北アルプスを望む
昨日は久し振りの好天に恵まれて、乗鞍山系の大崩山(2532m)と猫岳(2581m)に登ってきた。
独立峰の乗鞍岳は、北から南へいくつもの峰々が連なっている。
主峰の剣が峰は、スカイラインを走るシャトルバスの終点畳平から容易に登れるので、シーズン中は訪れるハイカーは多い。
北端に位置する大崩山や猫岳などは、厳冬期に山スキーのベテランがパウダースノーを求めて訪れることもあるが、それ以外にこの山に登る人はいない。
登山道は無いので、平湯峠からスカイラインを5kmほど歩き、途中から猫岳へ行く尾根を見つけて急斜面を登っていく。
トウヒ、コメツガなどの針葉樹林がシラカバやダケカンバに変わり、森林限界を越えると前方に雪原が広がる。所々にハイマツが顔を出し、前進を阻まれるけど、迂回して生え際をアイゼンの爪を利かせながら登っていくと大崩山の山頂に出る。
広い山頂からの眺望は素晴らしく、遮るものは何も無いので、360度の大パノラマが堪能できた。
猫岳は眼前に聳えているが、いったん鞍部まで下って、所々にハイマツが顔を出している急斜面をジグザグに登っていく。
なだらかな山頂は、風の通り道になっていて、雪が吹き飛ばされてハイマツに覆われていた。
ここからの眺めは、大崩山と同じであるが、乗鞍岳頂上方面と御岳の一部がここから見えた。
猫岳から乗鞍山頂方面
登山者から忘れ去られた山々は、自然のままの静かな姿でいつも迎えてくれるけど、やがて雪が消えれば深い藪に覆われて、人が入るのを拒むことだろう。
往復9時間の行動は、地図を見ながら練っていたルートを大きく外すことなく、大自然の景観を楽しむことが出来た。
乗鞍山系は、観光開発によって自然が無残に壊された姿と、太古のままの姿を辛くも留めている懐の深い山であることを実感した。