2021年09月27日
リポート 北海道機船漁業協同組合連合会 原口聖二
[ロシア漁業庁 水産物取引所“ビルジャ”への行政支援発表と頓挫の歴史]
ロシア漁業庁は、今般、改めて水産物製品取引所“ルイブナヤ・ビルジャ”(Рыбная биржа)でのオークションによる商品取引を推進する計画を発表した。
“ビルジャ”でのオークションによる製品取引構想は、1991年のソ連崩壊直後のロシアから脈々としてあり、それは、“リアル”から“電子”に手法が変わっただけで、背景に商品取引の過程の透明化、伴った税収の確保等がある。
一方で、この30年間、“ビルジャ”でのオークションの構想が何度も立ち上がり、そして頓挫、定着しない理由は、基本的にロシア漁業の製品が冷凍であり、生鮮品のような価格の振幅を示す競争が発生せず、いわば“場外取引”に合理性があるからと推察される。
また、この点において、釜山等で行われる魚卵のオークションは生産量によって大きく価格の振幅があることから合理性があり、“開場”を地元に誘致したいロシアの意図は納得のできるところと言える。
今回、同庁長官シェスタコフは、“ビルジャ”での取扱いをスケコ、サケマス製品、カニ等、高価格帯の商品を対象として絞り込み、この取引所のインフラ整備から行政支援を開始する旨を表明したとされている。