【いくつになってもアン気分】

 大好きなアンのように瑞々しい感性を持ち、心豊かな毎日を送れたら・・。
そんな願いを込めて日々の暮らしを綴ります。

穂先に思い乗せて

2012-02-19 17:15:15 | 心の宝石箱













朝、食堂でスウプを一さじ
すっと吸ってお母さまが、
「あ」 とかすかな叫び声をおげになった。
「髪の毛?」
スウプに何か、
嫌なものでも入っていたのかしら、と思った。
「いいえ」
お母さまは何事も無かったかのように、
またひらりと一匙、スウプをお口に流し込み、
澄ましてお顔を横に向け、お勝手の窓の、
満開の山桜に視線を送り、
そうしてお顔を向けたまま・・・・・
                   【太宰治著 「斜陽」】




   今朝は昨日より2度余り、
  低い気温となりました。

   今季1番の寒さに
  匹敵するような。

   そしてその空には
  何もありません。

   いいえ、東南の空には、
  来る22日が新月の、
  細~い 「有明の月」 が・・。

   満月もいいけれど、
  繊細な三日月も大好きです。

   こんな寒い朝でしたが、今日は日射しがたっぷり。
  その朝の日溜りの中で、ゆっくり時間をかけて、
  生姜とシナモンの風味をを効かせた紅茶を頂くのが大好き。
  至福の時間です。













   さて、今に始まった事では
  ありませんが、特に最近、
  文字を書かなくなった事に
  気付きます。

   今や文字は打つ時代。
  これも時代の流れ・・
  と言ってしまえばそれまで
  ですが、それではあまりにも
  寂しいですね。

   とりわけ漢字の手書きは、
  視覚、触角、運動感覚などが
  複合的な形で脳を活性化
  させると言います。

   読めるけれど、書けない
  漢字って結構、ありますものね。

   最近、「薔薇」 は書ける
  ようになった私ですが、
  これだって見ているだけでは
  絶対に覚えられませんもの。
  書いて練習しなければ。

   ともあれ、漢字に限らず、
  文字を書くという行為は、
  人格の涵養にも
  (かんよう:知識や見識を身に付ける事)
  大きく寄与するようです。

   そう言えば、「文字は人なり」 という諺もありますね。
  これもやがて死語となってしまうのでしょうか・・。
  でも、人が見えなくなってしまうのは困りますね。

   そうそう、今日の写真。
  こちらにもコメント頂いている、okusama*:..。o○ にも刺激されて、
  ちょっと文字を書いてみました。愛用の筆ペンで。

   この筆ペンを使う事に、心のどこかで、
  なぜか引け目を感じていた私。

   それは今も小さな違和感としてありますけれど。
  本格的な毛筆ではない事に。

   ところで、子供の頃から便箋を集めるのが趣味で、
  今も、お店に行くとつい覗いてしまいます。

   手紙など書きませんのに。
  折角ですから冬の花、【シクラメンの便箋】 を使いましょう。

   写したのは、太宰治著 「斜陽」 の有名な書き出しの部分。
  それにしても何という優雅な言葉遣いなのでしょう。

   尤も、“お” の連発が多過ぎるというきらいは、ありますね。
  やはりと言いますか、志賀直哉などには不評だったようです。







  








   





   こちらは昨日の黄昏の空です。移り目の刹那に出会えた時。
  外の風は冷たいけれど、随分、日が長くなりました。
  春は、もうすぐそこですね。

白い魔法~白い天使が舞い降りた日

2012-02-18 16:18:16 | 四季のスケッチ


【咲いた白い花】











「みんな雪が降り出してよ」
・・・家に帰って来たフィルが告げた。

「庭の散歩道一面にこの上なく美しい
小さな星形や十字形があってよ。
これまで私、雪びらがこんなに
美しいものだという事に気が付かなかったわ。
単純生活ではこんな事にも
気を留めるゆとりがあるものなのね。
                 【「アンの愛情」 第17章】




   普段よりちょっぴり
  遅い目覚めの土曜日の朝。

   “ひょっとして銀世界・・?”
  いつもは・・いいえ、
  特に冬の朝は、
  なかなか起きられなくて、
  ぐずぐずしていますのに。

   今日のようなこんな日は、
  そそくさと・・飛び起きる
  現金な私がそこにいます。

   雨戸を開ける前のワクワク感・・。
  何なのでしょう、この時めき。
  久しく経験していないような・・。

   そんな私の目にパッと
  飛び込んで来たのは一面の銀世界。

   見慣れた朝の景色を
  一変していました。
  まさに白い魔法。

   それこそ、一夜にして、
  あちこちに白い花を
  咲かせていました。

   ただ、こちらでは限定的なその世界。
  その後、太陽が顔を出しましたので、
  午前10時頃にはほぼ溶けてしまったようです。

   ここまでたった2時間余りの出来事。
  ほんの束の間と言ってもいいのかも知れませんね。









【雪の結晶のような花、「金の成る木」(別名:「花月」)】

 


