2023年03月12日
リポート 北海道機船漁業協同組合連合会内 一般社団法人北洋開発協会 原口聖二
[ロシア科学研究機関 日ロ漁業協定のためのロシアEEZ太平洋サケマス沖獲り向けTAC設定を提案]
全ロシア海洋漁業研究所ヴニロは、今年2023年のロシア排他的経済水域(EEZ)における沖獲り向けTACを提案し、既に意見公募期間を終えている。
ロシアは太平洋サケマス操業について、EEZでの沖獲りにはTACを設定し、沿岸定置網漁業にはこれを設定せず、漁獲勧告で管理を行ってきている。
同研究所は、長きにわたり、漁期中のロシアEEZにおけるTAC設定のための研究を行ってきたが、現在、これが実質停止状態で、科学的根拠が乏しい現状となっており、今年2023年に関しては、日本との政府間協定枠と科学研究調査枠に向ける数量230トンのみ、TACとして残すことを提案した。
昨年2022年の当該TACは1万4,000トンで、前年2021年の2万1,000トンから大幅削減となっていた。
ロシア漁業庁は、2021年に、ロシアEEZにおける沖獲り向け漁獲割当オークションを開催して、全体のTAC設定の約5割を上場すると発表したが、その後、これが取りやめとなった。
ロシアでは、2016年以降、太平洋サケマスの漁獲を目的とするEEZ、領海、内水面での流し網の使用は禁止されており、この効率的代替漁具・漁法問題は未解決で、過去から関連する日本業界にとってもオークション実施の動向が注目されるところとなった。
しかし、徹底的に流し網反対のキャンペーンを行ってきたカムチャツカ地方は、オークション開催の情報に接し、流し網(沖獲り)の復活を危惧、この実施を阻止すべく、再び、関係機関に働きかけを行った経緯がある。