【いくつになってもアン気分】

 大好きなアンのように瑞々しい感性を持ち、心豊かな毎日を送れたら・・。
そんな願いを込めて日々の暮らしを綴ります。

レースでクラシカル

2012-10-24 16:56:26 | 私の手作り夢時間






火は薪にまつわって煙と共に、
身をるようにつのるかと思えば、
まだ黒い薪と薪の間に、静かな明るい
安息に満ちた火の宿りを見せた。
その宿りは何物かの住家すみかのように、
金と朱の眩い小さな床が、薪の粗野な
垂木たるきに区切られて森閑としていた。
沈鬱な暗い薪の上に、突然割れ目から
吹き上げる焔は、夜の平原の果てに上る
野火のように見える事もあった。
この 暖炉 の中に、幾多の広大な自然の
情景が眺められ、暖炉 の奥に絶えず
動いている影絵は、さながら政治的な
動乱の焔が天空に描く影絵の微細画だった。               
        【三島由紀夫著 「天人五衰」~『豊饒の海 Ⅳ』】


   秋晴れが戻って来ました。
  それにしても一雨ごとに寒くなる・・とは良く言ったものですね。

   一気に秋も深まったようで、昨夜などはその寒かったこと!
  早くも、ストーブの出番となりました。
  さすがに火を点けても、すぐ消す羽目にはなりましたが。

   もうそんな季節になったのかと感慨も覚え・・。
  気が付けば10月も後、1週間なのですね。

   若いと思っていた季節も、いつの間にか老いてしまって。
  尤も、同じ事は人間にも言えますけれど。


   さて、先日来から私は、
  レース本来の目的とは違った
  使用法に夢中です。

   今日は、レースの 【付け襟】
  【肩掛けマント】 が様変わりです。
  (1枚目、2枚目の写真)

   本来は、開いた襟元を飾りながら
  隠すためだったのですが、
  使用頻度は、めっきり少なくて。

   何しろ開いた襟元と言えば夏。
  当然の事ながら暑い夏は、
  襟元は出来るだけ風通しが良い方が・・。

   背に腹は代えられません。
  結局、箪笥の肥やしに。
  でも、再び生き返りました。

   黒のレースを纏(まと)った
  ランプは、よりクラシカルに。
  もう使わないネックレスも巻いてみました。

   肩掛けマントは、何の変哲もないブリキの蝋燭立てに。
  硝子で覆われていますから危険もありません。熱くもなりませんし。
  右上の写真は、素顔の蝋燭立てです。 

   思えば・・レースの魅力は繊細、華麗、格調高さですものね。
  おまけに透ける事に生命がある、レースですから、
  こうした飾り方はある意味、理に適(かな)うものなのでしょう。

   そうそう、今日の引用文は暖炉の焔の描写ですが、感嘆しきり。
  その昔、三島由紀夫もノーベル賞候補に上がったそうですね。

   日本語の持つ、これだけの美、微妙なニュアンスを
  外国語に正確に訳せるのだろうかと。少々、余計な心配をしてしまいました。