   




   そして雪と言えば思い出すのがこの花、
  「金の成る木」 の花。雪の結晶を連想するのかも知れません。

   別名は 「花月」。
  「花の月」 なんて、何とロマンティッなのでしょう。

   それにしても花が咲いてから既に丸2カ月。
  パッと咲いてパッと散る花が多い中で珍しいですね。
  花言葉の 「不老長寿」 を地で行っているような花です。

   そうそう余談ですが、あのシドニー・シェルダンの遺作に、
  「金の成る木」 という題名の本がある事を知りました。
  名前繋がりで読んでみるのも面白いかも知れませんね。

この美味なるもの~バター付きパン

2012-02-17 15:55:15 | 『カフェ「薔薇の詩(ポエム)」』編













「アン姉ちゃん。
僕、とってもお腹が空いちゃった」
「なら、すぐ バター付きパン をあげますよ」
アンは上の空で返事をした。
(中略)
「姉ちゃんはいつも、
どっさりバターを付けてくれるんだね。
おばちゃんは薄く、伸ばすんだもん。
バターが沢山の方が、よくお腹へ滑るんだよ」
パンの切れがたちまち、姿を消した処を見れば、
かなり楽に、滑り落ちたらしかった。
                  【「アンの青春」 第16章】


   




   ちょっぴり寝坊して・・見た空は、何と澄み渡った青空。
  見渡す限り、どこにも雲はありません。

   こんな時・・相も変わらず、
  吉屋信子の 「空は陶器の青みに晴れていた」
  ~です。でも、もうそろそろ “いい加減にしろ” ですよね。
  つくづく作家の感性に脱帽です。

   それにしても意外に寒くありません。
  アッ、そうそう・・寒くなるのは日中の事でしたっけ・・。
  起き抜けのボ~ッとした頭で必死に頭を巡らせている私がいます。

   確か今日は、最高気温5度、最低気温は3度だった筈・・。
  “1日の気温差がたった2度しかないの・・?”

   ~なんて驚いた事を思い出しました。
  何しろ、こんな事は滅多にない事ですから。












   さて、一昨日の今日ですから
  随分、早いですね。

   『カフェ「薔薇の詩(ポエム)」』
  の開店と致しましょう。

   と言いますのも、この度、
  当店自慢の「特製バター付きパン」
  を新メニューに加えましたから。
  ~なんて。

   こんな風に、いつだって
  好きな時に開店出来るのが
  このカフェの特徴&魅力? 
  なのです。

   (あくまでも 「想像の余地」
  の領域です。念のため)

   しかも、こちらのバター付き
  パンは、“あんこ入り”
  という念の入れよう。

   生協で求めたのですが、
  兎にも角にも美味。

   ところで上記の アンデイヴィー の会話、
  思わず、クスッですね。何とも微笑ましくて。

   この 「あんこ入りバター付きパン」 を私が頂いた時、
  真っ先に思い出したのは、やはりデイヴィーの事。

   もし、デイヴィーがバターをたっぷり塗ったこのパンを
  口にしていましたら、飛び上がって喜んだでしょう。
  バターを薄く云々・・のデイヴィーがいじらしくて。

   ただ(デイヴィーは大丈夫でしょうが)
  これを召し上がった後の体重増加、コレステロール値アップ等、
  諸々の懸案事項は責任持てませんけれど。
  それさえクリア出来るなら・・たっぷりどうぞ~!

