声の仕事とスローライフ

ただ今、仕事と趣味との半スローライフ実践中。遠方の知人友人への近況報告と、忘れっぽい自分のためのWeb忘備録です。

ラバウル小唄

2017-08-17 10:27:01 | 音楽
11年前のblogから…

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この時期、お年寄りたちには共通の話題があります。
戦中戦後の怒涛のような、時期を経験した
方たちならではの話題です。

今日は、『ラバウル小唄』を歌ったのですが、

中でも今月19日に90歳の誕生日を迎えるMさんにとって生涯忘れられない歌が、

『ラバウル小唄』だったのです。

一緒に参加されている社交的な奥さんに比べ

物静かで、いつも後ろの席で微笑みを浮かべながら目立たないように歌っているMさんが、

ラバウル小唄の伴奏が始まったとたんに
小さな歌詞カードを取り出し、

大きな声で


♪さらばラバウルよ また来るまでは
 しばし別れの 涙が滲む
  恋し懐かし あの島見れば
  椰子の木陰に 十字星 ♪

と、歌い始めたのです。

よほど懐かしかったのでしょう・・。

Mさんは私たちに、
実は終戦までの7年間、24歳から31歳までを
ラバウルで過ごしたこと、
食べ物が無くて粟ばかり食べていたこと、
上官が大酒のみでとても苦労したことなどを、
饒舌に話してくれました。

『ラバウル』はMさんにとって、
苦しい思い出と同時に若かりし頃を思い出す、キーワードだったのです。

参加者全員のリクエストに応えて、

最後にもう一度、Mさんに前に出て『ラバウル小唄』を歌ってもらいましたが、

その時の「はい!!」という潔い返事と「気をつけ」の姿勢は、まさに旧日本軍の上等兵でした。


帰り際、こっそりとMさんの奥さんが
キーボード伴奏を担当している友人を呼び止めて、
「生涯のいい思い出になりました。」
と言ってくださったとか・・・。

いえいえ、私たちにとっても、Mさんの
『ラバウル小唄』は生涯のよい思い出です。


しみずゆみ







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