


【木槿(ムクゲ)」】

しかし、秋も美しかった。 暗青色の湾から吹く風や 素晴らしい 仲秋の名月 を楽しむ事が出来た。 窪地には抒情味豊かな紫苑が咲き、 林檎が鈴なりの果樹園からは 子供達の笑い声が響いて来た。 上グレンの山の牧場の夕べは澄み渡り、 銀色の鰯雲の空を黒い鳥が渡って来た。 【「炉辺荘のアン」 第11章】 |

【魔法】

清(すが)しい青空を
期待したのですが・・。
早いもので今日から
10月ですね。
それにしてもアッと
いう間に老いて来た月。
ところで昨夜は仲秋の名月を
見る事が出来ませんでしたが、
今日はどうなのでしょう。
十六夜(いざよい)ですね。
十六夜の月は、
ためらうように
出て来るのだとか。
たった1日違うだけで、
月の出が40分も遅くなるそうです。
そして明日十七夜は
「立待月(たてまちづき)」。
その後、「居待月(いまちづき)」
「寝待月(ねまちづき)」、「更待月(ふけまちづき)」 と
ロマンティックな異称が続きます。
月も満ちて行く時は異称はほとんどありませんが、
欠ける月にはある・・。
人々は衰え行くものに、より想いを投影させるのかも知れません。
季節もそうですし、年齢もそう。


今、夏の花である木槿(むくげ)が満開です。
勿論、朝顔やハイビスカスも。
尤も夏の花が秋に咲く事は今に始まった事ではありませんけれど。
未だにその花は大輪で、相変わらず華麗で。
秋の侘びしさ? のようなものは感じられません。
今日、ちょっぴり寂しそうに見えるのは・・
真珠色の空だからでしょう。やはり青い空と太陽が似合いますものね。