   今日のカップは、その朝の空を思わせるような水色のカップで。
  これこそ、本当の意味の “陶器の青み”? だったりして。

   韓国旅行のお土産に頂いたものです。(以前に紹介済み)
  その後ろの、同じく水色の花瓶は、「たち吉」。

   今日は今の所、寒さはそれほどでもありません。
  それでも雪がほんの少しですが、舞っていましたけれど。

   明日は今日以上に寒いと言います。
  今晩は雪が、降るかも知れません。

それぞれの樹

2012-02-16 17:35:18 | 路傍の花~道草




  
【久し振りに 「曲がり角の浪漫」 を感じて】









・・・見た処、死と悲しみのような
葉のない木が立っていた。
けれどもそれはただ見た処だけだった。
命の血は木々の心の中にある。
やがて、青い葉とピンクの花の花嫁姿で、
自分たちを装うだろう。
そして1番沢山に吹き溜りが重なっている所に
横たわっている 小金 は、
やがて朝のラッパを吹くだろう。
             【「エミリーの求めるもの」 第16章】
【注・「小金」 植物の名前】


   






   再び寒い朝の到来です。昨日より2度ばかり低い朝。
  おまけに3日連続、真珠色の空での1日の幕開けとなりました。

   ただ、そんな中にもおずおずとながら、
  今日は太陽の姿も見え隠れしています。

   そんな空ですから辺りの景色も、
  いかにも冬枯れ・・といった様相です。
  








【やがてピンクの花嫁姿に・・夢膨らむ蕾】


   





   さて、冒頭の写真。こちらの桜(並木)は、
  これまでにも何度か登場していますね。

   駅からの帰り道、ここまで来るとほっとする場所。
  我家まで、“後、もう少し・・” の場所ですから。

   春は勿論、桜。
  すぐ傍の、リラ版 「輝く湖水」 の周辺には菜の花の群生も見る事が。

   秋は紅葉と黄金の漣(さざなみ)、
  所謂(いわゆる)田圃と柿、日本の原風景が味わえます。

   そして暑い夏。自然の天幕と化した葉と、揺れる木洩れ日。
  そこを吹き抜ける一遍の涼風に、ほっと一息吐(つ)いた事も。
  では、冬は・・? そそくさと帰るだけ・・?

   いいえ、そんな事はありません。並木の裸木の美しさ。
  葉がないからこその枝振りの見事さを際立たせていて、
  見ていて飽きません。

   色彩がない、モノトーンの美もありますね。
  飾り立てない本質の美。
  本当の木を味わうなら、冬と言いますものね。

   ところで、文芸評論家、小林秀雄の喜代美夫人にも、
  “ここまで来ると後半分・・” という場所、
  いいえ、木があったそうですね。

   それは小学校の登下校の途中にある、
  大きな1本の栗の木。

   信州と言いますから、
  そこは人里離れた場所だったに違いありません。

   子供の足で “後半分・・”、
  この木にどれだけ勇気を貰った事でしょう。
  (エッセー 「栗の樹」 より)

   そう言えば、東日本大震災でも大津波にも負けなかった
  松の木がありましたね。

   1本の木にまつわる思い出と癒やし・・
  誰にもある事かも知れませんね。きっと。

ささやかな抵抗

2012-02-15 18:05:05 | 『カフェ「薔薇の詩(ポエム)」』編













・・・時間潰しにもと1冊手に取って
ハンドバッグから100円銀貨一つ出すと、
「もう50円頂きます」
「あら高いのね」 さばっと言って微笑むと
売子は笑い出した。
黒に細かな地紋のカクテルスーツ、
バッグも一色のアンサンブルに真珠の
ネックレスとすらりとした背をすべるストールの
栗鼠プチグリのグレイが際立つ装いに、
彫りの深い顔立ちに鼻筋が通ったせいか、
やや冷たい感じの奥さんが
150円を高いわねと言ったので
売子はすっかり嬉しくなってしまったようだった。
                【吉屋信子著 「女の年輪」】


   





   雨こそ降っていませんが、今日も重い空で明けました。
  そう言えば昨日の雨。一体、いつ上がったのでしょう・・?
  確か夕方、雨戸を閉める時には上がっていたようでしたけれど。

   今年の冬は寒いものですから、早いうちに雨戸を閉め、
  室内に閉じこもりますから外の様子が全然分かりません。
  とは言え、お天気はゆっくり、ゆっくり・・回復しています。









【画像加工しています】

  


   さて、つい昨日のような気もしますが、
  8日振りなのですね。

   『カフェ「薔薇の詩(ポエム)」』、
  開店と致しましょう。

   昨日のバレンタインデーの
  チョコが残っていますから。
  こんな時は薔薇のカップで。

   尤も今年は昨年までと、
  その様相は少々、違っています。
  と言いますのも・・。

   私が尊敬してやまない
  作家に曽野綾子がいます。
  (ただ、小説は苦手)

