声の仕事とスローライフ

ただ今、仕事と趣味との半スローライフ実践中。遠方の知人友人への近況報告と、忘れっぽい自分のためのWeb忘備録です。

困った“客”

2017-11-10 09:55:03 | Diary

お財布ケータイを申し込んだものの

契約している電話会社が違うため、

一度も使っていないのを何年間も放置していたことに気づき、

登録解除の手続きのため家から近い地銀の支店を訪ねた。


ATMの奥のロビーに入ってみると、
10人も座れば満杯になる長椅子が置かれている。

5、6人の行員が言葉少なく静かに黙々と仕事している印象だった。

「お座りになってお待ちください」

と言われ、

そばの椅子をみると、

椅子の上に置かれたビニール傘が座席2つ分のスペースを占領しているため

座る場所がない。

カウンターにいた年配の女性行員に

「傘が置かれていて座れないんですが」

と声をかけたが、

「あ、はい…」と小さく頷いただけで

彼女は困ったような顔をしただけだった。

忙しくて手が離せない、ということだろうか?


仕方なく立っていると、

一番手前のカウンターの上にベージュ色のバッグが置かれたままになっているのに気がついた。

( 誰かの忘れ物?)

周りを見回すと、すぐそばの椅子にバッグを持っていない客が座っていた。

白髪のセミロングヘアを1つにまとめ、
着古したグレーのカーディガンとベージュのコットンパンツ姿…

色黒で顔全体に深い皺が刻まれている。

化粧っ気のない女性のようにも見えるが、男性のようにも見える…60代半ばか70代半ばくらいの大柄の人だ。

「こちらのバッグ、忘れていませんか?」


と声をかけると、

“客”は黙ってムッとした表情で、カウンター上のバッグを掴み取って

また同じ椅子に座り、

バッグから、タバコを取り出し、そのまま口にくわえた。

火がついていなければ問題ないだろう…というような太々しい態度だった。


窓口は、相変わらずシーンとしている。


椅子の上に置かれた傘のせいで、私のように
座れない客がいる事すら気づいていないように黙々と仕事をしている。


他の客も、みな無言で座っていた。


昨夜遅く県外出張から帰ってきたせいか
さすがに、足が疲れてきた。


右奥のドアから若い女性行員が出てくるのが見えた。
休憩時間が終わって、出てきたところだろうか?


彼女に言ってみよう…と思いつき


「 持ち主の分からない傘が置かれていて、椅子がふさがっているんですが…」


と声をかけると、

すぐに出てきてくれ、その傘を移動させようとした途端、


「それ、ワタシのですが」

と、

先ほどのくわえタバコの“客”が傘を行員の手から乱暴に奪い取った。


「申し訳ございません」

と女性行員は謝ったが、

“客”は、
再び元の席に座ってブツブツと聞こえよがしに文句を言いはじめた。


椅子に座った私は、

なぜ傘が置かれていても中にいる行員たちが何もしなかったのか…が、

ようやくわかった。


用が終わって、出口付近をみると

先ほどの“客”が、ロビーで仰向けにひっくり返っていた。

よろけて、転んだのだろうか?

支店長らしいメガネの男性行員がカウンターの中から、その様子を見ていたが

相変わらず他の行員は、その状況を無視するかのように黙って仕事をしていた。


“客”は、起き上がって

不機嫌そうにカウンターの男性行員を捕まえて、

「支店長の名前は?」

と、訊いていた。

本店に電話してクレームでも入れようというのか…。


おそらく、過去にも何度か同じことを繰り返しているのだろう…

この“客”の対応には「無視」を決め込むしかないと

支店側は判断したという事だ。



大きな支店ならロビーで顧客対応をしてくれるアテンダントを置いているが、

小さな支店には、アテンダントはいない。


もし私がこの銀行のフロアで案内の仕事をしていたら、

この場合、どうするかな…。



ところで、

サツマイモを

“干し芋”にするには、どうするんだっけ??









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