夜明け前、金星は輝いて月はまだ空高く。
年を感じるってそりゃあ1分に一つくらいあるけれど。
頭、体、容貌、動作、体力気力などなど数え上げれば切りないくらいすべてだけれど。
それらはまあ当たり前だからそうよね。
大雨が降って、それでも止み間にをぬって郵便局で用事を済ませバスを待っていた。
杖を突いた老男性が「座れるかね」と。まだ少し濡れているみたいですよと言うも、
手で拭ってみて「これくらいならいいや。立ってるよりましだ」どっかり座った。
分かるわあ。
もう見栄張る元気もなく、ただただ座りたいとひたすらベンチ目指して突進するものね。
それでぼんやりバスの発着状態を眺めて、自分の乗るバスをまだかまだかと待つのよ。
そうやって背中丸めてバス乗り場のベンチに座っていると、あああ、とほんと年を感じる。
スーパーへ行ってお目当てのものが探せない。
どのコーナーにあるのかうろうろ探す。
行きつけているスーパーだってそうなんだから、初めてのところなんぞ迷路に
入ったようなものだ。なんだってこんなに分かりにくいんだと腹が立ってくる。
年寄りが切れやすいのはこういうことかしら。
で、面倒くさいからすぐ店員さんをつかまえて訊く。お客さんここですよ、と
後ろの棚を教えてくれようもんなら恥ずかしくて。あらあ、なんて言ってごまかす。
どう?これ。すぐれものでしょ。
納豆、あまり好きじゃないけれど。この納豆についていたたれには感激した。
切り口が実にわかりやすい。汁が飛び出す心配もなくストレスフリー。
近ごろはずいぶん改善されたが、ほんとこの手の類、切れ目探しに往生するの。
マヨネーズとかワサビなどのチューブのアルミのような蓋、あの小さなやつを
はがすのにどんなに苦労するか、若者よ分かるかとイライラはとんでもない方向に。
あっ、まだある。
近ごろ耳が遠いわけじゃないのに、ドラマなんか何言ってんだかよく聞き取れないの。
もにょもにょ聞こえる。もっと活舌よくしゃべれ!なんて突っ込むわけ。
そのくせ、大声で怒鳴るようにセリフを言ってる俳優がいると、大げさな何もそこまで、
なんて覚めてきて。ああ、煮ても焼いても食えない自分。自覚はしとる。
切りないからやめる。
いずれにしろタソガレどきの私、沈む前に一瞬でも輝きたいものだ。ほんと。
ってなことを思いながら1日を過ごす。