   でも、エッセーは大好き。
  考え方と言いますか、その信条には
  いつも共感させられる事、大なのです。

   そんな女史のちょっと前のエッセーに
  「大人の精神的幼児化は重症」
  と題したものがあります。

   一言で言えば、最近の風潮として過剰とも言える 「自分を好きになる」、
  「自分へのご褒美」 云々(うんぬん)に苦言を呈(てい)したもの。









曽野綾子著 「透明な歳月の光」


   





   ガ~~~ン!! 自分に甘い・・そう私。その通り。
  「自分へのご褒美」・・そんな風に勝手に称しては、それこそ何度も。
  どれもこれも思い当たる事ばかりです。

   そんな私ですから、バレンタインデーには、これ幸いとばかり、
  “ゴディバ” のチョコを当然の如く、ここ何年か求めて来たものです。
  (昨年の記事は、【こちら】

   ただ、今年ばかりは自分の中にちょっと異変。
  それでも売り場に足は向かったのですが・・。

   今日の引用文ではありませんが、「高い!」
  世間では円高、円高と騒いでいますのに、昨年と全く同じ値段。
  少なく共、ブログを始めた6年間は。

   値段は一緒だけれど量が増えている? そんな風には見えませんでしたけれど。
  それにしても円高還元は、どこに行っているのでしょう。

   上がる時にはすぐ上がるのに、下がるのは一向に下がりません。
  回れ右をして国産のチョコに変更しました。

   ゴディバのチョコは、ちょっと他にはない変わった味ですが、
  日本のチョコだって美味しさでは負けていませんものね。
  いいえ、それ以上かも。大切なものを見失う処でした。

   最後に。今日の引用文の時代背景は昭和36年(1961年)頃。
  それにしてもパンフレット(映画など)は、今も高いですよね。
  「あら高いわね」 さばっと言って、それが絵になる人って素敵です。

私だけのアナログ・ルネッサンス

2012-02-14 15:53:15 | 音聴箱














苦い 2月 の気候に何事か起こった。
2月 は何と ひねくれた月 なんだろう。
(中略)
恐ろしい吹雪が吹き荒れていて、
風は山の上の木々を追いかけている。
私は木々の向こうでは
プレア・ウォーターは真っ白な砂漠の中の
悲しい黒いものだという事を知っている。
けれども外の大きな暗い風の夜は
ぱちぱちはねる火の燃えている私の小さい
部屋を居心地良くして、あの1月の美しい夜
よりももっとこの世に対して私は満足した。
             【「エミリーの求めるもの」 第16章】


   




   昨日と違って今日は、暖かい雨となりました。
  それもその筈、昨日より3度も高い気温。

   午前9時頃には一旦は、やんでいた雨も、
  お昼前には再び降り出しました。
  どうやら今日は、1日こんな天気のようです。

   朝は暖かいと思った気温も、
  日射しがないせいでしょうね、時間の経過と共に底冷えも。
  今日も私は、ストーブの前から離れる事が出来ません。

   それにしても2月は、ジグザグな月ですこと!
  『アンの世界』ひねくれた月 ほどではありませんが・・。












   さて、こんな雨の日は・・。
  私の大好きな、どこまでも
  セピア色、屋根裏部屋雰囲気
  満載の、こちらの部屋に
  籠(こも)っています。

   定番の蝋燭ランプに火を灯し・・。
  今日は仄かに香る、
  アロマキャンドルと致しましょう。
  爽やかなシトラスの香り。

   そうそう今日の楽譜は、
  ビル・アーウィンを
  取り出しました。

   あまり馴染みはないかも
  知れませんね。オルガン曲です。

   先日のショパンは・・
  ちょっと易しくて、興味半減。

   クラシックからジャズに移行は
  珍しくいいな、と思ったものですが・・

   結局、自分で編曲出来るように
  ならなければ駄目ですね。

   何と言ってもアドリブの世界。
  譜面通り弾いても・・
  ~なんて。イケナイ、イケナイ・・。

   又々、私のいつもの虫が・・。
  でも、何だか物足りなくなってしまって。   

焔と香りのおまじない

2012-02-13 16:43:28 | ハーブと香り雑学
















・・・客間の 暖炉 には赤々と火が焚かれていた。
(中略)
火は薪にまつわって煙と共に、
身をるように募るかと思えば、
まだ黒い薪と薪の間に、
静かな明るい安息に満ちた火の宿りを見せた。
(中略)
火は或る薪には衰えかけて、
細かい亀甲きっこうなりのじょうが、白い羽毛の堆積たいせき
ように不安にふるえている下から、
穏やかな赤い火色を万遍なく透かしていたりした。
薪の堅固に組んだ紐帯ちゅうたいが、1番根元で崩れかけて、
危うい均衡を保ったまま、
空中に浮かんだ砦のように、
しばし火に輝いて、厳かに見える刹那もあった。
          【三島由紀夫著 「天人五衰」~「豊饒の海」 第4巻】







