今日は梅田でレッスン。久しぶりに見た鋼材を運ぶ船。高度成長期には何十軒とあったこういった船に荷物を乗せて運ぶ業者は、もう一軒しか残っていないそうです。
アルテ3巻の26、レスタティーボの練習。
レガートで演奏しますが、かなり音符が多いです。
バタバタ早めに演奏していると、先生が「モイーズ先生が演奏したのを聴いたことある?」と言われました。
「CDで。音質は劣化していてよくないのに、聴いていると、なんともいえないふわっとしたいい感じ。なんていっていいのか。」
「そうでしょう。良く聴くとね、あちこち間違っておられるんだけどね。そんなことは、超えたよさがあるんだよ。早い演奏をする人や、指の動く人はたくさんいるんだけど、こんな演奏をする人は、世界中探しても何人かしかいないよ。その演奏とね、自分の演奏はどこが違うか、良く聴くんだよ。」
「それから、自分の音を良く聴くこと。」
この課題はデュオになっていて、先生に合わせようとしたり、テンポどおりに演奏しようとばかりしていて、自分の音を良く聴いていませんでした。すると、
「音楽にするんだよ。歌ってる?モイーズ先生はいつも歌いなさいといっておられたよ。大きな声で歌うとフルートを吹くときにもいいんだよ。いい音がするから。」
「仕事で子どもを呼んだりするときくらいですね。大きな声をだすのは。」
「子どもを呼ぶために大声を出す時は、フルートを吹くときとは違う筋肉がうごくんだよ。民謡的な発声法と同じで。だから、歌った方がいいよ。」
「それでね、子どもに話すときに、自分が一生懸命話すことに夢中になって、子どもの顔色や、態度をみていなかったら、子どもはぽかんとして全くわかっていなかったり、『これしなさい。』と言っても実はその子は体調が悪くて出来なかったのを見落としていたりするでしょう。」
「フルートを吹くときも同じ、たくさんのこどもがそこにいるのよ。子どもの顔色や、空気を読むのと同じ、自分の音を一つずつ、一人ずつちゃんと鳴っているかどうか聴いてあげるんだよ。」
「楽譜に書いてあることをそのまま演奏するだけでは、芸術とは言えない。音楽にすることが大切だよ。音楽だよ。同じ様に演奏してはいけない。2回目は違うことをやってみるんだよ」
「宮本武蔵は、力を出すためには力を入れてはいけないと書いているね、大きな音を出す時には、力を入れたら、力が出ない。と言って、筋肉が全く無かったら、力はやっぱり出ない。力を出すために筋肉を作っておいて、適切なところで、適切な加減で力を抜き、力を入れないといけないんだよ。もう、だいぶ気付いて来てると思うけれど。その加減が大切なんだよ。」
テレマンファンタジーの1番、私の課題のタンギング。
「そうそう、そうだよ。それでいいんだよ。」と言われたので、質問してみました。
「いつもは、マウスホールを4分の1位塞いでふいていたのですが、もっと、ふさいでみたのですが。」
「4分の1から、3分の1だけど、音によっては3分の2位ふさぐときもあるよ。音によって違うんだよ、一定じゃない。特にppで演奏する時には僕もそうするよ。でも、ふさぎすぎると、音は小さくなる。モイーズ先生がおっしゃってらしたけどね、自分の息だけで演奏しているんじゃないんだ。大きな掃除機がホールの裏についていて周りにある空気も一緒にホールの中に吸い込まれていく。そんなイメージで演奏するんだよ。管を見てご覧。ホールだけではなくて、ずっと管は横に長いでしょ。」
なるほど、昨夜、S先生はモイーズ先生の夢を見られたそうです。
夢の中のモイーズさんは生きておられた頃より、もっとうまくなっておられたそうです。
そして、今日私に言って下さったようなことを、「ちゃんと伝えるんだよ。」と、言われたそうです。
本当におもしろい。
今日も、自分のどこが足りないのか、わかって元気が出てきました。
足りないところがはっきりすると、目指す方向がわかります。最悪なのは、満足してしまうこと。霧の中にいるようにぼんやりしてしまいます。どんな事でも、どんな時でも、はっきり本当のことを言ってくれる人をそばに置くことが大切です。少し傷つくかもしれませんが、その傷は、次の失敗を必ず防いでくれます。傷なくして成長はない。ということを肝に銘じます。
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