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居酒屋さすらい 1908 - 頑張ってる感はあるけれど - 「東岩槻元気酒場もつ焼き エビちゃん」(さいたま市岩槻区東岩槻)

2022-05-28 06:45:16 | 居酒屋さすらい ◆地方版

3日間の研修を終え、帰路につく。

疲れたなと素直に思う。

タクシーを呼んで、最寄りの東岩槻駅まで。最寄りといってもワンメーターではいかない。

その研修場所は本当にど田舎だった。夜の自由時間で散歩に出たら、街灯すらないところもあって真っ暗。一瞬身の危険を感じるほど。周囲にお店はなく、一番近くの店が8分程歩いたローソンだった。翌日、マップで確認すると、ローソンとは別の方角に徒歩10分圏内に中華のお店があるのを発見。夜に行ってみようと画策していたが、講義後、講師の先生と話していたら、お店閉店30分前になり、諦めた。ここはなかなか来られないエリアだから、ちょっと心残りだった。

タクシーの車内で、高齢の運転手が話し掛けてきて、損保会社の話題になると、彼はとある損保会社に毒づきはじめた。

「昔、息子が入っていた保険会社、あいつら何もしなかったよ」。

随分昔、息子さんの事故で酷い目にあったらしい。その話しを延々と聞かされた。

自分もその損保会社は嫌いだった。会社勤めの19年間、ずっと仕事を依頼されていたが、いい思い出ばかりではない。情報誌を作っていた頃、制作費100万円を踏み倒されたことがある。今なら下請け法でアウトだが、当時はなかった。結局、その件はうやむやにされた。就活中の大学生に人気の企業で常にトップ3に入る会社なのに。そういえば、その情報誌を作っている時、恫喝されたこともあった。校正の段階で、ちょこっと指摘以外の修正をしたところ、担当者が激怒。電話口で、「言われたことをやってりゃいいんだよ」と大声で怒鳴られた。今になってみれば、確かに余計なことをしたと思うが、怒鳴られるいわれはない。丸の内の一等地にある、その会社のそのフロアにいた人はその瞬間凍りついたことだろう。恐らくそのフロア全体に響き渡ったであろう怒鳴り声だったから。程なくして、その人は異動していった。

タクシーほ車内で、そんなことを思い出してしまった。

東岩槻の駅で降り、酒場を探す。ネットで検索したら、どうも立ち飲みもあるらしい。マップを見ながら、そこに行くと、検索でヒットした店名とは違う店があった。ちょっと中を覗くと、座飲みの店だった。

しばらく駅周辺を歩いてみた。店が少なく、選択肢があまりない。どうすっかなと駅の東側に出ると、なんだか怪しげなエリアに出た。これはすごい。こんな小さな町にこんなエリアがあるなんて。そういえば、埼玉県は意外なところに意外なものがあったりする。小手指のアーケードなんて、その典型だ。

 

ただ、その場所はゴールデン横丁とはいいながらも、あまりゴールデンではなかった。入居するお店は5軒程度。奥行き40mほどの小さな区画だった。ものの1,2分で全店を見て回れるのだが、魅力的なお店はなかった。消去法で選んだ店が、ここ。

「エビちゃん」。

唯一、通路から店内の様子が見えたから。

店内は変わったレイアウトだった。カウンターと小上がりで構成され、テーブルは入口近くに3卓ほどだった。

奥のカウンター席に座り、さて何を飲もうかとメニューを開く。

あった、あった「ホッピー」白。セットで470円。

緑色の髪をした男の子に、それをオーダーしたら、程なくしてお通しが出てきた。ホッピーはプレモルのタンブラーで、くびれがある奴。この店のビールはプレモルのようだ。この時点で全てがっかり。お通しも葉物のお浸しで、いまいちだし。

次に「ポテサラ」と串焼きをオーダーしたが、これもまたショボかった。「ポテサラ」は業務用だし、串焼きも身が小さい。ただ串焼きは一本が100円からだから、文句はいえない。

でも、このお店に入ったことを後悔した。疲れていて、判断が鈍ったのかもしれない。

自分の左後ろの小上がりは女子会で盛り上がっている。推定4人はいる感じだ。自分の右、カウンター席の真ん中には態度のでかい、いかつい男が厨房の男性と親しく話している。座る姿勢がだらしなく、男はやや自分の方に向いており、声のトーンが大きくなったから、自分が男の方を見遣ると、時折目が合った。その向こうには神経質そうなサラリーマンがテレビを観ながら飲んでいる。自分の背後の小上がりは熟年カップル。だから、お客さんはそこそこ入っていた。

大宮駅から電車で15分程度の町で、雰囲気はもう近郊。悪くいえば町外れ。

酒場は頑張っている風だが、競争がないのだろう。典型的な田舎のカジュアル酒場だった。なんだか落ち着かない雰囲気だったし、腰を落ち着けて飲む感じではない。

柱にはGが歩いていたし。そのGがこっちに来ないかと心配で、行方を見守っていると、茶羽は食器棚の中へ消えていった。 

疲れを癒すつもりが、全然リラックスできないからお会計。

中途半端なお店に入ってはダメだなということを痛感。こういう土地ではお母さんが営ってる店に入るべきということを思い知らされた。

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