毎年10月9,10日に、秋の高山祭りが行われる。
正式には「八幡祭」と呼ばれる桜山八幡宮の例祭を言い、高山市街地を貫く安川通り(国道158号線)を境に、北側(下町)で行われる。
春に行われる日枝神社の山王祭は、南側(上町)で繰り広げられ、この二つの例祭を総称して、「高山祭り」と言われるようになった。
春は五穀豊穣を祈願し、秋は収穫を神々に感謝する農耕祭の色彩が強かったが、町人文化や豪商の出現によって、町人色も加わってきたようだ。
京や江戸の影響を受けながら、飛騨の匠や町人によって独特の祭り文化を作り、観光ブームによって一層華やかで賑やかな祭りへ変貌してきた。
江戸時代に作られた絢爛豪華な祭り屋台は、国の重要有形民俗文化財に、祭り行列やからくり奉納などの祭事は、重要有形民俗文化財に指定されている。
屋台10台が表参道に曳き揃えられ、飛騨の匠の技を身近に見ることが出来るし、氏子たちから屋台の特徴や歴史などの説明も聞ける。
境内では、布袋台のからくり奉納が行われ、2体の唐子が布袋に乗り移る様子を、36本の綱を操りながら8人の綱方が披露する。
汗ばむような好天に恵まれた参道は、観光客でごった返し、テント張りの露店が連なっていた。
団子やイカ焼き、お好み焼き、焼きそば、串カツなどのにおいが入り混じり、懐かしい昭和の祭り風景も残っていた。
参道の賑わいに比べると、本殿の静けさが対照的だった。古い町並みも、日ごろの数倍の人並みで埋まり、外国の観光客も目立っていた。
秋の短い飛騨は、祭りが終わると冬が駆け足でやってくるので、思い切り賑々しくなるようだ。