ガレージの屋根が、アイビーに占領されつつあります。建物には良くないようですが、切る気になれません。
「まさか、音楽を取り上げられるとは思わなかった。」
職場の異動で、音楽を続けられなくなった友人の話です。
彼は、音楽をするために今の職場に入りました。ずっと音楽を続けてきて、20年近く。彼の作ったブラスバンドグループは、コンクールの上位入選常連メンバーでした。
しかし職場はあっさりと、その実績を切り捨てました。不景気以前から、経費をずっと切り詰め、人を増やしてこなかった職場が彼を畑違いの、場に移動したのです。
音楽を続けるためには、職場を去るしかない。厳しい現実です。結局、彼は職場を選びました。
ずっと、そのことが気になっていましたが、それから2年。偶然街で会って、聞いたら、この言葉。
音楽をやっていて何かの役に立つとか、社会的成功に役立つとか、そんなことは、思わないけれど、私にとっては、音楽を演奏すること、その時間を誰かと共有すること、その瞬間や、プロセスそのものが喜びであり、ドキドキ、わくわくする冒険であり、幸福そのものなので、彼の言葉はやはりショックです。どんなにつらいだろうと思います。
彼のような人が、音楽を続けられる世の中であって欲しいと思います。もう少し、この社会が音楽を評価してくれれば、彼は続けられたかもしれない。とも思います。本当に残念です。
しかし、いつか、また彼は音楽をするだろうと思います。何年かかっても、きっと、どんなことをしてでも。