【いくつになってもアン気分】

 大好きなアンのように瑞々しい感性を持ち、心豊かな毎日を送れたら・・。
そんな願いを込めて日々の暮らしを綴ります。

葡萄酒色の回想

2012-10-17 17:30:17 | 心の宝石箱





【葡萄酒色の吐息】




「人間というものは、どこか性格にかたよりを
持って生まれて来る。
つまり生来、どこか我儘わがままに出来ており、
皆が皆、その性格の偏りをあるがままにし、
他人と角突き合わせたならば、
世の中など治まるものではない。
だから学問をし、気質を変化させ、
その我儘な所を正して行かねばならぬ」
(中略)
「・・・聖賢の千言万語、又修行などと
いったものは皆、気質を変化させ、
我儘を正す――という事に尽きるのだ。
気質を正しく変化させれば、
自然に父母に孝、兄弟に和、主君に忠となる。
又例えば、戦場での一番槍の勇気
合従連衡がっしょうれんこうを成功に導く稀代の弁舌
国中を心服させる将器などというものは全て、
そうした気質の変化の積み重ねなのじゃ」        
                    【関 厚夫作 「紅と白」】




   起床時は昨日の日本晴れ
  から一転して真珠色の空に
  なりました。

   その後、一旦は太陽も
  顔を覗かせたのですが、
  午前9時頃からポツポツと
  雨が降り出しました。

   何だか随分、久し振りの
  雨のような気がします。

   こんな日は落ち着いて
  ゆっくり新聞でも。

   たまには隅から隅まで
  読むのもいいでしょう。

   今私は、10月から始まった
  新聞の連載小説に夢中です。

   それは関厚夫作、
  『「紅と白」~高杉晋作伝』。

   高杉晋作は、司馬遼太郎作 「世に棲む日々」(全3巻) を読んで以来、
  すっかりファン・・いいえ、崇拝者となってしまいましたから。

   それにしても明倫館小学舎に通う、僅か11歳の時には、
  当時の基礎教養だった 「四書五経」 の手ほどきを受け、
  「講談」 の名目で古今の歴史や忠義と武勇列伝に親しんだと言います。

   当時の武士の素養の高さ、おまけに上記の引用文のように、
  親は子に事あるごとに様々な事を言って聞かせています。
  現在の家庭の在りようと何という違いでしょう。

   ところで晋作も通った藩校、「明倫館」。
  当時は武士だけしか通えなかったそうですが、
  萩には今も外壁に当時の面影を残し、
  【明倫小学校】 として存在していますものね。

   一方、私の母校(小学校)も藩校が母体でした。
  従って歴史も古く、先生方はその事を誇りに思っていらしたようですが、
  その頃既に、良くある地名を名付けた平凡な名前になっていました。

   市役所に 「萩に生まれた事を誇りに思う」 と大書してある、
  偉人を沢山生んだ歴史ある町との大きな違いですね。

   晋作と言えば吉田松陰ですが、今、丁度出会ったところです。
  その松蔭が嬉しい事を言っています。



我師、佐久間象山によりますと、
日本の人々は五大州(世界中)で1番頭が良く、
優れておりますが、
残念ながら鎖国のために西洋の術と才がない。
全く象山先生のおっしゃる通りだと思います。
 
                         関 厚夫 「紅と白」より


   

   今日の写真は、雨が降る前に撮ったものです。
  葡萄酒色に染まっているのは、インウォールクラータの葉っぱ。
  肝心の花は今はまだ蕾ですけれど。

   題して「葡萄酒色の吐息」。
  葡萄酒色の秋、いずれにしても読書が楽しみになりました。