ひろの映画見たまま

映画にワクワク

「エレニの帰郷」,アンゲロブロスが描いた次世代への希望

2014-02-21 18:39:54 | 映画
おススメ度 ☆☆☆
   映像詩のお好きな方 ☆☆☆☆

20世紀最高の映像監督といわれるテオ・アンゲロプロスの遺作。

本作は、3部作の「エレニの旅」に続く2作目で、3作目を撮り終えずに、アンゲロブロスは、2012交通事故で亡くなった。

半世紀に及ぶ3人の男女の時代に翻弄された生きざまを描き、2000年の幕開けまでを描く抒情詩。

その映像は美しく、長回しのシーンは、背景の音楽の音とともに、愛の美しさといとおしさを切々と訴えかける。

前半、1999年のイタリアチネチッタの映画撮影所、そこには、ギリシャにルーツを持つ映画監督が呻吟していた。

それは、自らの父母と恋人の映画を作っていたからだ。エレニは母の名だ。

スターリンの死に始まって、ウォーターゲート事件、ベトナム戦争やベルリンの壁の崩壊と、20世紀後半の世界的な事件を背景にしながら描かれていきます。

エレニは、女学生時代に秘密警察に逮捕され収容所に、そこから脱出するも、恋人とは別れ別れに、ウズベキスタンでイスラエル難民ヤコブと知り合い、ギリシャ難民の街エレニスで恋人と再会。間もなくスターリンの死の後の混乱で逮捕されシベリアへ。

予備知識なしで見る私にとっては、淡々と話が進み、映画と現実が見極めのつかぬまま、映画は進行。厳しい刑務所での生活や、そこからの脱出など、苦労がおぼろげながら理解できる。

そこで支えになるのは夫であり、ヤコブである。

夫を求めて、オーストリアで越境を果たし、ニューヨークへ、更にカナダへと世界を駆け巡る。

最後はドイツ。3人と映画監督の息子の再開。

でも、3人には、老いが待っていた。

この映画は、別れと、追憶と、出会いと、再会と、愛する人の出会いと別れの映画。

映像の美しさと、音楽の巧みさで、心に残る映像の数々。

この映画は、東映の社長の肝いりで輸入されたと聞く。こんなに心を揺さぶる映画が日本で見られる幸せをかみしめたい。

コメント (2)
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