台風一過の昨日の夕焼け。
18時05分
18時10分
まさかね、映画の舞台挨拶を見ることができるなんて、夢のまた夢。
だいいち見ようとも思ってなかったわ、今までも。
それが思いがけずリョウコちゃんのおかげで生まれて初めて参加できることになった。
8日日曜日、折から夜には想像を絶する光景を見るかもしれない台風15号接近という日に。
16時30分の回。
剛君は監督と娘役の甲田さんと登場。真ん中の通路を通って。
私の隣の席のお嬢さんが「つよぽーん!」と大声で叫ぶけど、残念ながら真ん中より後ろの席だから
剛君は振り向かない。私ももっと大きな声で言ってとけしかけたりしたの。
でも彼女はメゲナイ。ステージに立った剛君によく通る声で声援した(内容は忘れた)。
今度は剛君しっかり反応して「そこの白いTシャツを着た人、ありがとう」と指さして応えてくれたわ。
彼女が手を振るから私も負けずに手を振ったりなんかして。
それにしても、作品についての出演者や監督の想いを直接聞くことができるなんて貴重な経験ね。
二人ともお蔵入りしたかもしれない作品が「公開(監督は公に開く、と言っていた)」できることのありがたさを
「何回も言って来たけれど」と断りつつ感謝していると口にしていた。
それはそうよね、精魂込めて作った作品ですもの、それがとんでもない事情で公開できない、なんてことになったら
悲しすぎる。3週間限定の公開、上映する映画館も少ないけれど、それでも観ることができるのだから幸せだわ。
上大岡の映画館最大400人は入る大きなスクリーンで、剛君主演の作品がようやく観られるなんて。長かったわ。
ほんとうはもうひとり 二男がいる
ストーリー自体は既視感があって、特に目新しいとか斬新だとかそんな視点もあったのか、とかの驚きはない。
だけど、うんそんなことありうるなと、どこの家庭にも起こりうるなと共感したりして。
作品はコミカルでユーモアもあって、それでいてどこか切ないものも流れていて、目まぐるしい。
鈴木家の兄弟4人、両親、小鉄家族等々登場人物それぞれが抱えている事情のピースがあちこちに散らばっていて、
後半になっておさまるべきところにピタッとはまっていく。
前半は、ぱっぱと伏線を散りばめていくから場面の切り替えが早くて、なかなか付いていけなかった。
夏の1日の鈴木家の中で起きる遺産相続騒動、それに伴う家族同士のもろもろ、たったそれだけで映画は進む。
それが退屈しないのよ。
あっというスピード、しかも観る人を置いてけぼりにしないで、登場人物を巡って沸き起こる感情に寄り添ってくれる。
なかなか珍しいわ、ま、ラスト近くのあれには参ってしまったけれど、それはそれでありかと思えば気にならない。
大団円で終わるけれど、特に感動もしなければしみじみとしたりもしない、
家族それぞれが隠していた想いが奇しくも浮かび上がる深い話なのにね。
それなのに、観終わった後、清々しく温かい気持ちになったのは我ながら不思議。
それもこれも、たった10人のキャスティングが絶妙で、ひとりひとりのキャラクターが立っていて
破たんがなかったからだと思う。
鈴木家長男に草彅さん、きょうだい役にはMEGUMIさん(振り切った演技だった)中村倫也さん、もうひとり。
ほかに尾野真千子さん(小鉄の妻ね、好き)甲田まひるちゃん(娘、オーディションで受かったそうな)。
両親役に(藤竜也、榊原るみさん、いやあ渋くて愛情深くて)そして、若林竜也さん(なかなか個性的よ)、長内映里香さん。
そりゃあ、剛君は贔屓だから何も言わないけれど、今までの彼の出演作品とは全くちがう人物になりきって、
ごく自然にクズなオヤジ像をいかんなく発揮していた。うん、やっぱり彼の演技は好き。
どの役者さんも魅力的で尖がった部分がでていて、三角だったり四角だったり台形だったり。
だからこそ最後にピタッとはまって、素敵な大きな作品ができたんじゃないかしら。
夏の日、鈴木家の4人きょうだいは10年ぶりに実家へと戻ってきた。
銀行で2000万円を強盗したまま行方が分からなくなっていた両親の“見せかけ”の葬儀をするためだった。
財産分与を目的に葬儀をする、長男・小鉄(草なぎ剛)をはじめとする弟妹たち。
きょうだいそれぞれがこれまで溜めてきた想い、小鉄と娘ユズキの間にある親子の溝、そして10年前に両親が起こした強盗事件の背景とは…?
世界一“クズ”な一家、鈴木家の面々の話し合いは一向に解決の糸口が見えないまま、刻々と大きな台風が近づいてきていた……。
映画『台風家族』予告編30秒
追記
9月7~8日の映画ランキングで11位。
全国たった96スクリーンでしか公開されていない。
200、300スクリーン公開が多い中(引越し大名なんか323だものね)、
よく健闘して舞台あいさつに駆け回った甲斐があったわね、よかった、素晴らしい。