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居酒屋さすらい 1227 - ボクの中のロックンロール - 「HUB 東京ドームシティ ラクーア店」(文京区春日)

2017-09-30 19:08:13 | 居酒屋さすらい ◆東京都内

後楽園に黄昏が迫っている。

白山通りを行き交うクルマの列は忙しなく、ストップとゴーを繰り返す。

あの頃、白山の校舎を出て、水道橋駅に向かう途中、丸の内線の高架をくぐると、西側の視界が開けた。矯声とともに、乗り物がものすごいスピードで宙を走り、その蜘蛛の糸のようなレールの向こうに見える、黄昏ゆく空を、ボクはいつも見ていた気がする。

もう20数年前のことである。

通り沿いの歩道に、ボクの残像がまだ残っているようで、その見えない微かな光を目で追っていくと、8ビートのドラムの音が脳の奥から聞こえてくるんだ。

 

多分、世間知らずで馬鹿だったんだと思う。何も考えることなく、無神経に生きていたんだと思う。さも、自分が何かに抗って、さも、自分で何かを獲得したかのように。

 

あれから、この街に来ることはそれほど、多くはなかった。だから、こうして、この懐かしい通りを歩くと、ついあの頃のしみったれた8ビートとともに苦いおもいがよみがえってくる。

 

その東京ドームシティの一角。

かつてはなかった、アイリッシュパブの「ハブ」。

ちょっと、歩き疲れた。

ボクは、店に入り、ギネスのパイントとフィッシュ&チップスを頼んだ。

たまに、食べたくなる「ハブ」のフィッシュ&チップス。ギネスとの最高のパートナー。

 

ギネスのグラスは、黄昏ゆく街並みに、まるで夜の帳が降りたような漆黒のカーテンが沈んでいく。東京ドームシティの色とりどりの光がグラスに反射し、やがて溶けていった。

 

フィッシュ&チップス。

オニオンソースをかけて。

おいしい。

 

ボクの中のロックンロール。

あの頃見ていた風景とともに、今よみがえってくる。

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