2023年03月24日
リポート 北海道機船漁業協同組合連合会内 一般社団法人北洋開発協会 原口聖二
[#19 洋上風力発電と漁業 海外の経験 米国 下院議員 政府が開発事業者と共謀と批判]
日本での、先行する欧米の洋上風力発電の漁業分野との共栄、相乗効果等の成功体験は、ほとんどが開発事業者による切り抜き発信で、実際に漁業分野の情報にアクセスしていくと様々な問題が報告されている。
米国下院議員ヴァン・ドリュー(共和党:ニュージャージー州第2選挙区)は、東部沿岸沖合の洋上風力発電プロジェクトについて、大きな政府と産業界の共謀だと批判している。
洋上風力発電プロジェクトの前進は、米国史上、最も深刻な状況を招くと述べ、開発事業者は何千もの“エッフェル塔サイズのタービン”を建設しようとしているにもかかわらず、同国内務省海洋エネルギー管理局(BOEM)が拙速にずさんな承認プロセスを行ったと付け加えた。
また、ヴァン・ドリューは、政府が米国の利益よりも金持ちや権力者の利益のために行動していると言及、一方のプロジェクトの背後にあるデンマークのエネルギー会社“Ørsted”も公聴会への参加を拒否する等、地域社会に対応していないと指摘した。
さらに、ヴァン・ドリューは、洋上風力発電開発事業者、バイデン政権、そしてニュージャージー州知事フィル・マーフィーが事実を米国国民と共有することを拒否しており、これを正すため、議会が介入しなければならないと述べた。
2012年にカーネギー・メロン大学が行った調査では、カテゴリー3以上のハリケーンによって、場所によってはタービンの半分以上が破壊される可能性があり、非常に大きなリスクがあることがわかっている。
先に、ブルームバーグは、“自由の女神よりも高い風力タービンが倒壊する”と題し、タワーとブレードの故障により、米国とヨーロッパの製造業者が悩まされていることを伝えた。
デンマーク沖ではタービンの1つからブレードが落下した際、当該海域周辺を対象に海上交通の停止要請が出されたとの情報もある。
しかし、これらのタービンの破損、故障に関する公開されている業界全体のデータは存在していない。
また、米国海軍の船舶、商船、沿岸警備隊による捜索救助活動を含む船舶の航行は、レーダー干渉により著しく妨げられる可能性がある。
米国科学・工学・医学アカデミーは、2022年に“風力タービン発電が船舶レーダーに与える影響”というタイトルのリポートを発表し、風力タービン発電機が、船舶レーダーのマグネトロンとソリッドステートの両仕様を不明瞭にし、重大な干渉とシャドーイングを引き起こすと報告している。
この調査では、船舶レーダーの風力タービンによる緩和技術について、実質的に調査が行われず、実装等の段階にないことも判明している。