、“スケトウダラ危機”で国内水産加工の発展を加速する必要性が確認されたと述べ、“投資クオータ”などの国家支援のメカニズムによって、今後数年間で少なくとも55隻の漁船と24施設の陸上水産加工場が建設される予定であり、2030年までに、高次加工製品の割合は現在の25%から80%に増加する見込みだと加えた。

ロシアスケトウダラ漁業者協会会長ブグラクは、CV19発生以来、スケトウダラ産業は約2億6,000万ドルの経済的損失を被ったと述べた。

中国とEUへの製品の物流コストは大幅に増加し、中国への供給量は6ケ月間で1/4に減少した。

業界は、国内市場向けの製品を含め、新しい販売市場開拓を積極的に模索している。

ブグラクはこのような背景の中、ミンス、すり身などの高次加工製品の生産が大幅に増加し、“投資クオータ”の第1弾がすでに機能し始めていて、陸上加工場の稼働が成功した時、漁獲量の最大40%を処理することが可能となると語り、沿岸処理と漁労船団の調和のとれた発展により、より末端消費に近い製品の生産量の増加等、業界の包括的な成長が可能になると加えた。

本会議ではこのほか、投資見通しに関するロシア農業銀行とロシア貯蓄銀行“ズベルバンク”からの提案、アイスランド、ノルウエー等海外の経験に関する報告等を受けた。

結びとしてシェスタコフは、閉鎖された販売市場の問題が解決されたとしても、業界は“古いレール”に戻らないだろうと語り、CV19はすでに始まっている変化を加速させ、水産業発展の機会を与えたと加えた。

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第4回ロシア国際漁業フォーラム 円卓会議”水産養殖-世界の魚類生産の推進”

2021-09-10 01:04:54 | 日記

 

2021年09月10日
北海道機船漁業協同組合連合会 原口聖二
[第4回ロシア国際漁業フォーラム 円卓会議”水産養殖-世界の魚類生産の推進”]
2021年9月10日、サンクトペテルブルグで開催されている第4回ロシア国際漁業フォーラムの最終日、円卓会議”水産養殖-世界の魚類生産の推進”が行われ、ロシア漁業庁長官シェスタコフ、動植物衛生監督局長ダンクベルト、海外の代表者らが参加した。
養殖漁業生産は世界の海洋での漁獲量と同等レヴェルに達しており、大方のシナリオにおいて、将来的に、当然のようにそれを追い抜くと見られている。
FAOは、養殖漁業生産が2030年までに1億300万トンに達し、一方、天然魚の漁獲量は9,700万トンにとどまると予測している。
漁業庁長官シェスタコフは、ロシアの養殖漁業が爆発的な成長の段階に入っていると言及、この6年間で、同国の養殖漁業生産量が2倍になったと述べ、当該漁業が最も急速に成長している分野だと加えた。
2020年の養殖漁業生産成長率は14%で、2021年上半期にはすでに20%を超えている。
ロシア漁業庁が、飼料購入への助成、流通のための透明なスキームの構築等、業界に対する多くの支援措置を講じることを可能にした法制度の整備に取り組んできたとシェスタコフは語り、現在、サーモン、チョウザメ、海面養殖が重要な発展分野になっていると言及、特にサーモンについては生産量が12万トンに達し、以前に輸入されていたノルウェーからのサーモンと同等量になったと加えた。
他方、ロシアだけでなく世界中での養殖漁業生産の急速な成長は、製品の安全性と衛生分野による管理問題を新たな水準に引き上げている。
動植物衛生監督局長ダンクベルトは、水産養殖漁業のための新しい衛生基準と規則導入の原則について指摘、国内消費者の健康保護のためのリスクの特定、東南アジアにおける水を交換しないシステムでの抗生物質使用問題等について報告した。
このほか、円卓会議では、トルコ、フェロー諸島の代表者らから、自国の経験に関する報告があった。シェスタコフはこれらに謝辞を述べ、貴重な知見を取り入れ、4年-5年後、このフォーラムで養殖生産量が再び2倍になったと伝えることが出来ることを望んでいると結んだ。

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