え?しばし茫然と立ち尽くした。
上野駅構内にある「国産二八蕎麦 蕎香」。他店と差別化するために、わざわざ屋号にいやらしくも国産、二八と銘打つ。
だが、駅そばで勝負するのであれば、その気持ちもよく分かる。だって、駅そばでそのスタイルは出色だ。
二八だけでも凄いのに、更に国産の蕎麦粉を使用するとは。
だって、本格蕎麦屋でも蕎麦粉は中国産が中心だ。
上野動物園や美術館を巡った後、この店に立ち寄ることが多くなった。
蕎麦喰いの長男はこの店の大ファンである。
小学校に入学する前から、長男は箸を器用に使い、蕎麦を手繰る。そのうち、娘もこの店のファンになり、3人で蕎麦を手繰るようになった。
子どもらと来ると、ボクらは決まって、「二八そば」を食べる。
550円。安くはない。駅そばのほぼ倍の値段。
けれども、薫りがいい。これが国産粉だからかは分からないが、微かな香りが爽やかだ。蕎麦は中打ちか、若干外殻が入っている。腰があって、喉越しは抜群。
汁はやや甘目か。もう少しキリッとした汁でもいいと思うが、外殻を用いた蕎麦粉とバランスをとっているのかもしれない。
子どもらも夢中で蕎麦を手繰る姿は見ていて清々しい。少々高いが、子どもらには本物を知ってもらいたいと思い食べさせている。
過日、ひとりでこの店に行く機会があった。
「もり」ではなく、違うものを食べようとチョイスしたのが、「鴨せいろ」。
なんとこれ920円。すでに駅そばの範疇を超えている。
しかしながら、鴨の出汁が効いていて抜群においしい。駅そばの安価な「鴨そば」には人工的な鴨エキスの味がするものがある。けれども、「蕎香」の「鴨せいろ」は美しい鴨肉にきれいな脂が浮かぶ。コクのある鴨の出汁。
920円の価値はある。
とても満足で贅沢な蕎麦だ。
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