   起き抜けの居間の
  気温は、10度ちょっと。

   昨日とさほど変わって
  いる訳ではありません。

   大きく違うのは太陽が
  その光を出し惜しみして
  いるという事。

   同じ空なのに、
  いかにも寒々しい
  空になっています。案の定・・
  お昼頃にはポツポツと雨が・・。冷たい雨です。

   ただ、こんな風に記していますが・・
  反面、こんなお天気だからこそ、
  妙にほっとしている私がいるのも事実です。

   昨日のようにお天気が良いと、
  家の中にいてもやけに落ち着かなくて。

   そんな時、本来の外出好きな? 
  私の姿を垣間(かいま)見た気がして、思わず苦笑い。
  今日などは心おきなく? 家で楽しむ事が出来ますから。












   楽しむと言えば先日の
  【梅の記事】 以降、
  お香の香りを楽しんでいます。

   そう言えば、この季節だけは
  不思議にお香なのですよね。
  
   他の季節は、
  すっかり忘れていますのに。

   そんな事もあって、
  お香の香りは私にとって、
  そのまま2月の香りとなって
  しまったという訳です。

   細~く立ち昇る一筋の青い煙。
  今日は薔薇のお香を。
  本物の香りです。

   ストーブの上には、
  やかんのお湯が、グツ、グツ・・

   ~と規則正しい音を
  響かせています。

   この空間。
  あまりにも寛いでしまって、
  ついうとうとしてしまうのが
  難点ですけれど。眠りへの最高のプロローグ。

   それにしても三島由紀夫の今日の引用文。
  暖炉の火の情景を描いたものですが、
  これ程の名文を知りません。

   ふと思ったのですが、もしこれを英語に訳したとして、
  果たして作者の言わんとしている事が正確に伝わるのか・・。

   甚だ疑問です。
  氏の文章も然る事ながら、改めて日本語の豊潤な語彙にも。

   今日は、こんなお天気ですので、
  春・・チューリップの先取りです。

   桃の香りのフレーバーティーと共に。
  春まで、もう少しの辛抱ですね。

若い真珠

2012-02-12 17:00:17 | 香る庭の花綴り












樹木は、多くの人間どもとは違って、
知れば知るほど良くなる。
最初にどんなに好きであっても、
だんだんとなお好きになる。
そして長い、長い年月、
四季の変化を通してその美しさを知った時に、
最も深く愛するのである。
                【「エミリーはのぼる」 第19章】


   



   夜明け時の、何もない快晴の空が続きます。
  今日で3日連続。いいえ、何もないって事はありませんね。

   朝、とりわけ起床時は、つい東の空に目を遣りがちですが、
  振り返った西の空には、真丸というには少々、欠けた有明の月が、
  何とも愛嬌のある顔を出しています。(来る15日が 「下弦の月」)













   さて、いち早く顔を出し、
  寒い冬の庭で孤独な独り旅を
  続けていた、匂い菫に、
  やっとお仲間が出来ました。

   ずっと俯き放しだったけれど、
  満面の笑顔でお出迎え。

   このヒヤシンスも、
  お互いに香りの良さでは
  負けていませんものね。

   東南の角のこの場所、
  植物にとっては格好な場所
  なのでしょう。

   開花のスピードの早さに
  驚いています。

   ヒヤシンスは、
  漢字で書けば 「風信子」。

   過去ログでも
  話題になったものです。

   まるで風さんちの、
  信子さんのようですが、
  その信子さん、どこか優雅な
   「深窓の令嬢」 的雰囲気ですものね。

   かと思えば・・。
  「ちょっと頭を ヒヤシンス
  ~なんて、懐かしいギャグも浮かんで来たり。

   ところで東南と言えば、
  冒頭の写真のリラの木。

   何しろ憧れの木なものですから、
  わが家で1番日当たりの良い場所を選び、
  満を持して植えたものです。

   でも、いかんせん北国の木。
  もう少し、涼しい場所に植えるべきだったのでしょう。

   一向に花芽を付けてくれません。
  とは言え、私にとっては希望の木。

   まさしく今の時期は、“今年こそ・・”
  と期待に胸膨らむ季節なのです。

   おまけに若芽だけの、ほとんど裸木に近い、
  その凛とした立ち姿にも見惚(と)れます。

   そうそう、若草や若葉の緑の事を
  みどり という事を知ったのもこんな時。
  「さ・み・ど・り」、声に出して呟いてみます。

   清々しくて、希望の風が、
  サッと吹き抜けた時のような爽快感。まだまだ寒いけれど・・
  ほら、すぐそこに近付く春の足音が聞こえて来ませんか・・?

