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北海道機船漁業協同組合連合会
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一般社団法人北洋開発協会

ロシアの大手スケトウダラ漁業者団体が国内市場競合“メルルーサ”の関税引き上げを求める

2023-03-08 12:58:28 | 日記

2023年03月08日

リポート 北海道機船漁業協同組合連合会 原口聖二

[ロシアの大手スケトウダラ漁業者団体が国内市場競合“メルルーサ”の関税引き上げを求める]

ロシアの大手スケトウダラ漁業者を会員とするロシア漁船船主協会は、国内市場において競合する白身魚“メルルーサ”の関税の引き上げを求めロシア農業省へ要請書を送付した。

これに対し、他の業界団体は、スケトウダラ製品の国際市場への供給、輸出メリットの維持の重要性を指摘している。

また、加工流通業界は、要請されている措置について、国産製品の価格は上昇するが、需要が減少し、総合的にみてマイナスになると警告している。

昨年2022年、フィレを含む冷凍メルルーサ製品のロシアの輸入量は4万4,000トンを超えた。

白身魚(ハドック・タラ・メルルーサ等)のフィレ製品の輸入は、前年2021年より140.3%増加、2万6,500トンとなった。

現在、冷凍魚フィレ製品の輸入関税は7%に設定されている。

ロシア漁船船主協会は、ロシアのスケトウダラ高次加工化戦略が進捗しており、国内市場において、これらの白身魚需要を完全に代替、置換することが可能だと主張している。

昨年2022年、高次加工化戦略をとっているロシア漁業は、前年2021年比16.8%増の13万9,000トンのスケトウダラ冷凍フィレを生産、歴史上初めて米国の当該製品生産量を上回り、国内市場に18万3,000トンのスケトウダラ製品を供給した。

全ロシア漁業者水産物輸出者協会ヴァルペ会長ズベレフは、輸入制限によるスケトウダラ産業の輸出セグメントでのメリットの減少を指摘している。

ズべレフは、現在でも国産スケトウダラ製品は価格だけをとると、輸入白身製品よりアドヴァンテージがあると指摘している。

昨年2022年、輸入された冷凍メルルーサの平均卸売価格139ルーブル/kgに対し、国産冷凍スケトウダラは95-97ルーブル/kg、当該フィレで210-214ルーブル/kgだった。

さらに、国産フィレの鉄道輸送に補助金を受けていることに加え、輸入セグメントは、ルーブル安の影響も受けている。

ズべレフはロシアのスケトウダラ漁業について、一定の国内需要に応えることを前提にした上で、輸入制限による保護された国内市場供給を拡大するよりも、国際市場への製品供給、輸出メリットを維持するべきだとの見解を示している。

また、加工流通業界は、輸入制限によって国産製品の価格は上昇するが、消費離れを招き、需要が減少し、総合的にみてマイナスになると警告している。

なお、ロシア農業省は、国内市場と国内企業の能力を確保するという課題を考慮し、関連部局と協力して問題を解決するとしている。

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