ああ、こんなことがあるんだ。
と一晩たっても興奮冷めやらず。頭の中は昨日のことでいっぱい。
草彅剛クン演じる舞台『バリーターク』のチケットが取れなかったことは報告済み。
うるさいくらいにしつこいくらいに。
ネット上では、当日券が1時間くらい電話をかけ続けて2時間くらいかけ続けてようやく取れました。
あきらめないで、なるつぶやきが見られたけれど、そんな根気も時間もない。
もうここらで諦めて、
私の『バリーターク』はネットに上がってくる記事をファイルすることにし、せめてパンフレットだけでも買ってこようと。
2時開演だから2時5分ころ芸術劇場に着けばいいなと計算して、「関内に行って来るね」と12時過ぎに家を出た。
まずは横浜駅、東急東横線みなとみらい線の改札入ったところの大きな宣伝写真。
天気もいいことだし、去年素晴らしかった日本大通りの花々を見て時間をつぶすつもりだったのよ。
ところが花は期待外れのだらしなさで、それなら大桟橋に行って海でも見るか、なんてぶらぶらして。
ころあいになったから芸術劇場へ、楽屋口はどこかなとぐるり1周たわ。
2時前、5階の大スタジオへ、当然のように私ひとり、観客の人たちは会場内。
案内係の人が「チケットお持ちですか?」「持ってません!」と切り口上で返事。
パンフレットを買いたくて、と続けると開演してからですのでちょっとお待ちをと。
私も、どうやっても取れませんでしたと愚痴ることは忘れない。
と奥の会場入り口の方から女性が走ってくる。またもや、
「チケットお持ちですか?」って「持ってない!」っつうの。
「当日券のキャンセルが出たんですけどご覧になりますか?」
「えっ!?」もう頭真っ白よ。
ご覧なりますもなりませんもなるに決まってる。後先のことなど考えられない。
速攻で料金払い、案内嬢の後について行く。あの、トイレ行っていいですかと聞くと案内嬢、
あと1,2分で開演です。開演してからだとご案内できないんですけど、って。
漏れてもいいと案内に従って付いていったわ。200人くらいの狭い会場のいちばん上。
二つ席が空いている、あれま、と思う間もなくお隣に男性が。
ちらっと横目で見ると、写真で何度も目にした演出の白井晃さんじゃないの。
ことの展開についていけず、おまけにお隣が演出家の方とは。
すぐに幕が上がって舞台上にツヨシクンが。
ストーリー
広い部屋。そこに2人の男がいる。
彼らは目覚まし時計の音で起き、80’sの音楽を聞きながら、部屋をかけまわって着替えて食べて踊って
フィットネスをして、バリータークという村の話を語る。
ふたりはだれか。
どこにいるのか。
そして壁の向こうには何があるのか?
男1の草彅剛さんと男2の松尾諭さんが舞台狭しと動き回って演じている。
息の合ったお二人の熱演は最初から伝わってくる。
でもでも私は、ここに至るあまりに急な展開と、白井さんがメモ用紙を動かしたり身体をのり出したりする様子が
伝わってきて、それでなくてもぼんくら頭に薄っぺらい感性しか持ち合わせていないから、
もう全てがちんぷんかんぷん。なかなかバリータークの世界に入って行けない。
(舞台写真はweb上からお借りしました)
中盤に入り、男3の小林勝也さんが登場して舞台がぎゅっと引き締まり緊張したのが伝わると、
そこからはもういっきに感情が揺さぶられてきた。そう誰にでもある日常世界で起こるいろいろな感情。
終盤に向かってのツヨシクンの長い長いセリフで、なおいっそう込み上げるものがあって。
3回のカーテンコールの後、お隣の白井さんに図々しくも話しかけてしまった。
「夜もこの舞台をやるんですよね、すごいことです」って。
あんなに熱望したツヨシクンの舞台。
それが全ての幸運に導かれて観劇できたこと、ああ、チケットの神様っているのね。
もう残り少ない一生の運を全部使い果たしたわ。