スウィングの翼に乗って~その2

2012-02-11 16:12:18 | 音聴箱







ピアノの上の1輪挿しに、
その庭の冬薔薇が挿してある。
淡いクリーム色の花の影が
漆黒のピアノのふたに映っている・・・。
譲二はつと立つと蓋を開けた。
緋羅紗ひらしゃの鍵盤覆いをじゃけんにはねのけて、
馬の歯を並べたような象牙ぞうげの鍵盤を
指1本でポンポンと打ってみる・・・・・
              【吉屋信子著 「安宅家の人々」】


   「建国記念の日」 の今日は快晴の朝となりました。
  春とは名のみの厳しい寒さ・・と記したのは、つい昨日の事。

   その一方で、近付く春の足音がひたひたと迫りつつあるのも感じます。
  まず日溜りの日射しの柔らかさ。そして日が長くなった事。

   あの老いた月の日々、午後4時半ですら薄暗くなっていましたのに、
  今では午後6時でも明るい・・。
  そして今日は、かなり暖かくなりました。




      さて、探していたオスカー・ピーターソンの
    楽譜が出て来ました。

     ただ、彼のレコードはあるのですが、CDを持っていません。
    私は CD を何度も聴き、感覚を掴みますから、
    CD がなかったら、お手上げ状態。

   CD に合わせてピアノを弾けるようになりましたら、
  一応仕上がり・・という方法を取っています。

   いいえ、“取っています” ・・ではなくて、
  “取っていました” ですね。もう何年もジャズは弾いてはいないのですから。  

   所謂(いわゆる)、コピー & モノマネの類(たぐい)。
  でも考えてみれば、それでいいのですよね。

   文法なんて分からなくても英語が喋れるように、
  スケールなんて拘らなくてもいい・・。
  理論は、後から着いて来ますもの。

   ~なんて、つい思ってしまいます。詮方(せんかた)ない事ですけれど。
  もっと若いうちに、そんな風に割り切れていましたら・・。

   そんな時、「鏡に微笑みかけて」 の楽譜を見つけました。
  これには確か CD があった筈・・と探し出したのが上の写真です。
  求めたのは楽譜が先だったのか、CD が先だったのか・・。

   そう言えば、クラシックの名曲が収められているから求めたのでしたっけ。
  ショパンの 「ノクターン」、リストの 「愛の夢」 等など・・。

   例えば、ショパンの 「ノクターン」。
  一部を本来のクラシックで弾いて、途中からジャズに変化させる・・

   不定期に行なっている、子供たちのピアノ発表会などで
  弾くにはいいかも知れません。何だか楽しくなりました。

昭和と寄り添う町

2012-02-10 17:55:18 | レトロ(素敵)な空間~散策








愛する 日光 よ、
何とあなたは力のある薬だろう。
1日中私は妙なる白い花嫁姿の
世界の美しさの中で微笑んだ。
             【「エミリーの求めるもの」 第12章】


   春とは名のみの厳しい寒さが続きます。
  ただ有り難い事に、今日も太陽はその光を出し惜しみしていません。

   従って日溜りは随分、暖かく感じます。
  最低気温も昨日より2度ばかり上がっているようです。








   さて、お天気の良さに誘われ、
  近くを散策。勿論、カメラ片手に。

   私の住む場所から坂を下り、
  大きな道路を挟んで反対側の
  昔ながらの集落です。

   先日の町と同じく、
  まだまだ昭和の香りが
  色濃く残っている町。
  やはり細い路地が特徴です。

   それにしても画一的な私達の町と
  違って、何と趣きがあるのでしょう。

   すぐ近くですのに、
  なぜか懐かしさにも包まれて。

   黒い瓦屋根と白い壁、
  そして黒い板塀。蔵のあるお宅。

   木造の公民館は 「寄り合い」
  という言葉がぴったりです。
  公衆電話もまさに 「昭和」 ですね。

   こちらの薪は暖炉で使うのでしょうか・・
  ~なんて。でも、そんな考えにもすんなり入って行けて。
  こんな町は、「想像の余地」 が沢山あって楽しいですね。