ロシア漁業ニュースヘッドライン

北海道機船漁業協同組合連合会
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一般社団法人北洋開発協会

ロシア政府委員会 水棲生物資源利用税増加案を支持

2021-09-22 15:54:10 | 日記

 

2021年09月22日

リポート 北海道機船漁業協同組合連合会 原口聖二

[ロシア政府委員会 水棲生物資源利用税増加案を支持]

ロシアの立法活動に関する政府委員会は、水棲生物資源の利用税の増加にかかるロシア農業省案を支持した。

ヴェドモスチ紙(WEB)が伝えた。

先にロシア農業省は、一部の魚種を除き、大部分の水棲生物資源利用税の大幅な増加案を公表していた。

改正の導入により、水棲生物資源の利用による予算収入はほぼ10倍に増加し、22億ルーブルから210億ルーブルになると見積もられている。

また、全ロシア漁業者水産物輸出者協会ヴァルペ会長ズベレフの試算によると、漁業分野からの総税額は20%増加して890億ルーブルとなる。

ズべレフは、漁業者の負担は大きくなるものの、当該予算が沿岸地域経済、産業支援に向けられ還元されることを期待するとした上で、一方において、水棲生物資源から製品価格の変動性、漁獲量等、いくつかの点において説明不足な部分があることを指摘している。

ロシア漁業庁は2008年以降、税率は改定されておらず、一方でこの間、生産者価格と小売価格は大幅に変動したと説明している。

当該案は既に財務省、経済発展省、産業貿易省、FSBほか関係省庁の承認が得られている。

商業価値の高い主要魚種では、次のとおりとなる。

オホーツク海スケトウダラ 3,500ルーブル/トン ⇒ 4,300ルーブル/トン(約¥6.45/kg)

その他海域スケトウダラ 2,000ルーブル/トン ⇒ 4,300ルーブル/トン(約¥6.45/kg)

カレイ類 1,000ルーブル/トン ⇒ 2,100ルーブル/トン(約¥3.15/kg)

オヒョウ(カレスガレイを含む) 3,500ルーブル/トン ⇒ 12,600ルーブル/トン(約¥18.90/kg)

ベニザケ 20,000ルーブル/トン ⇒ 30,000ルーブル/トン(約¥45.00/kg)

タラバガニ 35,000ルーブル/トン ⇒ 80,000ルーブル/トン(約¥120.00/kg)

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国連制裁以後の北朝鮮漁業 自国海域における中国漁船との玉突き現象

2021-09-22 14:35:31 | 日記

 

2021年09月22日

リポート 北海道機船漁業協同組合連合会 原口聖二

[国連制裁以後の北朝鮮漁業 自国海域における中国漁船との玉突き現象]

2017年8月に国連安全保障理事会が北朝鮮の水棲生物資源を輸出することを禁じる決議第2371号を採択したことにより、同国水産業は特に大きな打撃を受けているとともに、極東海域の船団形成に変化をもとらしているとロシア人東アジア史専門家は報告している。

これは、北朝鮮の漁業生産量から顕著で、2016年に100万トンを超えていたものが、2017年は884千トン、2018年705千トン、2019年に743千トンになっていることを指摘している。

更に、2020年から2021年のデータはまだ入手がないが、北朝鮮漁船のほぼすべてが、東海(日本海)から急激に撤退している。

北朝鮮東部沿岸最大の漁港の1つである清津港の衛星画像は、北朝鮮漁船の沖合へのアクセス減少の規模を明らかに示している。

しかし、沖合へのアクセス減少については、新型コロナウイルス(CV19)の蔓延と、これに伴った国境を越えることに関する北朝鮮当局の規制であり、一時的なものと見られている。

