2023年04月14日
リポート 北海道機船漁業協同組合連合会 原口聖二
[新たなロシアのスケトウダラ漁業戦略 陸上加工潜在能力の活用]
ロシア極東科学操業評議会の前日となる2023年4月12日、ウラヂオストクにおいて極東白身魚産業専門家会議が開催され、新たなロシアのスケトウダラ漁業戦略として陸上加工潜在能力の活用が指摘された。
現在、ロシア極東地方のスケトウダラの陸上加工年間処理の潜在能力は100万トンに達していると見積もられている。
“新たな白身魚産業”は、2017年9月に発表された、ロシアの2030年までの漁業発展戦略“経済成長と国家食料安全保障”の要として盛り込まれている。
昨年2022年、ロシア漁業者によるスケトウダラの生産量は約190万トンで、今年2023年のTAC設定は200万トンを超えている。
北クリールでは、”SK-BSF”(СК БСФ)社が4万トン、“アレイド”(Алаид)社が1万トン、それぞれ漁獲割当配分を受け陸上加工場を稼働させている。
南クリールの択捉島では“クリリスキー・ルイバク”(Курильский рыбак)社が2拠点で陸上加工場を稼働させ、処理能力は、それぞれ1日1,000トンを有し、当該能力向上のための近代化を進捗させている。
更に、国後島で“クリリスキー・ルイバク”社、色丹島で“ユジノクリリスキー・ルイブコンビナート”社( Южно-Курильский рыбокомбинат)社が陸上加工場を稼働させ、それぞれ1日1,000トンの処理能力を有している。
これらの企業は、処理能力を向上させ、高次加工製品の生産量を増やすために近代化を進捗させており、20万トン以上の付加価値製品を生産している。
会議では、漁場から運搬船で原料を供給し、当該潜在能力を活用すること等、戦略的行動計画などの検討が行われた。