20223年03月01日
リポート 北海道機船漁業協同組合連合会 原口聖二
[ロシア スケトウダラ高次加工製品 国内市場 ほぼ完全に国産代替]
昨年2022年、ロシア漁業におけるスケトウダラ製品は、国内市場において、輸入製品をほぼ完全に代替し、国産製品に置換、当該漁業の高次加工化戦略の結果を見せた。
これまで、ロシア漁業は洋上でH&G(ドレス)を中国へ輸出し、中国がそれを原料にフィレ加工することを主流としてきた経緯があり、一部製品が逆輸入されていた。
また、ロシアのカニカマ・メーカは、2014年のクリミア併合にかかる制裁措置以前は米国から、それ以後は日本などから原料として冷凍すり身を輸入していた。
昨年2022年、ロシア漁業は、国内市場に18万3,000トンのスケトウダラ製品を供給した。
輸入は、フィレ134トン、すり身24トンで、わずか158トン、市場の1%未満にとどまった。
2014年以降、輸入スケトウダラ製品の供給量は、1/130に減少したことになる。
昨年2022年、ロシア漁業は、H&G等冷凍スケトウダラ、フィレ、ミンス、すり身等の製品を98万7,000トン生産し、18万3,000トンを国内市場へ供給した。
これは、原魚ベースでロシアのスケトウダラの漁獲量の20%(報告担当者 原口聖二:歩留まり50%と推察)に相当し、国民1人あたり約2.6kg、水産物製品全体の約12%の消費量となっている。
価格も一定水準で現在、安定をみせている。
インデクスとなるH&G/25cmアップ卸売価格(ウラヂオストク倉庫前)については、中国税関当局が、2022年1月10日から、コンテナ積み替え物流ばかりでなく、要件を満たすロシア冷凍運搬船の水産物製品の受け入れを再開したことで、ロシア業界のマインドに影響を与え、低迷価格が底を打ち、86ルーブル/kgとなり、回復への傾向が確認された。
その後、2022年3月までの間、86ルーブル/kgが維持され、それより先の同年2月24日に始まったロシアのウクライナへの軍事行動により、韓国等、海外市場に調達不安、先行きの不透明感が広がり、その余波を受け同年4月中旬、瞬間風速的に価格は103ルーブル/kgに達した。
しかし、それも落ち着きを見せ、2022年5月中旬に94ルーブル/kg、同月末には84ルーブル/kgまで下がり、その後やや上向き8月初め90ルーブル/kgとなって10月中旬までこれが維持された。
10月末には92ルーブル/kgに再び上向き傾向を見せ、11月上旬に100ルーブル/kgとなり、その後、同中旬に95ルーブル/kgに下がり、再び90ルーブル/kg水準に戻って、12月中旬に78ルーブル/kgとなったが、長期的にみて高水準で、2023年明けから2月中旬でもこれを(1.8円/ルーブル:約140円/kg)維持している。