現在、CV19により、一時的に減少しているが、近年、ロシアと日本のEEZでの北朝鮮漁業者の違法活動が東海で大幅に増加した。

この理由は、中国漁業者による北朝鮮海域での集中的な漁業の始まりに関連していると分析されている。

1990年代以降、沖合の水棲生物資源を枯渇させてきた中国は、遠洋漁業発展への傾注を開始、沿岸国から漁獲割当を購入調達し始めた。

2004年6月、漁業分野の最初の5年間の北朝鮮と中国の協定が締結されたことで、北朝鮮海域への中国漁業者のアクセスが盛り込まれることも驚くべきことではない。

同協定は2010年と2015年に、更新、延長されている。

2014年から2015年に北朝鮮当局が東海の資源を利用するために請求した平均費用は、中国漁船1隻あたり3万ドルから4万ドルと見積もられている。

これらの操業は北朝鮮元山の距岸50マイルを漁場に、240トン-600トン級の中国漁船によって行われた。

北朝鮮海域に入域する中国漁船の隻数は、10年間(2004年-2014年)に年間約23隻ずつ、約8倍に増加、114隻から870隻となった。

一方、韓国諜報機関のリークによると、外貨不足のために北朝鮮が自国海域で漁業権の販売を行ったとされる2016年に転機が訪れた可能性がある。

2017年から北朝鮮漁業者が自国海域から“脱出”を開始するが、これは中国のはるかに強力な装備漁船の圧力の下で起こった可能性がある。

韓国漁船の14万ワットに対し、中国漁船は、約100万ワットの集魚灯を使用し、特殊な漁法でイカを漁獲することが知られている。

5-20個のランプを備えた北朝鮮の木造漁船は、サッカースタジアムをもカヴァーして照らす可能性さえある最大700個のランプを搭載した中国の“モンスター”漁船と競争することはできない。

外貨不足だけでなく、北朝鮮からの水産物輸出を完全に禁止した国連決議も、北朝鮮指導者に中国漁業者への漁権売渡しを促した可能性がある。

資源だけでなく、漁権の販売禁止が国連安全保障理事会によって明確にされたにもかかわらず、中国漁業者はそれを無視している。

北朝鮮の支援なしに特定漁船の密漁の事実を証明することはほぼ不可能と言える。

韓国海洋警察庁による衛星観測と船舶の通過監視のデータは、中国漁船が北朝鮮海域に入り、そこで操業を続けていることを示している。

最近の事例として同庁は、北朝鮮海域でイカを違法漁獲したと疑われる、東海韓国海域を南下した中国漁船を拘束、中国当局へこれを引き渡したと2021年8月2日発表した。

中国漁船“Yodaneo 26013”(290トン)の乗組員84名は、同年6月22日、北朝鮮海域へ入域、当該海域で違法漁業を行っていたと疑われる約4週間後の同年7月17日、東海南下中、慶尚北道鬱陵島東の海域で韓国海洋警察に拘束された。

当時、海洋警察警備艦艇と海洋水産部漁業指導船は、通信検問により、“Yodaneo 26013”が北朝鮮海域で操業を行っていた情報を把握した。

海洋警察は、船舶規模や航跡などから、イカ違法操業の疑いがあると判断、中国海洋警察に適宜、状況を通報した。

拘束以後、韓国に実質的にとれる措置がないため、海洋警察は海洋水産部と協力、中国海洋警察に引き渡すまでの半月間、監視下に置いた。

最終的に同年7月30日未明、中国海洋警察に引き渡されたが、“Yodaneo 26013”は、自国当局の警備艇の接近を確認すると、北朝鮮海域に向け逃走を開始、海洋水産部漁業指導船が走路を遮断、これを食い止めた。

国際的科学者グループによると、北朝鮮海域で中国漁船が違法漁獲したイカは、2017年に2億7,500万ドル、2018年1億7,100万ドル、2019年2億4,000万ドル、CV19が大規模蔓延した2020年でさえ1億7,900万ドル相当と見積もられ、それほど大幅に減少していない。

自国海域を中国漁船に玉突きで追い出された北朝鮮漁船2,000-3,000隻を、ロシア国境警備局が、自国海域で行動制御する十分な力と手段を持っているかは全く疑問である。

日本当局が大和堆で行っているように、年間最大5000回の侵入の試み(1日あたり平均13回)を防ぐことが出来るとは考えにくい。

報告したロシア人東アジア史専門家は、北朝鮮海域を含めIUU漁業を根絶するという抜本的問題を解決する必要があると指摘、北朝鮮漁業者には家族を養う他の方法がなく、ロシア海域への進出を続けるだろうと結んでいる。

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