こんばんわ。
東京ステーションギャラリーは、東京駅丸の内北口に隣接している、というか、丸の内駅舎内にある。その証拠に美術館内には駅舎の古い赤煉瓦の壁がそのまま残っている。
東京駅に降り立ったとき、美術館の入り口の大きな看板につい目が入ってしまい、ついふらふらと入ることが多い。今回もそうだった。
何だこの絵は?キャベツの切り口みたいな絵、と思ったら、”見た、切った、貼った”というコピーが。ん?貼り絵かな。美術展名は、”宮脇綾子の芸術”。面白そう。
入館して、ずらりと並ぶ作品にびっくり。何と主に布の切れ端を使い貼り絵にしているのだ。アップリケ作品なのだ。モチーフは野菜や魚など主婦が台所で目にしているようなものが中心。対象をよく観察していることがわかる。面白い作品がいっぱいあり、写真撮影禁止なのが残念。でも、三種類のちらしがあって、それぞれ違う作品が載せてある。これらを寄せ集めると10以上になるので、それらをここに紹介しようと思う。
このような章立てになっている。次第にモチーフの幅も広がり、写実だけでなく模様、さらにデザインへと向かう。宮脇綾子(1905-1995)の回顧展だ。
1章:観察と写実
2章:断面と展開
3章:多様性
4章:素材を活かす
5章:模様を活かす
6章:模様で遊ぶ
7章:線の効用
8章:デザインへの志向
以下、各章の簡単な説明とそこに展示された作品を置くことにする。
1章 観察と写実
とにかく徹底的に観察するようだ。植物の葉や花のガクなどを取り外して、その付き方まで観察するとのこと。エビ、カニもお料理をする前にじっくり観察するので、家族はなかなか口にすることが出来なかったとのこと(笑)。この章の作品はちらし絵になかったので、公式サイトから。
2章 断面と展開
料理をしようと野菜を半分にした時、その断面の美しさに見入り、作品に仕上げた。
切った玉ねぎ
さしみを取ったあとのかれい
とまと
鴨(背)
かぼちゃの断面
3章 多様性
植物や動物、同じ種でも個体としてみれば、どれ一つ同じものはない。この色やかたちの微妙な違いを見逃さず、作品に仕上げた。ここも公式サイトから。
4章 素材を活かす
材料は、貴重な古裂だけでなく、レースやプリント生地をはじめ、洗いざらしのタオル、古い柔道着、使用後の布製のコーヒーフィルターなど、あらゆる素材を使用した。下のネギ坊主はお弁当の折りを使っている。
では、後半へ。廊下の赤レンガは丸の内駅舎のもの。
5章 模様を活かす
布にはさまざまな柄がある。伝統的な吉祥紋から、藍染の縞柄や格子柄、紅型模様、プリントされた花柄や松竹梅の文様、あらゆる柄や模様を作品の中に取り入れ、写実的な作品に仕上げた。
白菜
6章 模様で遊ぶ
布の模様それ自体の面白さをそのまま活かして、大胆な造形をつくり出した作品も多くある。
鮭の切り身とくわい
いい形いい布
7章 線の効用
布の面に紐や糸による線を加えることによって、さらに表現の幅が広がった。植物の根や細い茎などの繊細な描写や透明なガラスの器を表現することができるようになった。
芽の出たさつまいも
8章 デザインへの志向
さらに、デザイン的な傾向を強く感じさせる作品も多く制作している。
あんこう
そまの道具
長茄子
床山さんの櫛
面白い展覧会でした。
今日の朝富士と夕富士。
では、おやすみなさい。
いい夢を。
十二夜の月