飛騨地方は今日も雲ひとつ無い快晴で、真夏のような暑さだった。
それでも朝夕の涼やかな風は秋を感じさせるし、山すその萩やススキからは秋の気配が漂ってくる。
午後6時に西の空を真っ赤に染めて日が沈むと、あたりに人工の光が無いので、すぐに闇に包まれる。
長くなった夜は、テレビを見ながら椅子の座編みをしている。
昨夜は一脚がようやく完成したので、今は2脚目に取り掛かっている。
座の編み方や使う材料も様々だが、今回はペーパーコードを使って平織りにした。
布テープは伸びてたわむこともあるが、ペーパーコードを強く張りながら編むと、適度なクッション性を保ち、気になるたわみは無い。
直径3ミリほどの細いコードを使うので、編み上がるまで時間が掛かり、最後の桝目まで正方形を作っていくのに根気も要る。
2脚目も同じ作業で、まず縦糸を2本ずつ同じテンションをかけながら編んでいく。
横糸は手製の編み棒を使って、交互に縦糸に通していく。
結び目を少なくするために長い紐を使うので、横紐を1本通すのに時間が掛かる。
張りが甘いとだれた感じになるので、力んで編んでいるうちに指にまめが出来てしまう。
テレビに見とれて編み目を間違えたり、引き込まれて力が入りすぎたりして、度々編み直しをするのではかどらない。
途中定規を当てながら編んでいても、最後の横編みがぴったり収まらないこともあるので、この先はの作業はテレビを止めて集中しなければならない。
昔は籐や竹で編んだ椅子をよく見かけたが、機械化や量産が出来ないので、目にすることは少なくなった。
手編みの椅子は、暇な職人の独壇場かもしれない。