2021年09月01日
リポート:北海道機船漁業協同組合連合会 原口聖二
[帰ってきたダリキン 元沿海地方知事 水産物小売1,300店舗チェーンにチャレンジする]
“太平洋投資グループ”(Тихоокеанская инвестиционная группа:チホーオケアンスカヤ・インヴェスチツィオナヤ・グルーパ)代表で元沿海地方知事の*ダリキンは、水産物大規模小売チェーンの構築を表明しており、1,300店舗の展開にチャレンジすると今般明らかにした。
今年2021年4月、モスクワに第1号店となる「港のお店“ナホトカ”」(магазин-порт”Находка“:マガジン・ポルト・ナホトカ)を開店させている。
第1フェーズで300店舗、第2フェーズで1,000店舗を開店させる計画としている。
ダリキンは、ロシア大手漁業会社ナホトカ海洋漁業基地(Находкинская база активного морского рыболовства:ナホトカ・バムル)の実質的オーナで、リテール業界に参入することで、漁労・加工・販売の垂直統合型のビジネスモデルに接近する。
ロシア経済紙”カメルサント”は同年3月に、この動向を伝えていたが、当時の発表はモスクワ市内において100店舗を展開する旨の規模だった。
また、リテール業界のコンサルタントは、モスクワという市場で、この100店舗でさえも、そこまで水産物専門店にニーズがあるかを疑っている旨のリポートだった。
プレミア・クラスの鮮魚販売は難しいカテゴリーで、その消費行動は市民の収入に大きく依存しており、また、これに対応した、空き店舗スペースを確保することは至難の業だと指摘していた。
*セルゲイ・ミハイロヴィチ・ダリキン(Сергей Михайлович Дарькин)
“太平洋投資グループ”代表
1963年12月9日生 沿海地方ボリショイ・カーメニ出身 実業家 政治家
ロシア極東の元沿海地方知事(2001年-2012年)。ウラヂオストクで港湾労働者として働き始めるかたわら、極東航海大学に学び、1985年同大学を卒業し、大学院に進む。極東航海大学を卒業後、1989年ダリジング社副社長に就任。1991年にはロリズ社を設立した。同社は造船業、次いで水産業に進出した。1998年沿海銀行頭取となり、2001年沿海地方知事選挙に立候補するまでロリズ・グループの総帥として君臨した。
2001年2月5日、当時の沿海地方知事ナズドラチェンコは辞意を表明した。同年1月に心臓発作を理由に入院していたが、ナズドラチェンコの辞任は、沿海地方におけるエネルギー危機によるものであり、大統領プーチンによる事実上の解任であった。ダリキンはナズドラチェンコの後継を選ぶ知事選挙に立候補し、同年5月27日の第1回投票で得票率24パーセントを獲得し、1位となった。同年6月17日の決選選挙で、40.17パーセントを獲得し、6月25日に正式に知事に就任した。2005年1月の法改正によりロシア連邦を構成する連邦構成主体の首長(知事、行政長官)は大統領の任命制になったが、ダリキンはこの改正後に就任した最初の知事だった。