2024年10月10日
北海道機船漁業協同組合連合会内 一般社団法人北洋開発協会 原口聖二
[北大西洋サバ資源問題 表層漁業諮問委員会が欧州委員会に乱獲ノルウエー対策強化を要請]
“何をノルウエーに学ぶのか”
日本の一部の識者とされるグループにおいて、資源管理の優等生と評されるノルウエー漁業が、「無責任な行動」をとり、乱獲を試みていると批判を浴びている事実が存在している。
国際海洋探検会議(ICES)は、今般、来年2025年の北大西洋のサバの漁獲勧告量を57万6,958トンとすることを提案した。
これは前年となる今年2024年より22%減、予想漁獲量よりも40%下回り、この10年間で最低の勧告となる。
大西洋サバの産卵個体数は危険なほど最低レヴェルに近づいており、持続可能利用な資源量にするためには漁獲努力量の削減が必要だとされている。
今般、これを受け表層漁業諮問委員会(The Pelagic Advisory Council :PelAC)は北東部大西洋のサバ資源の憂慮すべき状況から欧州委員会に緊急要請書を提出、即時の行動を求めた。
ただちにこの問題に介入しなければ、当該資源のバイオマスが限界管理基準を下回り、禁漁勧告をICESが発令し、漁船団を壊滅させ沿岸地域の存続を脅かすシナリオを引き起こす可能性があると指摘している。
PelACは、特にノルウエーへの対応強化を求めている。
これらの沿岸諸国は、持続可能レヴェルをはるかに上回る一方的な漁獲割当設定を勝手に独自で続けており、当該資源の保全を損ねている。
これに対抗するためPelACはEUが断固とした外交姿勢をとり、現在の過剰な漁獲割当を停止させて、当該資源の長期的持続可能なバランスのとれた合意が必要であると強調している。
ノルウエーは2024年6月17日、英国、フェロー諸島とともにNEAFC海域のサバの向う3年間有効とする漁業協定に合意したと発表している。
TAC設定(2024年漁期:沿岸国73万9,386トン)に対する国別割当は、ノルウエー31%(22万9,210トン)、英国27.48%(20万3,211トン)、そしてフェロー諸島が13.35%(9万8,708トン)としている。
EU加盟国漁業事業者団体連合会“ユーロペッシェ”(Europeche)も、この3国間協定について、前回の国別配分協定で適用された割当量から大きく逸脱、過度に膨らんだ一方的な設定を行い、継続的な乱獲を正当化し、協定に盛り込まれた漁獲割当の相互間の譲渡も人為的に増加させた割当、つまり“盗品”の交換だと批判、欧州委員会と欧州理事会に対し、この「無責任な行動」に対して断固たる措置を講じるよう求めた経緯がある。
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