過去写真から引っ張り出した冬の佐渡。
2016.1.9
2015.1.18
10年以上も前の12月3日、母が脳出血で倒れてからの父との佐渡生活が始まって。
ふだんは佐渡での暮らし、月に1度は横浜の自宅に帰ってあれこれ片づける。そんな日々。
その年の12月も暮れ近くに自宅に帰って用を済ませ、父と待つ実家へと新幹線に乗り、
新潟の佐渡汽船切符売場へと。いやいや万が一と一縷の望みをかけてきてみたのだが。
海上時化のため16時の本便から欠航しますとの案内を受けた。
あちゃあ、困ったなと。困ったけれど船しか手段がないのだから仕方がない、ホテルの手配をしてもらった。
ほんとに、島はこうだからなあ、と初めての経験に愚痴のひとつもこぼそうというもの。
ホテルのそばにはデパートがあり、正月を迎えるための何かいい食材はないものかと地下をうろうろ。
と、目についたのが日本酒の試飲コーナー。
季節限定作り立てのにごり酒「五郎八」 にごり酒だから白濁した色。
新発田の酒造メーカーのお酒。
こんなお酒見たことないなあ、季節限定ってのがいいじゃないの、いかにも新鮮だわと。
私、日本酒は飲まないけれど、父にはいいかなと試飲してみた。
いやあ、美味い。濃厚、コクがある、つぶつぶ感もまたいい。
アルコール度数は強いはずなのに、飲んだ後意外にもさっぱりして気を付けないと何杯でも行っちゃいそう。
普段飲まなくてお酒の味なんて分からないのに美味いと思ったわ。
即お買い上げ、実家まで持ち帰るのに困るから中くらいの大きさのものにして。
翌日、朝一番の船で帰った。
大晦日に来た夫も一緒に「五郎八」飲んで。二人とも「うまいうまい」と口当たりがいいから何杯も杯重ねて。
それ以来、正月は「五郎八」が定番になった。
今もこの時期になると、近くのお酒スーパーには「五郎八」」が並ぶそうな。 夫はいそいそと買い込んで最初の一杯は五郎八を楽しんでいる。
過ぎたことを思い出したりしない私でも、五郎八見るたびにこのエピソードは忘れられないこととして残っている。