声の仕事とスローライフ

ただ今、仕事と趣味との半スローライフ実践中。遠方の知人友人への近況報告と、忘れっぽい自分のためのWeb忘備録です。

兄の遺髪

2015-08-18 08:20:30 | 心霊のはなし



毎年この時期になると思い出す事があります。

以下は、7年前のblog記事からです。



島根の生家を解体する際に、仏壇を整理していて見つかった兄の遺髪を私は、長い間、大切に保管していました。

兄は死産児で、私の生まれる丁度一年前だったそうです。



兄が死産だった事で命を授かったかも知れない私には、
この遺髪を、その当時、軽い認知症が始まり、兄の事さえ忘れてしまっていた母に渡さなければいけないという義務感がありました。


その「兄」を伴った旅行中、不思議なことがありました。

群馬に帰る前日、広島で妹の家族と、母と私とで連れ立って焼き肉を食べに出 かけた時の事でした。

妹の家は、広島の中心部から山陽本線・呉線で約10分の海田に近い静かな町にあります。

夕方になって、やや涼しくなった頃、ヒグラシの鳴く線路沿いの道を

妹夫婦と大学生の甥二人そして母と私とで、連れ立って6人 でてくてくと歩き、目的の焼き肉店に向かいました。

赤提灯が燈るその店に着くと、入り口で妹の夫が
「7人なんですけれど・・」と

店員に人数 を告げています。

ところが店内を見渡すと6人用のテーブルしかありません。

妹夫婦も母も私も「ひとり分足りない」と瞬時に席を探したのです。

誰も疑う事もなく、真剣に「7人掛けの席ってないよねぇ・・」と。

そしてハッと思ったのも同時でした。

「あれ?なんで6人なのに7人だと思ったんだろう・・」と妹が言 いました。

「でもさっき歩いて来る時に振り向いたら確かに7人いたよ」と

妹の夫が不思議そうな顔をして言いました。

「私もそう思ってたよ」と母も首をひねっています。

席に座って私は笑いながら

「だれか首から肩の辺りが痛い人いない ?」

と訊くと

誰もが「ううん」と否定しました。

犯人は私だったのです 。

(私の肩に乗ってついて来たに違いない…)

実はその時、私は「兄の遺髪」の入ったバッグを母の部屋に置いて出かけたのです。

私の肩には子供をおぶったあとのようなだるさが残っていました。

食事を終えて帰った私はすぐに母の部屋の仏壇の前に座り手を合わせました。

そのとたん、うそのように肩のだるさがスーッと引きました。
                                                       

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人生の選択肢

2015-08-18 04:44:03 | Diary
昨日の仕事先で

ある青年が話しかけて来ました。

「実は、僕も自衛官だったんです。」と…

黒いTシャツにシルバーのペンダント、ムースをつけて立たせた髪にジャニーズ系の顔立ちで

眉もキレイに整えた、いわゆるイケメン…

その雰囲気からは、どう見ても元自衛官には見えないけれど…

唯一なるほど…と思わせたのは肩幅の広さと胸の厚みで、

逆三角形の上半身が、かつての肉体労働を物語っていました。

「作業服は迷彩でしたか?それとも深緑でしたか?」

ときかれ

「私の時代は深緑ね」

と答えると、ニコニコ笑いながら

「自分は◯△◇隊に所属していました」

と、私もよく知っている駐屯地にある部隊だと教えてくれました。


4年間勤めて、辞めた…

その理由は、東日本大震災で南相馬に行ったのがきっかけだったとも…。

周りの人たちを気遣いながら、言葉少なに語ってくれた時、

その表情が一瞬曇ったのを私は見逃しませんでした。



彼は今、高齢者施設で働いています。

「今の仕事は、どう?」

ときくと

「自衛官時代の経験が、役立っています!」

その表情をみれば、仕事は充実している様子
職場の人間関係にも恵まれているようです。


明るいキラキラした笑顔の彼が、

あのヘルメットをかぶって被災地で救援活動をしていた…

その姿を想像した時、なぜ自衛官辞めて介護士になったのか、わかるような気がしました。


隊に残るか辞めるか…

二つに一つの選択肢は任期制隊員の特権ですが
私は、これまで

隊で講演を頼まれた際は、いつも

「残るか辞めるか決めるのは自由、選択肢があるのは幸せなことだ」

と後輩達に伝えて来ました。

でも今は、そうは思いません。

残っても辞めても厳しい選択…になることが予想されます。


けれども、昨日出会った青年のような選択もある…

人から感謝される仕事という点では介護士も同じ、

彼を支えているのは自衛官時代に培った奉仕の精神かもしれない。

悩む後輩達に会った時、そんな話ができればいいな、と思っています。

清水 由美














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