雲の上には宇宙(そら)

 雪国越後にて、30年ぶりに天体写真に再チャレンジ!

十夜目の実戦検証 ASI533MC(その2)Gainを変えてペリカン星雲

2023年10月03日 | 機材
前回記事 のとおり 9月30日の中秋の名月は 孫の観望会参加に触発されて、
悪条件ではあったのですが2階ベランダで撮影する事ができました。
ASI533MCを導入してから11夜目の撮影となり、
検証を目的としたものではなかったのですが 得られたものは多くありました。

今回は 前々回の記事「十夜目の実戦検証 ASI533MC(その1)」の続きになります。

9月24日夜の「Gainを変えて撮った上弦過ぎの月」の撮影を終えたのは21時前。
次は月が沈んでから星雲・銀河の実戦検証の予定でしたが
待ちきれず(というより時間がもったいなくて)まだ月明りの中ペリカン星雲で検証を開始。
検証テーマは「3段階のGainでペリカン星雲の撮影画像を検証
3段階のGainには星雲・系外銀河の撮影で実用的と思われる100200300を選択。
実は 月での検証と同じように、Gainに応じて露光時間も変えての検証もやりたかったのですが、
露光時間はすべて180秒で 各Gainとも撮影枚数は8枚だけと時間を節約
久しぶりに晴れた夜なので 月が沈んだらきちっと枚数をかけた星雲・銀河の撮影をしたい欲がでました

各Gainとも3分露光8枚という短時間の検証でしたが、
このあとの星雲・銀河撮影のGain選定に役立てばと思って実施しました。

■ 各Gainの撮影画像8枚をコンポジットした画像のヒストグラム(レベル表示画面)です ↓
当初は レンジ(レベル表示幅)をASI533MCの輝度レベル最大値(16ビット=65535)としたのですが、表示される画像が暗すぎて、レンジを1/4に狭めています

レンジを狭めてもGain300でかろうじてペリカンのたて髪付近が見えてくる程度で
先般の月の画像とは別次元の天体写真の世界であることがわかります。
更にGain100・200となると、輝度レベルはGain300の おおよそ1/9(Gain100)・1/3(Gain200)
となることが、以前に室内でおこなった検証であきらかになっています。

これだけの輝度差の画像を処理するには、ステライメージ の以下の機能が役立ちます。

レベル調整」で表示範囲(レベル値またはレンジ(レベル幅))を調整・・・・・

デジタル現像」で高輝度部のレベルを圧縮する・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

トーンカーブ調整」で 明るさ・コントラスト・色バランスを調整する


■ 前の画像を ステライメージ の「レベル調整」を使って、見た目をそろえた画像です ↓
ステラショット2オートストレッチ処理で背景の色調も調整しています)
( 注.Gain10・20となっているのは、使用したステラショット2のゲイン設定がスライダー操作のため ・・前々回の記事を参照ねがいます )

10倍近くも輝度レベルに差があった画像が、レベル調整だけで みんなまともな画像になったように見えます。
しかしながら、このあとに控えているトーンカーブ調整では
わたしのデジ一眼での経験では、レンジ(階調幅)はできれば 2000くらいは欲しいところです。

それでも533MCはデジカメとはちがうかも? 
・・・ ということで、やれるだけやった画像処理の結果です。

あきらかに露光不足と思われたGain102から順に表示します。
( 画像は北が上になるよう180度回転しています  クリックで元画像の50%サイズで表示できます )

共通DATA:2023/ 9/24 22:38~23:52 R200SS+コレクターPH(合成fl=760mm)
露光時間 各Gain 180秒×8枚 LPS-D1 ASI533MC(冷却ー5℃)
Gain 102
(ダーク減算のみ実施 ・・・フラット画像が未作成だったため

Gain 204
(ダーク減算・フラット処理 実施) 

Gain 300
(ダーク減算・フラット処理 実施) 

ん・・・  もしかして Gain102が一番良さそうなの?
等倍で切り出して並べてみると。
画像処理ではレベル調整で表示レベルを揃えたうえで、トーンカーブマルチバンドシャープ処理で使うマスク画像は
Gain300のものを流用しているのですが、処理がすべて同じではありません。

検証結果として 撮影画像のレベル値・レンジ(レベル幅)とも低かったGain102の処理画像は
高いGainの処理画像に比べて、ノイズが目立たず、コントラストも得られた画像になっています。
これは私の想定外の結果となりました。

****これ以降の記事の記述を一部 修正しました(2023/10/20)****
変更したのは 緑字 の箇所になります。
修正後もこの記述でよいのかどうか自信がありません。

その理由として考えられるのは
Gain100ASI533MC Proユニティーゲインとなっており、
受光で得られたアナログ信号値がそのまま1対1の関係でデジタルグレースケール値として
出力されるゲイン値になっていること。

Gain200や Gain300では、受光で得られたアナログ信号値(電荷量・電圧値に変換)
3倍、および9倍に増幅しているだけで、輝度レベルは大きくなるものの
受光素子の感度を上げている訳ではないので、以下の弊害も発生します。

明るい部分が飽和レベルに達しやすくなる結果としてダイナミックレンジが小さくなる
●トーンジャンプに関する記載 削除
そして
アナログ信号値にふくまれるノイズまで増幅されてしまう

一見 感度不足に思われるユニティーゲインですが、
上記の弊害がないことの方が 得られるものが大きいという結果になりました。


今回の検証結果でちょっと気がかりなのは、Gain102は「ダーク減算」だけということ。
Gain204・300の「フラット画像処理」でかなり色調が乱れる事がわかっています。
室内照明で作成したフラット画像のせいだと思いますが、
このあと撮影した画像で、次回以降 検証する予定です。


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今回の検証、わたしの予想ではGein102は露光不足から
「無理なトーンカーブ調整で荒れた画像になる」でしたが
まったく違う結果が得られました。
当初ユニティーゲインで撮るには露光時間か 撮影枚数を
大幅に増やすしかない。と思っていましたが
ペリカン星雲のような明るい対象の場合なら、枚数多めだけで
良さそうな気がしてきました。
猛暑が去って、彼岸花(ヒガンバナ)の咲く季節となりました


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