NHKでポアンカレ予想を解いた数学者の番組をみました。
1904年にポアンカレによって出題された数学上の問題で、100年に渡って数学者が挑み続けていましたが、解かれることは無かった。その問題が、2003年ロシアの数学者ベレルマンによって解かれました。
「長い長い紐の端をロケットにつけて飛ばして宇宙を一周し、戻ってくる両方の端を合わせて引っ張って戻ってくるとしたら、宇宙はドーナツ型ではないといえるのではないか?」
…これが数学の問題なんだというくらい私には理解不能ですが、この難問を解くために没入しすぎて。人生を狂わせた人、解いたと思い、フィールズ賞を一度は取ったのに、その後何年もかけて間違っていたことがわかったり。
当のベレルマンの説は、インターネットに掲載してから3年後に解かれていたことがようやく認められたこと、
せっかく解いたのに微分幾何学と物理学の手法を使っていたために、トポロジーを使って挑んできた大方の数学者には理解不能だったこと。
また、べレルマンは、最大の栄誉であるフィールズ賞を辞退し、職を辞し、母の年金と、わずかな貯金で人に会わずに暮らしていること。恩師が尋ねていっても、会わずに帰してしまったり。
数学はさっぱりわからないけれど、問題を解くことに夢中になって、食事も、家族もほったらかし、人とも会わずに引きこもり、おかしくなっていく。というのはわかるような気がします。
数学だと世間も拍手して、奨励してしまうので、わからなくなってしまうけれど、ゲーム、テレビ、麻薬。
自分の人としての生活を忘れてしまうほど、一つに没入してしまうというのは、よくあることです。
音楽も同じ、私も、練習していると、食べるのも面倒くさくなるし、掃除はもうかなりいい加減。
最低限の清潔さで我慢している始末。服だって誰にもあわなければ、同じ物でもかまわない。
世話しなきゃいけない家族や、風采を気にしなければいけない世間があるというのは、幸せなことかもしれない。
数学は今もかつても私を苦しませただけの、にくい敵のようなものだったけれど、数学者も、生活とのバランスに苦しんでいたことを知って、妙に共感してしまいました。それに宇宙に紐をかけるなんて、出来もしないことの予想をし、それに取り組む、なんだかロマンを感じてしまいます。
数学もこういうところから入ると私にも楽しめたかも。今更です。