2023年04月20日
北海道機船漁業協同組合連合会 原口聖二
[“投資クオータ”アクセスの漁業・水産加工企業 早くも倒産危機]
ロシアの“投資クオータ”にアクセスしたカムチャツカ地方の漁業・水産加工業大手“ソクラ”(Сокра)社が早くも倒産の危機に直面している。
メインバンクは、ロシア貯蓄銀行“ズベルバンク”(Сбербанк)で、債権額は不明だが、同行が2021年に“ソクラ”社に38億ルーブルの融資を行ったとされ、訴訟の準備をしていると伝えられている。
“ソクラ”社には9隻の漁船が所属、今年2023年、スケトウダラ6,000トン、カレイ類3,900トン、そしてマダラ1,000トンの漁獲割当配分を受けている。
陸上加工場では、年間1万5,000トンのサケマス、魚卵等の製品を生産してきた。
元漁業庁副長官で現ロシア水産物加工流通協会常務理事アレクサンドル・ファミンは、“投資クオータ”に付帯した義務としての漁船建造と陸上加工場建設に対する過度の投資を経営悪化の要因として指摘している。
“ソクラ”社の漁船建造プロジェクト3隻の内、2隻は着工中、1隻は進水していないが、いずれも資金は数ケ月前に停止されている。
なお、“ソクラ”社が倒産し、資源利用契約が終了した場合、水棲生物資源の漁獲権利は、オークションに上場されることになる。