2023年03月10日
リポート 北海道機船漁業協同組合連合会 原口聖二
[日本EEZ“またがり資源”韓国近海スルメイカ操業概況(3月3日)]
韓国漁船による自国EEZでの2022年度漁期(管理期間2022年7月-2023年6月)の2022年7月1日から翌2023年3月3日までのスルメイカの漁獲量は、2万5,290トン、前年度同期の62%で、TAC設定8万5,590トンに対する開発率が30%となっている。
沖合イカ釣りのTACは期中見直しされ、2,200トン上積みされている。
科学研究機関の勧告により、一昨年度漁期からTACを拡大させている二艘引き西海トロールは、前年度同期の58%だが、7,570トンを漁獲して、韓国スルメイカ生産の30%を占め、今年度漁期もプレゼンスを発揮、韓国イカ漁業を牽引する位置づけとなっている。
主要漁業の沖合イカ釣りはTACが上積みされたものの、6,860トンで、二艘引き西海トロールを下回り、前年度同期の65%の生産となっている。
一昨年度漁期となる2021年1月1日から、近海網漁船にもイカのTAC管理が導入されている。
近海網漁業は、新年度漁期開始から報告日までに、3,920トンを漁獲、当初枠のTAC開発率が100%となっており、留保枠の利用に入った。
なお、大型トロールと二艘引き西海トロールが、東経128度以西に限定されている操業海域において、当該EEZで報告日までに約1万2,040トンを漁獲、前年度漁期に続き、韓国スルメイカ漁業の約半分の生産を西岸沖合漁場が占める実績を示しており、これまで日本の資源評価において、この動向が、ほぼ論議の対象外となっていることが問題点として指摘される。
*日本の自国EEZの2022年-2024年のTACは、漁獲シェアが高かった2007年当時のデータを参照し生物学的許容漁獲量(ABC)中60%を日本1国で獲れるとの前提で算定した値とした上で、7万9,200トンの設定となっている。