阿部勇樹、現役引退

今日、浦和MF阿部勇樹選手の現役引退が発表になっていました。長年、浦和の中盤に君臨し渋い輝きを放っていたベテランですが、昨年あたりから出番が減少していました。40歳という年齢まで、よく消耗の激しいポジションであるボランチを務めてきたと思います。今回は阿部勇樹選手の思い出を書きます。阿部勇樹はジュニアユースから当時のジェフ市原で育った早熟な才能で、17歳でトップチームに定着してボランチに入ります。

当時からポジションは守備を落ち着かせるアンカーでした。阿部勇樹は市原(千葉)の歴代監督に起用されましたが、印象的なのはオシム監督時代です。オシム監督のサッカーはマンツーマンを基本にしており、相手の最もいい選手に阿部勇樹をマンツーマンで付ける手をよく使ってきました。浦和も、ポンテに阿部勇樹を付けられて苦しんだゲームも思い出せます。

そんな阿部勇樹が浦和に加入して味方になったのは2007年シーズンでした。当時のオジェック監督は、阿部勇樹を「史上最強の便利屋」として起用しました。ボランチが基本ではあったものの、チーム事情で左SBやCBでプレーした試合もあります。この活躍で、オシム監督が率いた日本代表のアジアカップでは中澤とCBコンビを組むなど、代表36キャップも持っています。

2007年のACL優勝では疲労性の腰痛で苦しみながらも最後まで出場してくれました。「痛いだけなら我慢すればいい」と、ACLの長い消耗戦を最後まで勝ち切って、日本のチームで初めてとなるACLのタイトルをもたらす原動力になります。さすがに、その後のリーグ戦で優勝する余力は残っていなかったですが、この年はどんどん浦和の到達点を塗り替えてくれた、思い出深い年になりました。

阿部勇樹といえばPKキッカーなので、今の浦和の現役選手では興梠に次ぎ2番目のゴール数を記録しています。彼のPKは計算できるもので、今季の序盤のロドリゲスサッカーでも貴重なゴールを決めていました。どうしても、チームは成長し続けなければならないことから、ボランチに即戦力を補強されて出番が減りましたが、彼の残してくれたものの大きさは変わりません。

ミシャに最も信頼された選手という印象もあります。彼がいなければ、ミシャの前に思い切って人数をかけるサッカーはできなかったでしょう。長持ちでいい選手だったと、今振り返ると印象的でした。最終戦で彼の挨拶もあるでしょうから、引退後どうするかも聞けたらいいなと思っています。