おはようございます。
今月のシネマ歌舞伎で勘三郎の”身替座禅”が上映されているというので、なつかしくて見に行ってきた。これは、2009年12月の旧歌舞伎座さよなら公演のものだが、ぼくは見ていなかった。さよなら公演は一年つづいて、2010年4月が、まさに最終のさよなら公演なのだが、これにも、勘三郎も出演していて、こっちの方はみている。”寺小屋”だったが、それが勘三郎の芝居をみた最後となった。
”新古演劇十種の内/身替座禅”は、2013年4月にはじまった新歌舞伎座杮落とし公演の、最終公演、2014年3月にみているので筋は知っている。そのときの配役は、山蔭右近が菊五郎、奥方の玉ノ井が吉右衛門だった。勘三郎がどんな右近を演じるのか楽しみだった。それに奥方は、三津五郎で、これも楽しみ。身替りにされる気の弱い太郎冠者には染五郎というのも興味があった。
さすが、勘三郎、浮気で恐妻家の山蔭右近を、まるで本人がそうであるかのように、自然に演じ、とても面白かった。やっぱり芸のこやしは必要だと思った(爆)。映画では、歌舞伎座の最前席でみているように(あるいはそれ以上に)、顔の表情もはっきりと見えて、勘三郎の細やかな、素晴らしい演技を堪能した。うふふと花子に会いにいくときの、だらしない顔なんて実感がこもっていた(笑)。
さて、物語は、以下のような滑稽なもの。前回感想のときのあらすじをコピペすると。
恐妻家で浮気性の右近が、なんとか、せんだって、知り合った花子に逢いたいと策を練る。最近夢見が悪いので、諸国の寺々を参拝したいと奥方に申し出る。しかし、許されず、結局、仏堂で一晩だけ座禅したらということになる。それならばと、右近は身替りに太郎冠者を置き、自分は花子に会いにいく。一夜の浮気をして、えへらえへらした顔で帰ってくる。そして、座禅衾で顔を隠している身替りに、とうとうと一部始終の楽しかったことや奥方の悪口を述べる。ところが、衾の中に居たのは、食事を届けにきたとき事情を知り、激怒し、自分がその中に入った奥方だったのだ。

ほんとに惜しい役者を亡くしたものだ。
。。。。。
そして、もうひとつの演目が、これも旧歌舞伎座さよなら公演(2009年10月)の蜘蛛の拍子舞。
源頼光とその家臣の四天王たちによる土蜘蛛退治の物語。女郎蜘蛛の精には玉三郎、松緑の渡辺綱、菊之助の源頼光、そして、三津五郎の坂田金時。女郎蜘蛛そのもの(中に人が入っている)も演技し、見得もあり、笑いを誘った。題名にある”拍子舞”とは拍子に乗って歌うように台詞をいいながら踊る技法とのこと。蜘蛛絲梓弦(くものいとあずさのゆみはり)は歌舞伎座でみている。猿之助が六変化の女郎蜘蛛の精を演じた。海老蔵は坂田金時。これも面白かった。


それでは、みなさん、今日も一日、山蔭右近のように(?)、お元気で!

(今朝の空)