音楽の喜び フルートとともに

フルート教室  久米素子 松井山手駅 牧野駅 090-9702-8163 motokofl@ezweb.ne.jp

ベルタ・ハッペンハイム

2009-03-19 20:40:51 | 本・映画など

森田ゆりさんの著書「子どもへの性的虐待」岩波新書で、ベルタ・バッペンハイムという人をはじめて知りました。1800年代後半のドイツのユダヤ人の社会福祉事業家で、著作も多数あります。

若い母親、乳幼児から10代の少女のための4つのシェルターホームを経営し、何千人もの子ども達の母として、女性達の師としての生涯を送ったそうです。
1935年、経営していた孤児院の子どもがヒトラー批判をしたとして密告をうけ、ゲシュタポに出頭。76歳のベルタ穏やかに、しかししっかりと弁明し、釈放。しかし、それから一度もベッドから起き上がることなく1年後亡くなっりました。
しかし死後、著作はナチスによって焼かれ、42年から44年までの間に、孤児院の子ども達全員と大半の職員、ベルタが人身売買から救った女性達のほぼ全員がアウシュビッツに送られて殺されます。援助していたクラスコーのユダヤ人教員訓練寄宿学校の93人の若い少女達は、ナチスが学校を売春宿にする方針を出した時、全員が体を洗い清める儀式をしてから毒薬で集団自殺したそうです。

ベルタの墓碑にはこう刻まれているそうです。

   わたしの永遠の休息所を訪れる人は
   私のことを覚えていたら

   言葉は消えてしまうから
   花束は消えてしまうから
   小さな石を一つもってきてほしい

   いのちのためには 大胆にひるまず奉仕するという
   女性の役割と女性の喜び
   その思想を生きたしるしとして
   無言の約束として

私はベルタのことは知らなかったです。
頭を殴られたような衝撃を受けました。女性や子どもの地位が低い困難な時代にあって、困難な福祉事業に挑んでいたこと。また、歴史から忘れ去られているということにも。
今日牧野図書館に行ったら、3段はあった女性問題コーナーには、一冊もその関連の本がなくなっていました。各地で、ジェンダー、男女共生のフロアが閉鎖、縮小され、性教育は行えなくなっています。
その一方で、自由の名の下にポルノという人権侵害が放任され、児童女性の売買春が横行しています。
歴史はくりかえすのでしょうか?