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居酒屋さすらい 0639 - 炭酸のない酎ハイは西新宿に溶けて - 「立呑み ひなどり」(新宿区西新宿)

2013-05-03 14:38:34 | 居酒屋さすらい ◆立ち飲み屋
新宿の高層ビル群が、茜色の景色に映えているのを見て、ちょっとセンチな気持ちになっちまったみたいなんだけれど、小田急線の車窓から見た景色と新宿駅を降りたそれとでは、空の色が違って見えても、それは誰のこと?って聞く度に、決まってそれには誰も答えてくれず、ボクが新宿駅の南口から吐き出されるように改札を出ると、たくさんの悲しみを抱えた人たちとすれ違って、ボクはいつもするように口の中で舌を噛みながら、おまじないを3回ほど唱えて遣り過ごしたんだが、どういうわけか京王百貨店のエスカレータには、幾つものわだかまりが転がっていて、それをよけながら歩いて、どうにか交差点まで辿り着いたのはいいんだけれど、信号の向こうの景色は、ボクの錯覚なのかは知らないが、淀橋排水場が見えるのは、ボクの思い過ごしなのかもしれないねって心の中で独りごちて、そうやって目当ての酒場を目指していると、もう街も道行く人もすっかり黄昏れていることに気づき、ボクは慌てて走り出し、「ひなどり」という立ち飲み屋に辿り着いて、カウンターの奥に陣取ってはみたものの、先客のオヤジが吸うタバコがガラムだったせいか、少しボクは咳き込んでしまい、喉のイガイガを生ビール(サッポロ=450円)で潤したのは、ボクが生涯飲んだ2000杯目のビールだって勝手にボクが今決めたことだし、ボクはあと何杯のビールで命が尽きるのだろうかって考えたら、なんだか黄昏れていくこの街にとっても似合うんじゃないかなって、またセンチになったのを見て、ボクは一人悦にいっていたんだが、ビールのおつまみを何にしようかと頭上のメニューに目を奪われているうちに,カウンターの向こうの兄ちゃんが「何にします?」と変わったイントネーションで聞いてきたのを見て、ボクは「味付きメンマ」(350円)と「ポテトサラダ」(300円)をそそくさと頼み,店員の顔をうかがったてみると、2人いる店員の兄ちゃんは、言葉の抑揚から判断すると、恐らく韓国の方ではないかと感じ、二人の息の合った動きなど、しばらく呆然と彼らを見ていたわけで、この狭いお店の世界観が果てしなく広い新宿の中の縮図のように見えて、ボクはビールで黒胡椒がまぶされたポテトサラダを流し込んだのはいいけれど、よせばいいのにその後、「酎ハイ」(350円)を頼んだら、見事に炭酸が入っておらず、ひどくボクはがっかりしながら、急いでそれを飲み干して店をあとにしたんだが、猫の目のように変わる新宿の風景が、絶えずボクの心の中とシンクロして、甲州街道から見える夕暮れの残照を見たときに、どうにもさっきの「酎ハイ」の味が頭を掠めて、夜の帳が降りる瞬間にクルマのテールランプが煌々とつく渋滞の列を見つめていると、なんだか泣きたい気持ちになっていることにボクは気がつくんだ。
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1 コメント

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はぁ (通りすがり)
2013-05-03 16:27:45
面白いと面白いと思ってんのかよ
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